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高校生活①〜入学から夏休みになるまで

私が子供のころ住んでいたところは田舎で、まず公共交通機関は使えない。
そして私立高校はなく、公立高校が何校かあるけど通学に便利な高校は2校。
殆どの公立高校は寮を併設している。

私は、とにかく早く家を出たかったから寮がある公立高校ならどこでも良いと、うちから車で1時間かかる山の中にある高校を受験し入学した。

いざ入学してみると、そこは色んな地域の成績の悪い子たちの寄せ集めだった。でもそんなことはどうでも良くて、土日祝以外、家にいなくて良いことに私は心から安心した。
妹のことを考えてもいなかった。

そして私は少しずつ道を外れていき、いつのまにか非行グループの中にいた。

最初の頃は土日は家に帰っていたけど、そのうち家に帰らず友達の家に泊まるようになった。

タバコに手を出すのにそう時間はかからなかった。
それからあっという間にシンナーにまで。
学校帰り、寮の近くの神社で。

土日は友人の家に泊まり、シンナーで錯乱し友人のお母さんにビンタされていたこともあった。

友達の中には、そこから本格的に薬物に依存していく子もいた。

小さなショッピングセンターの踊り場で、数人でシンナーを吸っているところを清掃のおばさんに見られ通報された。
警察が来るまでの間にシンナー類は全て捨てて何食わぬ顔してぶらぶらしていると警察が複数人きた。

話を聞かれたりシンナーの臭いがしないか匂いを嗅がれたりしたけど、まだ始めたばかりだったからか、完全にラリっていた先輩以外はそのまま帰された。

私は安堵より、こんな私なんだと、あんた達が知らない私はこんなんだと、警察から親に知らせることが出来ると思い込んでいたからひどく落胆した。

絵に描いたように私は転がっていった。
でも初めて自分の居場所ができた気がして居心地が良かった。
それでも私はどこか孤独で、トイレに誰かを誘うことも、授業をサボろうと誰かを誘うこともない。
保健室の先生に、
「あなたは必ず1人でここにくるね」
と言われたことがなぜか「私」なんだと安心した。

夏休みになるまでに、私は3回ほど停学になった。

そして夏休み。
私は家にはほとんど帰らなくなっていた。

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