投稿系サイト(カクヨムやアメブロなど)の利用規約とボイコネの利用規約改訂について

 ボイコネが先日利用規約を改訂していることを(たまたま今日)確認したけれど、最初に利用規約について首をかしげてツイートしたのが2020年5月29日だったから、随分時間がかかったなぁというのが率直な感想。
 最初の申入れに対しては、適格消費者団体「消費者被害防止ネットワーク東海」(以下、引用を除き「消費者団体」という。)に対して、利用規約を改訂する必要がないというような趣旨の回答だったみたいだけれど、再申入れにより変えざるをえないと判断したのだろうか。

 個人的にNTTソルマーレ宛に質問したのが2020年6月11日で、回答が同年6月25日。内容は、なんというか上のnote記事のとおりな感じなわけで。

 最終的には知的財産権(著作権)や免責事項、裁判になったときの管轄などについて改訂されているけれど、やはり個人ではなく準公的機関からじゃないと変わらないものなんだなと思った。

改訂後のボイコネ利用規約で気になる点

 申入れの中の知的財産権(利用規約第20条)についてだけど、

本サービス以外の貴社の全てのサービスで、地域・期間の限定なく、無償かつ取消不能の利用権を許諾させることは、そのコンテンツに知的財産権を有する消費者にとって、許諾の範囲が不明確かつ広範に過ぎると言わざるを得ません。
また、本サービスの運営上、本サービスでの利用を貴社に許諾するだけで十分ですし、貴社が本サービス以外で会員コンテンツを利用したい場合には、消費者と対等な立場で消費者の権利を尊重し、個別に許諾を得ることで対応できます。

(「消費者被害防止ネットワーク東海」再申入書より引用)

 指摘されていた第20条第1項第2号・第4号において、改訂後のボイコネの利用規約は、

第20条(会員コンテンツの知的財産権)
第2項 会員は、当社に対し、当社が以下の目的で会員コンテンツを、地域または期間の限定なく、使用および利用(二次利用および再許諾を含みます)するための無償かつ取消不能の利用権を許諾します。
(2)本サービスのプロモーションを行う目的(オンラインイベントまたはオフラインイベント等での上映その他の利用を含みます)
(4)本サービスの企画・運営、共同研究において利用、改変する目的

(ボイコネ「利用規約」より引用)

となっているので、たとえばYouTubeでプロモーションを行う目的や、共同研究(どことの?)において、「地域または期間の限定なく、使用および利用(二次利用を含みます)するための無償かつ取消不能の利用権を許諾」できてしまうことになってる。

 これが消費者団体の申入れに沿ったものかどうかというのは、いささか疑義があるなぁと思ったし、これについて消費者団体がどう対処するのかもわからないので(個人的には、申入れの趣旨に沿っていないかなとは思うけれども)、最終的に「終了通知」が出されるまでは、ボイコネの利用規約について観察する必要はあるのかなと。
 個人的に脚本を投稿しているし。

カクヨム・pixiv・小説家になろう・Amebaブログなどの利用規約への波及

 ボイコネ(NTTソルマーレ)は概ね消費者団体の申入れのとおりに利用規約を改訂している。
 裁判になったわけではないけれど、他の投稿系サイト(カクヨム・pixiv・小説家になろう・Amebaブログなど)の利用規約も従前のボイコネの利用規約と似たり寄ったりなところがあるので、もしかしたら誰かが今回のことを踏まえてメールなどで問い合わせをするかもしれない。

 おそらく個人で問い合わせをしたところで一蹴されるだろうけれど、今回の消費者団体の申入れを根拠にすると、何らかの返答があるかもしれない。
 大手ではないところは、素直に利用規約を改訂するかもしれないし、たとえばカクヨムやpixivといった規模の大きなところについては裁判に発展する可能性もゼロではないけれど、消費者団体に所属されている弁護士の諸先生方が検討したうえでの申入れなので、勝訴する確率の方が高い気はする。

おわりに

 なんだかんだ時間はかかったけれども、こちらが最初にボイコネに対して問い合わせた内容以上について消費者団体が申入れをしていて、概ねユーザーを保護する形で改訂されてよかったなと思うし、ここまでボイコネの利用規約改定のために動いてくださった「消費者被害防止ネットワーク東海」様に対し、この場を借りて厚くお礼申し上げます。


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