見出し画像

情報過剰社会

今日もホームコースの一つをランニングした。曇りがちだけれど、青田を渡る風が気持ち良い季節で、走る距離も自然と伸びるというものだ。車の往来のある道の側道を進んでいると、前方に「良くない雰囲気」の若者ら数人が、地べたにだらしなく座っているのが見えた。そのまま進めば彼等は当然邪魔な存在で、でもいちいち争うのが面倒な私は、車道にはみ出るつもりで暫くそのまま走った。

いかにも、な連中である。中の1人がハッキリとこちらを睨め付けているのが視界にさっきから入っている。それはそうだろう。私はれっきとしたオバさんで、お婆さんになろうかという齢なのだが、ランニングを長らくやって来たお陰で、遠目にはオバさんじゃなくて、男である。そして何よりもスキンヘッドなのだ。これが敵意剥き出しの輩に、同族嫌悪的な、俺のシマにくるんじゃねー的な、脅しとも思える視線を送らせていると考えた。

連中の少し手前で車道に膨らんで彼等を避け、また側道に戻って走る。こちらが近寄る寸前で、私をロックオンしていた兄ちゃんが顔を伏せた。あー、絡まれると思ったわ。少々緊迫したものを感じたけれど、いつものランを取り戻し、そのまま走り続けたのだった。

帰宅後、テレビをいろいろなチャンネルのつまみ食いで見ていると、例のご夫婦殺害事件が報道されている。この事件、まだまだ謎が多いのだけど、今出て来ている関わった者達が、皆若者で、何をしてるのかよくわからない人間ばかりというのが気になった。今しがた地べたにしゃがんでこっちを睨みつけて来た兄ちゃん達が、まさにこんな風な若者である。

事件の詳細はまだ不明だが、関係者達がつい最近知り合って、互いに素性も知らない同士が、どうも大変な事件に関わったようだ。ネット無くしては不便な生活になってしまった。誰かと繋がるのは最早簡単で、薄くていつでも断ち切れる関係性がもたらす事件の何と多い事か。そして、何をして生計を立てているのか良くわからない人達が一定数いて、倫理や道徳無関係の、報酬を得るなら何でもする、そういう事に関わる情報も、望めば手にする事の出来る世の中になっている。

情報は最早ガラクタの山だ。怒りをぶつけ、フラストレーションを解消する場にもなっているネット社会。そんな所とは隔絶した場所で過ごしたいと思う一方で、そこに触れずにはいられないのが本当の所だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?