見えてる世界で見ることの偶然必然、見続けることの奇跡(その1)

 私は、写真で作品を作っています。作品を制作していることで、たくさんの人に聞かれたことや、気になっていることを書いて行きたいと思います。

1.何を撮れば良いの? 

 「良い写真を撮るには何を撮れば良いのか」「何をテーマにすれば良いのか。教えてください」写真で作品を制作していたり、写真を趣味にしている人と話しをしていると必ずこんな質問をされます。写真を撮る人ならどのような人でも、そんな悩みに突き当たるはずです。私はその質問に「分かりません」と返します。
 そして質問をされた方に「あなたは、写真(カメラ)以外で、好きなもの、興味があるものはなんですか」と質問します。ここで、好きなもの、興味があるものの答えが出てくる人には、「じゃあ、それを写真に撮って来てください」と答え、好きなもの、興味があるものが出てこない人には、「これから写真を撮りに行って何でも良いから写真を撮って来てください」そう言うようにしています。
 写真は、どんなにカメラの機能を熟知していたとしても良い写真は撮れません。カメラは被写体を写真に収める時に使う道具にすぎません。大切なのは撮影者が好奇心を働かせて、興味を持った被写体をひたすらカメラに収めた写真の中からしか、見えて来ないのです。撮影してきたたくさんの写真と対話しながら、あなたが興味を示した共通の事柄を探し出してください。見付けた事柄によって、被写体の選択を狭めて写真を撮るように勧めています。またその撮影にあったカメラやレンズを選ぶのも良いでしょう。
 写真は、どんなに「あの時は、こんな状況だった」とか、「この前はこうで、この
後こういう状況になった」とか言っても、写真には、写真に写っている事柄しか物事を何も読み解くことが出来ないのです。だからもし何を撮って良いか迷われたら、まずあなたの気の向くまま写真を撮ってみて、撮影した写真からあなたが何に気持ちが動いたのか、自分自身に問いかけながら写真と対話をすることをお勧めします。


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