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モアイ君

僕にはモアイ君という友人がいる。
知り合ったのは小学校の時だが、仲良くなったのは中学の時。
小学生の時は部活は同じだったが、クラスは別で、さほど話すことがなかった。中学でも同じ部活になり、そこの顧問出会った先生の愚痴を言い合って仲良くなった。南海キャンディーズの山ちゃん(オードーリーの若林さんかも)も言ってたけど共通の物が嫌いだと、話しやすい。

その後高校は別の場所へ行き、モアイ君は高校の勉強についていけず途中リタイアし、その後バイトで貯めたお金で自分で学費を払って高校もどき(あまりそれについて話してくれない)に行っている。
中学の時は結構いろんなことを話してくれたが、高校になってからあまり自分の事を話してくれなくなった。
それでも僕はモアイ君の話が聞きたいから月2、3回のペースで会っている。
だけど、ここ一ヶ月は入試が忙しくて会っていなかった。

久しぶりに会ったモアイ君はいつものように「最近なんも無いな。」と言っている。
僕は別の所にも行きたいが、モアイ君が好きなカラオケに毎回行く。今回も行った。

ただ、今回はモアイ君の声の調子が悪い。
いつもはSuper Flyとか宇多田ヒカルとかを歌って90点台を叩き出しているのに、声が裏返ったり、途中で歌うのをやめたりしている。
僕はいつも通り、軽く全国平均を下回る歌声を披露する。こんな歌下手な僕でも、戦隊モノの主題歌は気持ちよく歌える。上手いとか、どうとか関係無く、気持ちよく歌える。


カラオケから出たら、雨が降っていた。雨宿りがてら本屋に行き、時間を潰した。
予定は無いし、このまま帰っても良かったが、まだモアイ君の口からは調子の悪い歌声しか聞いてない。もっと何か喋って欲しかった。

そこでスマホを落としたのに気づいた。
モアイ君はスマホを探すためにさっき来た道を戻りながら、くまなく捜索するのを手伝ってくれた。
結局僕らはカラオケまで戻り、カラオケの駐輪場に落ちて雨でずぶ濡れになっているスマホを発見した。


落としたスマホには何件か留守電が入っていた。LINEを使いこなす現代っ子には留守電が入っているという事だけで、お堅い人からだとすぐ推察がつく。案の定、留守電の相手は、学校の先生だった。

すぐに留守電を聴くと、僕が入部していた部活の写真のみ卒アルに載ってなかったらしい。その謝罪のメッセージと、今後の提案だった。

最後のクラス写真には除かれるし、卒アルからは存在が消されるし、とことん僕は影が薄い。逆にこれは、なんかのラノベの主人公ぐらいのステータスじゃないだろうか。


モアイ君は僕が聞いたいことを答えてくれずに帰っていった。
県外の大学に行くからワンチャンこれから2、3年会わないかもしれない。


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