「化け猫先生の茶話」第二話/されこうべ
雉虎緑目先生は大の甘党だ。
江戸のむかしから生きている化け猫らしいけれど、今は三十路あまりの人間に化けていて、割とイケオジ。そんなイケオジが甘い物に目がないというのは、鬼に金棒な属性の気がする。
担当編集者としては、こうしたギャップ萌えのキャラ設定は、緑目先生の次回作に積極的に活かしていきたい要素だった。
「緑目先生、今日の差し入れはあんみつです」
わたしが居間のちゃぶ台に置いたあんみつを見て、緑目先生はおっくうそうに手を振った。
「違う、それは〝あんみつ〟ではない」