不安

不安は嫌なものです。でも人間と不安はセットです。不安から逃れることはできません。厳しいことを言うようですが、不安の解消の第一歩は不安からは簡単に逃れられないことを認めることです。

良く「不安を完全になくす方法」と謳った宣伝をみかけますが、この表現は誤解を招きやすいです。

本当に人間から100%不安をなくすことが出来たら、1日と生きることはできません。人は死ぬことへ不安感を感じます。危険なことに対しても不安を感じるからそういうことはやらないし、長生きできるのです。もし危険なことに一切不安を感じないなら、生き続けることは不可能でしょう。

このように不安は人間が生きる上で必須の機能です。ただし、不安が暴走するケースがあります。例えば動物園にはライオンがいます。このライオンは檻に閉じ込められているので、檻から離れている見ている限りほぼ限りなく100%安全だと分かっています。これが理性です。しかしライオンが檻に突進してきたとします。どんな人間でも一瞬びくっとなります。これが本能です。

理性は危険でないと判断しても、本能が危険と判断すれば不安感もついてきます。本能が理性を勝る時が多々あるのです。日常でも似た経験がありませんか?冷静に考えるとそこまで不安を感じる意味はないのに、ふとした瞬間に不安の大警報が起こってしまう。実はこれが皆さんが悩んでいるタイプの不安です。


人間は体も心も健康な時、理性と本能のバランスが良く取れています。理性が本能をうまくコントロールして余計な不安感を作り出しません。元気な時は気づかないのですが、実は本能はほんの些細なことでも不安の警告を出しています。理性がその不安をうまく処理するから気づかない(記憶にない)だけです。

しかしこのバランスが本能>理性という方向に崩れると、不安が暴走し始める時があります。不安が暴走し始めると人間は不安を完全消去することを目指します。でもこの試みは必ず失敗します。今は本能>理性の状態だからです。無理難題な目標を立てると、失敗した時にさらに落ち込んで悪化します。
不安は完全消去出来ないと認めることが最初の一歩です。認めた上で、不安を消すのではなくほんの少しだけ弱めることを目指してください。時には調子が悪くて悪化する日があっても、根気強くほんの少し今より不安を弱めることを目指すと、気づいた時には大分楽になっています。


不安という壁はとても高いです。これをいきなり登ろうとしても成功するわけがありません。なので自分で少しずつ階段を作って一段ずつ登っていきましょう。



あとがき

今回のキーワードは「一歩ずつ」です。目の前に断崖絶壁があったら、誰もいきなりよじ登ろうとしないですよね?梯子をかけるなり階段をつくるなりして、少しずつ登ろうとします。でも不安というものは目に見えない存在なので、簡単に乗り越えられるものだと錯覚してしまいます。こんな不安も乗り越えられない自分なんて…と悲観にもなります。

不安というものは標高1500mぐらいの山だと思ってください。確かに1歩では越えられなくても、20000歩?くらい歩けば超えられます。

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