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「情シス=なんでも屋」からの脱却

「情シスの業務範囲広すぎ問題」から派生して、本来情シスの業務範疇ではない仕事に追われて苦労している人も多いと思いますので、自分なりの考えを書き起こしました。

情シスなのにオフィスや店舗の物件探しから対応していたり、法務対応、給与計算まで担当していたなんて方もいらっしゃいます。かくいう私も内部統制(IT統制だけでなくJ-SOX全般)や人事評価制度の構築などを担当していたこともありました。

なぜ情シスが「なんでも屋」として扱われ、いろんな仕事が降ってくるのか、まずは組織と職種特性それぞれの問題から考えてみます。

組織の問題

この問題は、ベンチャーや中堅企業など業績も組織もまだきちんと固まっていないフェーズの会社で起こりがちです。
このような会社では人件費を増やすこと自体がリスクであり、会社自体の知名度や訴求力も低いため専門性の高い人材は採用できません。そのため、今いるメンバーですべての仕事をこなすことになり、どうしても場当たり的に仕事をアサインされることが多いです。

従業員数が1000名を超えるような、ある程度の規模の企業であれば、情シスに何でもかんでも仕事が降ってくるようなことは少ないでしょう。
一般的には以下の図のように、企業規模の拡大に合わせて必要となる会社の機能が増え、組織が細分化されていきます。

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会社が成長しているのに組織の細分化がされないままだと、求められる専門性も工数も大きくなっているのに経験が浅いメンバーで業務をこなすことになります。
それに加え、いくつも発生する浮き球を誰かが受け続ける必要があり、「なんでずっとこんな仕事してるんだろう…」とメンバーは疲弊し、キャリアパスも描けず、やがて辞めていきます。
「今いるメンバーで仕事を回そうとする」というメンバーシップ型雇用の負の側面でしょう。
情シスの仕事にこだらわずに幅広くいろんな仕事を経験したい人には良いかもしれませんし、そういう遊撃部隊のような人も存在しますが、すべての情シスがそう成りたい訳ではないでしょう。

職種特性の問題

ではなぜ他のバックオフィスメンバーではなく、情シスに様々な浮き球が飛んできがちなのでしょうか。
これは完全に主観ですが、以下のような職種特性が要因なのではないかと考えています。

・ITとPMの基礎があり、コミュニケーション力も一般的なエンジニアに
 比べて高く、どんなプロジェクトでも上手く立ち回れる
・ジェネラリスト志向の人が多く、専門外の分野でも順応力が高い
・ホスピタリティが強く、頼まれた仕事を断れない
エンジニアとして見られていない

情シスが「なんでも屋」扱いされると、自身が業務で逼迫するだけでなく、評価されず待遇が上がらないという問題にも繋がりかねません。

問題を解消するには

この問題は、個人と会社の両方から取り組まなければ解消しません。

■なんでもかんでも安請け合いしない
あきらかに業務範疇外の仕事がアサインされそうになった時に、きちんとNoと言えるようになりましょう。
未経験の仕事をやってみたり、困っている人を助けることに最初はやりがいを感じ、様々な相談事を引き受けてしまうこともあるかもしれません。
でもその仕事が何年も続き、評価もされず、自身のキャリアパスに必要ない内容であっても、モチベーション高く続けられるでしょうか?
おそらくどこかで手放したいと思うようになるでしょう。
でも会社は、「あなたがやってくれてるから」と甘え、後任を探す必要すら忘れてしまっているかもしれません。
誰かの善意によって成り立っているしくみは、いずれ崩壊します。
その人の心が折れた時、いなくなった時、誰かが引き受けなければいけません。

ただしこの考え方にあまりにも固執すると、セクショナリズムを生む要因にもなります。
特にベンチャー企業では先に述べたように、今いるメンバーでなんとか業務を回さなければならず、業務範疇にこだわっていられない状況も多々あります。そういった状況で「範疇外だから」と仕事を断るのではなく、「専任が採用できるまでの繋ぎ」だということを認識してもらった上で引き受けるのが良いでしょう。
※逆にこういった未経験の仕事を楽しめない人にはベンチャーは向いていないと思います

■組織の問題をきちんと認識してもらう
期間限定のつもりで引き受けた範疇外の仕事がいつまで経っても残っているのであれば、「いつまでもこの仕事をしていても自分のキャリアにならないので、きちんと専任を採用してください」と上司や経営者にかけあいましょう。
「専任を採用する余裕がないから」と会社のことを考えて引き受けたくなる気持ちも分かりますが、会社として組織をきちんと持たず属人化した状態は、その人が居なくなった途端に業務が回らなくなるリスクを抱えた状態でもあります。
会社があるべき組織の形を保ち、新陳代謝が正しく機能するように、職務分掌をきちんと分けるのは大切なことです。

エンジニアとしての矜持

私が「情シス」よりも「コーポレートエンジニア」という職種名が好きなのは、「エンジニア」という言葉が含まれているという理由も大きいです。
WebエンジニアやSREエンジニアほど最先端の技術を追ったり手を動かすことは少ないとはいえ、情シスもエンジニアであり「技術を使って課題を解決する」という職種に変わりはありません。
エンジニアである以上、研鑽に時間を割き、新しい技術をキャッチアップし、手を動かして経験を積まなければ、ジェネラリストであれスペシャリストであれ、どこかでキャリアは頭打ちになるでしょう。

自身の市場価値を維持・向上するためにも、中長期的なキャリアパスを描いておき、あまりにも自身のキャリアパスと関係ない仕事が続くようであれば、その会社を辞めるというのも当然選択肢のひとつだと思います。
情シスのキャリアパスについては以下のエントリにまとめているので、よければ参考にしてみてください。

おわりに

情シスは社内での信頼が資本なところもあるので、人の頼みを断るのは非常に心苦しいものです。
自分自身も社内でいろんな案件の相談が来ますが、「どこまで足を突っ込むか」の塩梅がとても難しいなと感じます。個人での判断が難しい場合は、上司に相談して組織としてどう対応すべきか検討した方が良いでしょう。
時にはNoときちんと意思表示することは、自身のためだけではなく会社のためでもあることを忘れずにいてください。


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ベンチャー企業を中心に、都内でコーポレートエンジニア/情シスとして働いています。