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アタクシ、ゼウスの正妻になりましたbyヘラ

テミスと離婚し、ヘラと結婚(再婚)したゼウスさん。
ここでヘラはゼウスの『正妻』となったんだ。
だけど浮気性のゼウスは、ヘラと結婚中も浮気しまくります。

ゼウス浮気→ヘラに見つかる→ヘラ大激怒

繰り返されるこのパターン。

毎週波平に怒られるカツオのようなもんです。

ヘラ、、、ゼウスの浮気症は直らんよ。。
もうちょっと誠実な人にしたらいいんじゃないかな。。

しかし・・・

ヘラは「結婚を司る女神」。
離婚なんてもってのほか。
浮気するゼウスにどんなに悩まされても、離婚はしないし、できない。
(だから正妻になれた訳だしね。)

結婚を司る、ということは結婚した女性全ての見本、そして味方にならなければならないということ。
だからどんなことがあっても「結婚(生活)」を守らなきゃいけない。

・・・うーん、それを思うとちょっとヘラが気の毒な気もするよね。。

が、本当に気の毒なのは・・・

ゼウス浮気→ヘラに見つかる→ヘラ大激怒

・・・と書いたけど、実は「ヘラ大激怒」の後には続きがあって。

ヘラの怒りの矛先はゼウスにとどまらず、相手の女性ないし、その子供にまで向かうんだ。
しかも相手にその気がない場合も多いのに、ゼウスは強引に子供作っちゃったりする。(ぎゃあ)
完璧ゼウスが悪い。。
それでもヘラの怒りの矛先は相手(の女性&子供)に向いたまま収まらず、
とことん迫害する。
時には死に至らしめるまで。

・・・怖。

同情して然るべきは相手の方、かもしれない。。

ゼウスとヘラの子供たち

そんな恐ろしいヘラだけど、ゼウスとの間に3人の子供を産んだんだ。

こちらの記事のリストには、スペースの問題で「アレス」しか描きませんでしたが、その他に、

へべ(青春、若さの女神)

エイレイテュイア(お産の女神)」
ももうけてるんだ。

そしてもう一人「ヘパイストス」がいるけど、こちらはヘラが単独で産んだ子になる。(※「アレス」がヘラ単独で産んだ子、という説もあり)

ゼウスの頭からアテナが誕生したことを見た(聞いた?)ヘラは、飲み込まれたメティス(アテナの母)のことを知らなかったのか、ゼウス単体でアテナを産んだと思ったようで・・・

「あたしも自分一人で子供産んでみる!!!」

と、よくわからん競争心?はたまたチャレンジ心?で産み落としたのが「ヘパイストス」なんだ。

ところがこのヘパイストス、生まれた瞬間からとても可哀想な目に遭う。。

それは「ヘパイストス」のエピソードの時に書こうと思います。

ずるいぞ、ヘラ!

ゼウスが浮気するたびに嫉妬&激怒して、、、
きっとヘラの眉間には皺、こめかみには常に青筋が立つわで
「ヒステリックなおばさん」ぽいイメージがつきやすいけど・・・

ヘラは春になると「聖なる泉」で沐浴をしていたんだけど、この泉に入るとなんと、

イライラがおさまる上に若返っちゃう」んだ。(どこだそれ!教えてくれ!)

加えて、我が子「へべ」は「青春、若さの神」。
つまり、へべのおかげでヘラは、またちょこちょこと若返ることができたって訳。
だからヘラはへべを溺愛し、いつも側に置いていたと言う。

どうよ、これ。

言ってみれば、高須先生が四六時中横にいて、皺が目立ってきたらボトックス、シミが出てくりゃレーザー治療、を無料でしてくれるようなもの。

聖なる泉でイライラもスッキリさせて若返り、ちょっとシワが寄ったりシミが出たらへべに治してもらい・・・

そのお陰でヘラは美貌を維持。(他力本願やないかい)
ゼウスも結局ヘラに戻ってくる。
(ゼウスが中々戻ってこない時は、アプロディテにフェロモンを振りまく帯(=ケストス、という)をわざわざ借りるヘラであった)

なんだよそれ、と言いたくなりますが、「結婚生活を守る」ために、ヘラも色んな努力(?)をしてたんだね、ってオチで今日は終わろうと思います。

◇◇◇◇今日のおまけ◇◇◇◇

ヘラは、ローマ神話では「ユノ」と同一視されてるんだ。

ユノ=Juno(ラテン語)、英語読みだとジュノ。
これは6月=Juneの語源とも言われてる。

「ジューンブライド」は、結婚を司るヘラ(ユノ)の月に結婚することで幸せになれる、という意味合いもあるんだね。(他の説もあるようです)

(すみません、、五郎さんをどうしても描きたかったのです。。)

ヘラのアトリビュート

ユノに不満を言う孔雀
作者:ギュスターヴ・モロー
制作年:1881年
所蔵:ギュスターヴ・モロー美術館(フランス パリ)

ユノとジュピター(ヘラとゼウス)
作者:ゲーヴィン・ハミルトン
制作年:1770年
所蔵:ホウカムホール(イギリス ノーフォーク)

ヘラが描かれた名画は多いんだけど、とりあえずこの2枚をチョイス。

2枚とも、孔雀が描かれてる。(そしてなぜか2枚ともヘラは片乳出している。。)
そう、孔雀はヘラの聖鳥なんだ。

(西洋絵画を観るとき、こういったアトリビュート=描かれてる人物を特定するための道具や物を覚えておくと、誰が描かれているか分かりやすくなって楽しめると思いますー。)

ちなみにモローの絵のお題は「ユノに不満を言う孔雀」だけど、孔雀がどんな不満を言ってるのかというと、、、

孔雀:ちょっと!なんで私の鳴き声は、ウグイスみたいにキレイじゃないのよ!?

らしいです。
そして、それに対して一応ユノ(ヘラ)の応えもあるらしく、、、

ユノ(ヘラ):みんなそれぞれチャームポイントがあんのよ。
あんたにはその美しい羽があるでしょ。それも私のおかげでね。
てか、あんまりごちゃごちゃ言ってっと羽も皮もひん剥くよ!!

孔雀にも怖いヘラなのであった。。

さて、なぜ「孔雀」がヘラの聖鳥になったのか・・・

ユノ(ヘラ)とアルゴス
作者:ピーテル・バウル・ルーベンス
制作年:1610年頃
所蔵:ヴァルラフ・リヒャルツ美術館(ドイツ ケルン)

それはこのルーベンスの絵にヒントがあるけど、また違うエピソードで紹介しますね。

しかし、服着てるのにみんな乳出しすぎじゃないか。





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