【詩】思い出

こちらもなんとなくの書き散らしです。

こちらのご使用は御遠慮ください。

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思い出

 頭の中 捲る頁は多彩だ
 鮮やかなもの セピアなもの 沁み着いたひとつ

 砂糖を入れた麦茶
 こっそり指で食べた練乳
 ストーブで焼いた餅や煎餅や
 パンに塗ったバターの香り

 片想いのやまびこで出迎える車影
 歩き回って陣取った秘密基地
 カニとすれ違う暗い溝んこ
 練習していれば誰にも響く木笛
 抜け駆けに 特等に 遊んだ雪

 寝転がって見た昔の映画
 祖父の部屋の人形の動く時計
 祖母の引き出しのスカーフとブローチ


 背伸びした丈の合わない私の滑稽が気恥しい
 でももう戻れない時の頃

 小さな背丈に大きな寝言

 大きな部屋に静かな私


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2020/05/26 瀬尾時雨

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