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プロレスを変えたのは「すべてのジャンルはマニアが潰す」という精神らしいのでラグビーも面白いことに真摯に収益構造を構築できたらいいねって話

最高のスポーツエンターテイメントは?と聞かれて、私編集長前田は迷わずプロレスと返す。
無から熱狂を作り出すのがスポーツビジネスの原点。となれば、プロレスに勝るコンテンツはない。そんなにファンとは言えない僕が言うんだから、たぶん間違いない。

Netflixがプロレスの配信に乗り出そうとしているらしい。今までの主要顧客層であるドラマ好きとは違う層を狙っていくとのこと。格闘技の中でも総合格闘技やボクシングではなく、ショー要素の高いプロレス。とくにWWEは
ネフリっぽい!
と声を上げてしまいそうになる。

スポーツの基本はショービジネスである。
ショーを見た人が「面白かった」と感じリピートしてファンになり、経済が回る。そのショーがよりクオリティが高ければ、大小様々なメディアに露出し新規顧客につながる。

アメリカをはじめとして、世界で人気のプロレス。僕が子供の頃も、「メキシコからきた〇〇」「モンゴルの〇〇」みたいなフレーズが飛び交いインターナショナルな香りがした。
が、日本では戦後の1950年代から80年代に頂点を迎えるものの、その後はプロレスの持つ「ショー」としての要素が嫌われて、総合格闘技ブームに人気を奪われる形になる。

プロレスはお芝居(ガチではない)なんでしょう?

という、ちょっと本質とは違う見られ方で2000年代は特に逆風が顕著だった。中継はなくなり、取り上げるメディアは東スポのみ。

そんな冬の時代を経て、今プロレスは日本でも人気のコンテンツとなった。転機となったのは、2015年の株式会社ブシロードによる新日本プロレスの買収だったと言われている。
突如、新日本プロレスの広告が街なかで溢れたときには、一体何が起こったのかと困惑したのを覚えている。

今思えば、エンタテインメントはまずリーチという基本を熟知した垂直立ち上げだった。買収した木谷会長の言った
「すべてのジャンルはマニアが潰す」
はいまや、エンターテインメントに関わる全ての人が肝に命ずべき言葉になっている。新規顧客獲得に資金を投入し、楽しいではなく面白いにこだわった姿勢も含め、新日本プロレスの歩みから学ぶべきことは多い。

実際に、新日本プロレスにハマっている知人から見せてもらうグッズは良く出来てる。企画もよりファンがハマりやすい工夫がされているし、一定の批判は厭わないスタンスも感じる。ファンはお客様というよりも、ともに事業を作るパートナーなのだから。

オフィシャルECサイト「闘魂SHOP」は、売ってやるんだって気合を感じる。

個人的にうまいと感じたのは、選手ロゴランダムステッカーだ。TV朝日の「新日ちゃんぴおん!」とのコラボだが、普通選手名が文字で書いているだけのデザインで商品にしようと思わないよね。

ということで、パクらせてもらいました。

クラウドファンディング・【行こう頂点へ!】日本一へ駆け上がる花園近鉄ライナーズへエールを!東花園駅をエンジと紺に染め上げたい ラストスパートで記念缶バッチ投入クラウドファンディング・【行こう頂点へ!】日本一へ駆け上がる花園近鉄ライナーズへエールを!東花園駅をエンジと紺に染め上げたい ラストスパートで記念缶バッチ投入 - 週刊ひがしおおさかクラウドファンディング・【行こう頂点へ!】日本一へ駆け上がる花園近鉄ライナーズへエールを!東花園駅をエンジと紺に染め上げたい ラストスパートで記念缶バッチ投入 昨年に引き続き、週刊ひがしおおさかが実施するクラウドファンディング「【行こう頂点へ!】日本一へ駆け上がる花園近鉄ライナーズ www.w-higa.com

会場のガチャガチャでも大人気。
さらにプロレスファンでもあるライナーズのボランティアスタッフさんたちのアドバイスで、当たりが出たら選手のポストカードやパネルをプレゼント!なんてことをして、好評を頂いている。

当日の運営も含めて、ハッピーパークにはボランティアスタッフの皆さんで作られている。

本家ライナーズも、アクリルスタンドのガチャガチャを開始。今年は定番グッズのラインナップが増えてきて、売上も好調のよう。

今後はちょいちょいやらかす失敗を、どう成長に変えていけるか。
特にラグビーは、試合数が少ない(入場料収益&放映権料が少ない)のに選手の数は多く、高コストになる。よって事業化への難易度は高い。
多くの有名起業家からも度々無理ゲーと言われる相当に困難な事業だ。
現にイギリスのプロリーグは、コロナ禍もあって3つのチームがつぶれ、チーム数が13→10と減っている。

イギリスだけではない。世界最高峰とされる、南半球のスーパーラグビーも常にチーム数の増減とレギュレーションの変更がなされている。
2017年までは、日本のサンウルブズを含める5カ国18チームで実施していたが、2018年にチームの統廃合が行われて15チームに。
今は新型コロナ禍の影響もあり、南アフリカのチームが抜けて「スーパーラグビー・パシフィック」と名称が変更されている。
再編のたびに要因として語られるのは、ざっくり言えばいつも
「勝ち筋が見えてこない」
という言葉で、見通しが立っていないラグビービジネスの苦しい現状を表している。
世界で唯一、成功しているとされるフランスの「トップ14」も一部富豪の支援による「パトロンビジネス」の色合いが濃い。

そういった背景からも、日本のJAPAN RUGBY LEAGUE ONE(以下リーグワン)に対する期待は大きい。
・人口が多く
・スポーツが市民権を得ていて
・企業がそのコストのほぼすべてを負担している
という、世界で最も恵まれた環境を求めて、今世界のスーパースターがこぞってリーグワンのチームと契約している。ライナーズに元オーストラリア代表のレジェンドであるクウェイド・クーパーとウィル・ゲニアが在籍しているのもその流れのなかにある。
現状はまだ投資フェーズと認識しているチームも多く、採算度外視で有名選手を競うように獲得し、招待券や来場記念品で1試合あたりのコストを上げている。

そんな企業努力もあってか、今季のリーグワンの観客数は好調だ。ライナーズも先日9000人を超える集客を実現し、他のチームでは2万人超えもしばしば目にする。

とは言え、企業の支援は景気に左右される。次の不況はいつ来るのか。分社化されていないチームも多く、オーナー企業のラグビーからの撤退はチームの売却ではなく「廃部」という形になる。ファンが愛したチームは、跡形もなくなる。
逆風が吹いたときに備えて、収益構造を構築するのがリーグや各チームにとって生命線になるが、その点に関してはどのチームも大差はない。

プロレスの話に戻って。新日本プロレスの公式サイトのニュースには、興行試合やグッズのお知らせにまじって、選手2人がアテンドする「ひむかのくろうまツアー」の受付がなされていた。

知名度(リーチ)があって初めて成立するし、旅行業の免許がいる企画でもある。が、グループ会社が多く沿線も日本私鉄最長を誇る近鉄は他のチームよりも企画の自由度が高い。
ライナーズがゲームチェンジャー…とまでいかなくとも、多くのチームから参考にされるような経営がなされる日が来るとしたら。僕は、ライナーズが日本一のラグビーチームになったんだと感じるだろう。

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