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Mの悲劇からのパッカーンなアテナ

節操ない(失礼)ゼウスさんが、最初に嫁にしたのは「メティス」でした。
そう、こちらの話に出てきたよね。

クロノスから兄姉を助ける協力をしてくれたメティス。
ゼウスからすると「従姉妹」にあたるけど、頭が良くて(なんせメティスは知恵の神)優しいメティスに、ゼウスもキュンと来たのかね。

まぁ、それはいいとして。

ゼウスと結ばれたメティスは妊娠するんだけど、

ここでゼウスは、ガイアとウラノスから

「男が生まれたら、その子に王座を奪われるだろう・・・」

と予言されるんだ。

・・・ん??
どっかで聞いたことある「予言」。。。

そう、ゼウスの父クロノスも、ウラノスにこれと同じような予言をされたよね。

・・・いや、この家系、どんだけ「子に王座を奪われる」説が好きなんだ。。
(てか、こんなことばっか言うから家族関係がおかしくなるんじゃん)

まぁでもゼウスもビビったよね。

自分の父親(クロノス)のことを考えれば、予言通り、子である自分が父から王座を奪ってるんだもんね。

生まれてくるのが男か女か分からないけど、万が一男だったら・・・(怖)
予言が当たったら大変なことになる・・・
となれば、先に手を打つしかない。。。

M(メティス)の悲劇

メティスは色んなものに姿を変えられる、という特技を持っていたんだ。

ある日、ゼウスはメティスに色んなモノに変身させ、感心したふりをしていた。
(妊婦に何をさせとんじゃ)

そして最後、グラスを差し出しながら

「そうは言っても、さすがに水滴になってこんな小さなグラスに入ることはできないだろ?」

と言うと、躍起になったメティスは水滴となり、グラスにポンっと入ると、ゼウスはそれを飲み込んじゃったんだ。

4コマ

かわいそうなメティス。。。(泣)

ところが、、、
パッカーン!

だけどメティスは「神」なので死ぬことはなく、ゼウスの中で生き続けたんだ。

そしてそのまま時が流れたある日、ゼウスは突然激しい頭痛に襲われる。

あまりの激痛に耐えられなくなったゼウスは
プロメテウス(※ヘパイストス、という説もあり)に斧で頭を割らせると、、、

アテナ誕生

なんと、ゼウスの頭から完全武装した女神=アテナが誕生!!!

メティスはゼウスの中で子供(アテナ)を大事に育ててたんだね。

肩書きたくさん、のアテナ

母「知恵の神 メティス」の血を引き、そして、ゼウスの頭から生まれたことで、
新たな「知恵の神」となったアテナ

また、完全武装で生まれたことから「戦いの女神」にもなる。
更には、機織り、木工、金工、陶芸など「あらゆる技芸・工芸の守り神」ともされたんだ。(肩書きが多い現代の先取り?)

ちなみに(飲み込まれた)メティスのその後は・・・

アテナをゼウスの頭から誕生させたメティスは、自分の役目は終わった、と思ったのか、そのままゼウスの中に吸収・・・「ゼウス自身の知恵」となったんだ。
(なんか甲斐甲斐しいな。。(涙)

こうしてメティスの知恵をもつけたゼウスは、さらに偉大な「神の王」として君臨したんだね。

さて。
アテナ(ローマ神話ではミネルヴァ)は、神話のエピソードの中でも登場回数が多い女神。

そのエピソードはまた、おいおい書いていきますね。

◇◇◇◇今日のおまけ◇◇◇◇

アテナが出て来たら、絶対外せないのが・・・

ニケ!!

ニケは「勝利の女神」として、戦いの女神でもあるアテナによく付き添っていたんだ。

そしてニケといえば、、、

サモトラケのニケ

サモトラケのニケ(Νίκη της Σαμοθράκης)
制作年:紀元前2世紀ごろ
所蔵、展示場所:ルーブル美術館(フランス、パリ)

彫刻像の中で、私が一番好きな像です。
ずっと見てても飽きない・・・何だったら我が家に置きたいくらい・・・
(色んな意味で無理だけど)

アメリカの大手スポーツメーカー「Nike(ナイキ)」の社名の由来が、「ニケ」なのは有名な話だね。(あのブランドロゴはニケの翼を表してるそう)

また、ニケはローマ神話の「ウィクトーリア (Victōria)」と同一視されてるんだ。
そしてウィクトーリア (Victōria:ラテン語) は、英語「Victory=勝利」の語源になったもの。

英語「Victoria(ヴィクトリア)」は、主にヨーロッパ系の女性の名前に使われてるんだけど・・・
となると、あの「ヴィクトリア女王」は「勝利の女王」とも捉えられるね。

おまけ2

パラス アテナ

アテナは「パラス アテナ」もしくは「パラス」と呼ばれることもあるんだ。

クリムト パラスアテナ

Pallas Athene(パラス アテナ)
作者:グスタフ・クリムト
制作年:1898年
所蔵:ウィーン市立歴史美術館

なぜ「パラス」がついてるのか。
これも諸説あるんだけど、代表的なのを2つ書いてみると

①トリトン(ポセイドンの息子)の娘=パラスから
アテナはトリトンの娘:パラスと仲が良かった。だけどある時、2人で遊びながら戦いの練習をしていた際、アテナの一撃が誤ってパラスに当たってしまい、パラスは命を落とすことに。親友を死なせてしまった罪悪感からその名前を忘れないためにもアテナは「パラス」を自分の名前につけた、との説。

②ギガンテスの1人=パラスから
ギガンテスの中にパラスというギガースがいた。
そしてオリュンポス神とギガンテスの戦い(ギガントマキア)のなかで、アテナは「パラス」を討ち取り、その皮を剥いで、自分の盾や甲冑に貼り付けた。
このことから、「パラス アテナ」という名がつけられた、との説。

(※前も書いたように、ギリシャ神話には色んな人が物語を付け加えてるから、どちらの説も正しいとか間違いとかはないです。)

えーと、ちなみに、「ニケ」のお父さんもパラスという名なんだよね^^;

パラス祭りで訳わからなくなりそうだけど、とりあえず「パラス アテナ」も「パラス」も=アテナ、ということだね。

さて最後、ここでちょっとクリムトの絵に戻ります。

クリムトの「パラス アテナ」の手に乗っているのが「ニケ」とされてる。
そして、鎧の胸元に描かれてるのがゴルゴンの顔(その中でメドゥーサとされる)

槍を持った手の肩のあたりにはフクロウがいるけど、フクロウはアテナの聖鳥とされてるんだ。
フクロウが「森の賢者」と言われるのは、「知恵の神 アテナ」の聖鳥だったからなんだね。

そして、向かって左の背景にいるのが「トリトンと戦うヘラクレス」とされている。トリトンVSヘラクレスのエピソードは残念ながら神話にはないんだけど、紀元前の器や神殿にはこのモチーフがよく使われてる。

クリムトのヘラクレスは、保守的で伝統を重んじる美術家組合(キュンストラーハウス)と戦う分離派(クリムト含む)の姿を意味すると言われてるけど、これについてはいつか、クリムトについて書く機会がきたら書こうと思います♪

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