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仕事中心の生活から生活中心の仕事へ。変形労働時間制がもっと普通の会社に広まっても良いのでは無いか

その昔、僕が店長をしていたジーンズショップの会社で『変形労働時間制』というものが導入された。もう23年も昔の話です。
通常は1日8時間労働のシフト制の会社だったのですが、この『変形労働時間制』を使えば極端な話、12時間労働の日もあれば夕方の2時間だけ労働の日があっても、1ヶ月合計160時間(※)働きさえすれば良い、というものでした。
詳しい制度については下記をご覧ください。

※160時間ぐらいだったと思うのですが、月によって違っていたと思います。

この制度のおかげで、シフト体制を繁忙期や土日は厚くしたり、平日の暇な時は逆に薄くしたりフレキシブルにできたのです。
一方、働くメンバーにとっても、「午前中は役所に行きたい」などの予定を入れてもシフトさえ問題なければ、問題無く行ってもらい、それは半休扱いではなくどこかの日でその時間分余分に働いてもらえれば良い、という柔軟性の高いものでした。

さらに残業時間は発生させないように1ヶ月で調整するわけで、昨今のブラック企業と比べるとまぶしいほどのホワイト企業だったのだと思います。

このように働き手にとっても会社側にとってもショップのようなシフト形態の会社では双方ともにメリットがあり、導入しやすいものでした。

変形労働時間制で起きた変化

変形労働時間制にしてから大きく変わったのは、店長としてシフトを組むのですが、これがとても難しくなったことです。当然○日働くという計算ではなく足し上げたら○○○時間になる、という計算をしなければいけないのですから大変です。そういったネガティブな視点もありました。

しかし一方で、10:00〜19:00は拘束時間だという概念が無くなったので、仕事中心の生活という考えが崩れていきました。

自分もメンバーも「この日はランチデートしたいから夕方から2時間勤務」とか「お昼から買い物に出かけたいので午前中3時間だけ勤務」とかそんな要望を受けいれてシフトを組めたりするわけです。「じゃあ、僕はその日長めに出勤するから、この日遊びに行かせて」みたいなシフト陣取り合戦を始めるのです。

これ、アルバイトじゃなくて正社員のシフトでですよ。正社員であってもそんな風に自由に生活やプライベート中心にシフトを立てられる会社はあまり無いのではないでしょうか。

『仕事中心の生活から生活中心の仕事』へ変化していったのです。

フレックスタイム制や半休/時間有給制度もあるが

このジーンズショップ以後、いくつかの会社を渡り歩いたのですが、同じような変形労働時間制の会社はありませんでした。せいぜいフレックスタイム制、半休/時間有給制度、休日出勤の振替休日ぐらいでしょうか。それでも働きやすくなるという側面はあるのですが、変形労働時間制ほど柔軟ではありません。
それはコアタイムが設定されているからこそ、休みを取りたい時間帯によっては半休という形で休みを有給を消化せざるを得なかったりするからです。

何よりもコアタイムにいなかったら有給扱いになるので、仕事中心の生活からは抜け出せてはないのです。

変形労働時間制が広まればイキイキとした人は増えるのではないか

会社の経営側や管理側になると、変形労働時間制は導入が難しくマネジメントも難しい側面も出てきそうです。

しかし、これによって、生活中心の働き方が出来ると社員満足度もあがり、プライベートが大切にされることでイキイキとした人が増えるのではないでしょうか。それが結果として生産性向上につながったり、限られた出勤時間でどうにかするという意識も働きやすくなり、残業時間削減につながったりすると考えます。

この制度を導入するにあたり大切なのは決めたシフトをしっかり守るお互いの信頼関係と、何かあっても柔軟に対応できる体制作りです。

少し難しいことかもしれませんが、僕自身、この考えを拡張して自分の会社でトライしてみたいと思いますが、ご自身の会社でもこういう考え方を一度検討してみてはいかがでしょうか。





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