見出し画像

【令和4年最新版】激安・超高音質オーディオ事始め

ピュア・オーディオの世界は、スピーカー1本100万円、アンプ1台100万円、スピーカーケーブル1mあたり5万円、レコードプレーヤー1台5000万円など、とにかく高額。
突き詰めると部屋の形状・構造と電源をどう確保するかになるので、内外装工事はもとより、「マイ電柱」なんてのが本当に一般化しているレベル。

20歳からオーディオを始め、何度かの変遷を経ての結論は「購入したFLAC(ファイル形式)音源をPCで再生し、DACを介してヘッドホンで聞く」のが一番コスパの良い高音質環境。もちろんヘッドホンはそこそこ良いものが必要だけど、同じレベルをスピーカーで再現するよりよっぽどお手頃。スピーカーだと余裕で100万円コースだしね!

と思っていたのですよ、先週まで。

しかしこの知識はすでに陳腐化しており、圧倒的な高音質をスピーカー再現することが可能、しかもミニマム構成なら総額7万円という、ヘッドホン1台よりも低価格で。いやいや、嘘だろって思うでしょ?それが出来ちゃったんですよ。
肝になるのは「音源」と「再生機器」の2つの要素。
この記事ではそれぞれの要素のポイントと、なぜ高音質になるのか、それはどんな構成でいくらで実現できるのかを説明しますね。

※1:さらに音質を良くし、UXすら変えてしまう「再生ソフト」「電源」の2つの要素があるのですが、それは別記事にしましょう。長くなるので。

※2:もちろん突き詰めたピュア・オーディオの世界の方が高音質なのは変わりませんよ。でもその高音質を享受するためにはある程度の部屋の広さと音量が必要になってくるのも事実。この記事で扱うのは、自分の部屋で机に座って高音質の音楽を楽しむスタイルを前提としています。

音源

日本でもe-onkyo musicなどで、AACやMP3とは比較にならないレベルの高音質FLAC音源やDSD音源ををダウンロード形式で販売しています。もちろん十分に素晴らしい高音質なので、こちらでも十分満足いただけるでしょう。
しかし世界にはTIDALという圧倒的なサービスがあるのをご存知でしょうか。

日本語対応(正式サービスはまだ)
日本語対応(正式サービスはまだ)

TIDAL

このTIDALの何が凄いかというと「FLACやDSDをMQAストリーミングで配信、その楽曲数は8000万曲」という現状考えうる最高品質を圧倒的な品揃えで、しかも定額聴き放題のサブスクリプションで提供していることです。
料金はアメリカで20$/月と、他のサービスより高めですが、前述のe-onkyo musicでアルバム1枚購入すると約30$(3600円)前後なので、毎月1枚買うよりお安く、世界のほぼ全ての楽曲が聴き放題なのです。

「でも日本でサービスしてないじゃん」
「日本人アーティストが少ないんでしょ」
という懸念はごもっとも。ではその懸念点は解決できるのか、確認してみましょう。

まず日本におけるTIDALの展開ですが、現在は正式には日本ではサービス展開していません。しかし近日中に開始されそうです。理由としては2021年にTIDAL公式サイトが日本語対応したこと。だけど正式サービスを待たなくとも、実は現状でもTIDALを日本で利用することは可能です。登録時のみちょっと面倒ですが、誰でも申し込めます。でも諸条件が揃わない(Paypalを持ってないなど)場合は正式サービスを待ってもいいかもですね。

そしてもう1つ、日本人アーティストの楽曲ですが、実はすでに「日本のアーティストもめっちゃいる」ということ。宇多田ヒカルYOASOBI槇原敬之電気グルーヴVaundy、などなど。そしてその数は日々増加中な状況です。
もちろん国外アーティストの楽曲は、ロックからジャズ、クラシック、民族音楽まで「無いものは無い」のではないかと思う豊富さ。

そう、TIDALを利用することで「最高音質の音源が聴き放題」になるんです。これが常識を覆した要点の1つ目「音源」です。

再生機器

超低価格で超高音質再生に必要な再生機器は次の3つ。
・DAC
・スピーカー
・バランス接続ケーブル

DAC

すでに低価格で高品質なDACが数多く出回り、PCやスマホで取得した音源データを超低ノイズでアナログ化できておりますが、ブレイクスルーとも言える価格と品質をもたらしたメーカーがあるのです。その名はiFi audio

数多くの「え?この価格でこの性能?」という商品を展開しているのですが、最も注目すべきはDACのZEN DAC
ではこのZEN DACの何が凄いのか、それは以下の4点。

1・低価格(22,000円)
2・超低ノイズ
3・ヘッドホンアンプ内蔵
4・バランス出力(4.4mm端子)

1から3まで、それぞれの項目でZEN DACよりも素晴らしいDACはありますが、これを同時に満たす製品はなかなかない上に、全て満たしさらに特筆すべき特徴である「バランス出力」を持っているのがZEN DACなんです。そしてこの「バランス出力」があるからこそ、次で説明するスピーカーを低価格化できるのです。そう常識を覆す要素の2つ目はこのZEN DAC。

赤丸にあるのがバランス出力

スピーカー

ピュア・オーディオ界では、「アンプ」と「スピーカー」を別に用意する「パッシブ・スピーカー」で音楽を再生することが常識です。
もちろん素晴らしいアンプと素晴らしいスピーカー、そして相性の良いスピカーケーブルの組み合わせで聞く音楽は素晴らしいものです。
ですが冒頭でも書いた通り、それぞれの機器は驚くほど高額であり、その組み合わせは無限と言って良いほど数多く、ベストを見極めるのは経済的にも物理的にも時間的にも限界があります。
とは言え近道はあります。それは「リファレンス」と言われるスピーカー開発時に用いた機材を揃える事。スピーカーの性能を引き出すのなら、それがどのようなアンプをリファレンスとして開発されたのかを知る事で、開発者が目指したスピーカーの音に近づける事ができます。ですがアンプだけでは足りません。「スピーカーケーブル」も重要になるのがこのパッシブ・スピーカーの面白さ。そしてスピーカーケーブルのリファレンスを追求する場合は、銘柄はもとより長さや接続方法など、ゼノンのパラドックスがごとくゴール永遠にリファレンスにたどり着けないのでは無いかと思える世界。やはり経済的にも物理的にも時間的にも厳しい道程です。

スピーカーにはパッシブ・スピーカー以外にも「アクティブ・スピーカー」と言うものが存在します。主に音楽スタジオでのモニター用途やステージでの音響用途といったプロ用途で販売されてます。アクティブ・スピーカーはアンプをスピーカー本体に内蔵しており、アンプ単体を必要としません。
ピュア・オーディオに用いられるアンプ単体は、どのような入力にもどのようなスピーカーにも対応すべく、様々な機能や性能を求められ、その結果価格が高騰してしまうのですが、アクティブ・スピーカーの内蔵アンプの場合は、そのスピーカーユニットのみに対応すれば良く、また入力もプロ用途であればバランス入力が前提と、入力も出力も限定されます。このように機能も性能も限定的となることで結果として低価格を実現できます。

しかし低価格だけがアクティブ・スピーカーの魅力ではありません。
超高音質を引き出せる2つの要素があるのです。

1・開発者の意図通りに音を再現
2・バランス接続

先程パッシブ・スピーカーでは開発時と同じ環境、「レファレンス」を揃えるのが難しいと書きましたが、アクティブ・スピーカーはアンプを内蔵することでレファレンスと製品が同一となり、開発時と同じ音が再現できます。もちろんDACとの接続などの未再現要素はありますが、アンプやスピーカーケーブルの影響に加えれば誤差のようなもの。
この結果、各社が目指す音がどのような環境でも再現でき、自分好みの音を自宅に持ち込む事ができるのです。

そしてバランス接続。
DACのパートでZEN DACを取り上げた理由がバランス出力でした。バランス接続とはもちろんこのZEN DACからのバランス出力を、アクティブ・スピーカー側でバランス入力すること。そしてスピーカーにおけるバランス接続のメリットは、ずばり「ノイズの低減」。
ピュア・オーディオの目指すところは、つまるところノイズをどこまで抑えられるか。そのために高性能の機材と高性能のケーブル、高性能の電源を用意するのですが、その中で一番ノイズを一番拾う(影響を受ける)のがケーブル。もちろんケーブルは伝導体であり、伝導体は長ければ長いほどノイズを拾うのは宿命でもあります。もちろんバランス接続でもノイズの影響は受けるのですが、電気信号を伝達する方法を工夫することにより、一般的なスピーカーケーブルにおけるアンバランス接続に比べればその影響はわずか。
この低ノイズが理由で極小のノイズを考慮するマイクや、音楽フェスやドーム公演等のステージで使うような長距離のスピーカー接続は全てバランス接続となっています。
そしてアクティブ・スピーカーのうち「モニター・スピーカー」と呼ばれる音楽スタジオでのモニター用途に使われるスピーカーは、そのほぼ全てにバランス端子を持っています。そうです、ZEN DACのバランス出力とモニター・スピーカーのバランス入力を短距離で繋げることにより、ケーブルが拾うノイズの影響を無視できるレベルまで下げられるのです。(バランスとアンバランスでのノイズの違い動画はこちら)

「でも、モニター・スピーカーはプロ用途なんだからお高いんでしょ?」
はい、ボクもそう思っていました。YoutubeでTourbillonCafeさんの動画を見るまでは。
この動画で紹介されているのは「TANNOY GOLD 5」というモニター・スピーカー。見てください、2本で5万5千円前後。そしてこのデザイン。レビュー動画で音を聞けば、驚くべきクオリティの音質。もう瞬間的に「これ買う!」って思いましたね。だってアンプとスピーカーがセットで6万円未満で、しかも高音質。でもその時は在庫切れでした…
ですが、今思えばそれが良かった。
その後、同じようなモニター・スピーカーは無いか探したところ、あるある、色々あるある。Youtubeには比較動画が山ほどあり、特に空気録音比較はとても参考になります。絶対的な音の確認はできないものの、それぞれのスピーカーの特色を比較するにはYoutubeのスピーカーレビューはとても有益です。

そしてその中で見つけたのが、常識を覆す要素の3つ目「ADAM AUDIO の T5V」。その価格、なんと驚愕の2本で4万4千円。しかもこのADAM AUDIOは最上位機種からこの低価格機まで目指す音は同じ。そう、価格に応じてクオリティに差はあるものの開発者が意図する音が明確とのこと。であれば動画でADAMの機種を片っ端から視聴するだけ。その結果「この2本で4万4千円のT5Vで十分に高音質」と判断するに至りました。

バランス接続ケーブル

DACとスピーカーが決まれば、あとはケーブルで繋ぐだけ。
ですが、ここでちょっと問題が発生します。
それはZEN DACのバランス出力は4.4mmプラグ、ADAM T5Vのバランス入力はXLR端子、ということです。
もちろんiFiから公式のケーブルが出ていますが、ここまでの低価格方針を吹き飛ばすかのような1万8千円。でも思い出してください、なぜバランス接続を選んだのか。そう、それはノイズの影響が小さいから。そしてノイズの影響が少ないという事は、ケーブルによる差が少ないということ。というわけで、安心して格安ケーブルをAmazonあたりで探して購入しましょう。あ、一部商品はちゃんとバランス接続になっていないらしいので、レビューを良く見てご購入くださいね。

まとめ

長くなりました。
では本記事のまとめです。

音源
サブスクのTIDALに登録してMQAストリーミングを手に入れよう
機材
iFi audio の ZEN DAC と ADAM AUDIO の T5V を買ってバランス接続しよう

ZEN DAC:2.2万円
T5V:4.4万円
バランスケーブル:0.4万円
合計:7万円

みなさんが素晴らしいオーディオライフを過ごせますように!

【再掲】
※1:さらに音質を良くし、UXすら変えてしまう「再生ソフト」「電源」の2つの要素があるのですが、それは別記事にしましょう。もう5000文字です…長すぎですね…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?