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私的写真集作成のススメ

ノンバーコードブックスでの戦略

私的写真集のフリーマーケット、ノンバーコードブックス(non-barcode books: nbb)03が終わりました。ついでにと言っては何ですが、私的写真集選手権写真展も終わりました(もっと早くに公開予定だったのですが)。
Waiwan は今回もnbbではフォトテクニックデジタルの私的写真集選手権のブースにお邪魔させていただき、新作2種を含む4種の私的写真集(書店に出回らないISBNの付いていない写真集)を販売しました。

nbbは、フォトテクの私的写真集選手権の入賞(2017 フォトジェニ賞、2018 モデル賞×2)をきっかけに藤井編集長からお声がけいただき、昨年夏のnbb01に始まり、年末のnbb02、そして今回のnbb03と3回続けて皆勤賞、しかもこの私的写真集ブースの中で(非公式ですが)3回続けて売り上げナンバー1でした(めでたい)。いや、今回は飲み仲間のきっちん篠山さんが2019私的写真集選手権の最優秀賞をひっさげて参戦とのことで3連覇は絶体絶命と思っていましたが、我が軍に天使の降臨有り、ぎりぎり持ちこたえられたといった感じだったと思います(このあたりはのちほど)。
特に売り上げ至上主義ではありませんが、私的写真集選手権と言えば国内最強の写真集クリエーターが揃っているトコロだと思っています。その中で出来が突出しているわけでもなく、他の展示のついでに作った写真集。決して写真や写真集が高い評価を得られた結果ではありません。
結果が良かったのは自分はそこにいくらかの戦略があったからだと思っています。

もう一つ嬉しかった事は、黒字化出来た事です。写真は道楽ではあるけれど、凝れば凝るほどお金がかかる。写真集を作れば余計にお金がかかるし、ロケ撮やスタジオに凝る、衣装小物にお金をかける、メークやスタイリングのサポートを受けるなどなど、やりたいけれどなかなか金銭的にも余裕が無い事が多いのですが、そこにうまい事回収した資金を投入できるのではないかと感じることが今回出来ました。とは言っても、たかだか十数冊~数十冊程度のもので、ちょっとは足しになったかなという程度ではありますが。ちなみに、様々なメディアで活躍しているえなこ様や伊織もえ様のような販売成績ではまったくありません。えなこ様はコミケでの売り上げが1千万円だそうな。

ここでお伝えしたいのは(自慢じゃなくて)、冷静に何が利益をもたらすのかの分析や戦略を考えて私的写真集を売れば、それによって得られる利益で、写真や写真集のクオリティをもっと上げる事ができるサイクルが出来る可能性がありますよ、という事なのです。そして、このやり方はひょっとして他のカメラマンさん、モデルさんにも共感いただける方が少なくないのでは、と思い書いてみる事にしました。
ただし、ここに書いているのはお金儲けの方法ではありません。いかに趣味に使うお金を効率良く捻出するかを考えた結果をまとめたものです。(あくまで自分流です。コスプレイヤーさんなどはこの方法よりもっと優れたやり方をしているのではないかと思っていますが、自分のいる界隈ではそういう話は聞こえてこないので。)

コンテンツは、以下の通りです。
・ノンバーコード・ブックスでの戦略←ここ
・そもそものきっかけ
・ポートレートはお金がかかる
・写真集販売が最適な理由
・売り手と買い手の満足度
・どこでどんな写真集を作るのか
・販売方法のキモとは
・販売時に考えるべきこと(モデル編)
・販売時に考えるべき事(販売方法編)
・販売時の注意点
・まとめ ←長いので読むのが面倒な方はここだけ読んで下さい(笑)。

もう一つ、大事な話ですが、ここを有料のコンテンツにしたのには理由があります。これはあくまで自分が考えているやり方で、カメラマンすべてが同じ考えでいる訳ではありません。また、モデルさんでも賛同できない方も少なからずいると思います。そういった、こんなの書かれたら困る、という方もいると思い、敢えてクローズドのコンテンツにしたのです。

対象読者は、既にコミケなどでガンガン写真集やROMを販売されている方ではありません。あくまで、これから写真集も作ってみようかなという方むけです。

そもそものきっかけ

アマチュアカメラマンがお金の話をするのは日本ではタブーな雰囲気はあるのですが、お金は自分への定量的な評価であると思うのです。SNSでイイね貰う事や展示で良いとアンケートに書いていただくのもとても嬉しいのですが、お金が絡むとお世辞抜きで本当の価値や評価がもう少し客観的(あくまでもう少し)かつシビアにわかると思います。ちょっと前の大規模展示でも、展示写真を見ていただいている方に声がけをすれば、お世辞でいい事を言ってくれます(本人を前に辛口批評できるのはF島さんくらいしかいないかと笑。そんな方は大好きですが)。また、熱く説明を語ってあげればアンケートでも良い事を書いてくれると思います。でもそれは良い所を探し出して行ってくれている、来場者にとってはタダで見せてくれてありがとうといった気持ちでの言葉であって、全体的に今一歩なのか素晴らしいのか絶対評価ははっきりしません。また、フォトコンテストはほとんどの場合が審査員個人の評価であって、これも個人の好みの差が激しいと思います(特にポートレートでは正反対の評価をされるケースもある)。いっぽう、写真にお金を出して買っていただくというのは、評価は購入していただいた、いただけなかった複数の視点からの評価であって、購入までしていただける方がどれくらいいるのかが直接の評価につながると思っています。
だったらこの際、お金というはっきりした基準で評価をしていただくのも、多くの人に絶対評価をしていただける良い方法ではないかと思ったからです。これはカメラマンだけでなくモデルさんにも等しく言える事で、お世辞はいくらでも言えても何らかの負担となる事はそれなりの客観的な判断が加わると思います。

ポートレートはお金がかかる(もう一つの思い)

写真、特にデジタルはお金がかからないようでかかります。ことポートレートの場合、モデルさんへの謝礼はスキルや経験値が高くなればそれが良いかは別として一般的に多めになるし(アマチュアカメラマンはならないのにね笑)、スタジオやロケ撮の交通費、場合によっては衣装代やメイクさん、スタイリストさんの費用、良い写真を撮ろうと思うと良いスタジオ、良いロケーション、良い衣装・・・とどんどんエスカレートしていきます。もちろんその前のロケハンや、ウデを上げるためのセミナー通いなどもそうですね。

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実際、あまりの撮影会通いで貯金を潰しているとおっしゃる方もいます。自分も懐具合はとっても厳しいです。これは下手をすると趣味の範疇を超えてしまう懸念が。。。
結局アマチュアはその板挟みで苦労するんだなぁと思います。良い写真を撮りたければ、ずっと何度も良い条件で撮る、それが確実ですが一方で先立つものがというこの葛藤。
そういう事もあってここ2,3年、どうしたら趣味のお金を有意義に使えるようになるのかを考えて来ました。
一つの方法は当たり前ですが、お金を節約する。例えば、衣装はモデルさんの手持ちで済ませる、ロケーションやスタジオに値段以外にこだわらない、etc.。 これらは写真を良くする方向にはあまり働かないと思います。素晴らしい腕があればそんなのは関係無いのでしょうが、そういうものに頼らないとというウエイトはアマチュアにとっては大きいと思います。ただ最低なのはモデルさんへの謝礼を値切るという事で、人をコストカット先の物として見るようなのは、人を撮ろうとする者として最低のやり方、多分撮った写真にも札束が写ってるんだろうなと思います。
あ、もう一つ自分も節約しているのは衣装の布面積が少ない事、ってそれは話がブレるのでまた別の機会に(笑)。
もう一方のやり方として考えたのが、作品を買って貰いそれをさらに次の作品に充てる、というこれから説明するやり方でした。つまりこんな風に色々考えた結果、写真集を売れば良いのでは無いかという思いに至ったのです。

写真集販売が最適な理由

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東京都在住のアマチュアカメラマンです