『7つの明るい未来技術 2030年のゲーム・チェンジャー』連載第5回+書籍試し読みを読んだ

小説家・ライターの渡辺浩弐さん(note Twitter)の新連載5回目が更新されたー!

今回発表されたのは第5回。4月18日に連載がまとまった単行本が発売するものの、4月30日でこの回の記事はクローズされる模様。内容確認したい人は今のうちに読んでおかなきゃだぜ。

以下、今までと同じく、本文に突っ込みをいれながらの感想文です。


今回のテーマは「昆虫食」。良くも悪くもバズってるワードですね。しかもその筆頭のコオロギ食についてみたい。どうなっちゃうの。


ただ僕は、単純に「楽しい」という点から、昆虫食が広がることも期待している。

私の親戚の家がいわゆる田舎で、小さな頃、一緒にイナゴを捕まえて食べたことがあります。10代前半くらい? この行為自体はオニヤンマ捕まえるのと変わらないものだった記憶があります。単純に体動かして遊ぶの楽しいねって。

でも、食べて美味しかったって記憶も特にありません。甘辛いような味だった記憶。何度かイナゴシーズンにそちらのおうちにお世話になったけど、食べたのはその一回だけだったので、わざわざ作ってくれたのかな。

そんな感じで私の昆虫食への印象は「食べる人がいても全然いいと思うし、そういう文化があるのはわかる。けど、自分から進んで食べたりはしない」というものです。


偶然ではなくて、実験動物として優れている点が、畜産動物としての優位点と共通していたということです。

この点とっても、へーってなりました。

ってことは発生生物学のモデルに使われてる他の動物、昆虫は今後食物として選ばれることがあるのかしら。wikipediaさんを見てみるといわゆるマウス、ショウジョウバエ、カエルなど。マウス、カエルの方がコオロギより食べるときに忌避感は少ないですけど、脊椎動物までいくと育てる手間が大きくなってしまうんでしょうか。


遺伝子組み換えとゲノム編集というものは同列に語られることがありますが、この2つは似て非なるものなんです。

するっとこの言葉が出てきて、とくに説明がないのがヤバイ。オレ ゼンゼン ワカラナイ。調べてみたら「ゲノム編集はもともと持っている性質を改変する方法。遺伝子組換えはもともともっていない新しい性質を付け加える方法になります」とのこと。

稲だと、実をより多くつけるようにするのがゲノム編集、蛍みたいに光らせるのが遺伝子組み換えってことかな。続くお話を見る限り、自然交配で起こりうる変化を意図的に起こす=ゲノム編集、自然交配では起こり得ない変化を起こす=遺伝子組み換え、って認識で良さそう。


例えば、食品として実はとても大事な要素は、色です。コオロギはもともと色が黒いんです。

これは、本当にその部分が問題点なのかしらと考えてしまいました。

でも、確かに主食、主菜で真っ黒なものってぱっと思い付きません。肉をよく焼くと黒に近づいていくくらい。カレーもビーフシチューも黒まではいかない。こういう発言をされるってことは、データを基に、黒色はダメという結論なんでしょうね。パンに練り込んでも米と一緒に炊いても黒っぽくなるよりは、確かに白い方が美味しそうかも。


コオロギを食べる生活をごく当たり前のことにしていくのが第一歩だと思っています。

スーパーでもコンビニでもごく日常的に目にするようになれば、深層心理的にそれらを普通のものとして受け入れてもらえるようになると思います。

グリラス社のサイトを見ると「最終的に商品としてパウダーに加工するまでの全ての工程を、日本国内にあるグリラスのファームにて行っています」とあります。逆に言うと、コオロギの形態を残したコオロギとしての出荷はしていない、ってことなんでしょうか。

昆虫の形を残していなければ「別に食べてもいいよ」って人が多いような気がします。色よりも形が大事。私が昔中二病を患っていた頃は塊としての形が残った肉(牛、豚、鶏)すら食べるのが嫌でした。挽き肉はオーケー。形が残った生き物を丸かじりにするってグロくないですか。

反面、お店なんかで売っているコオロギの素揚げって一周回ってアンチ的な活動にも見えちゃいます。「あの形だからこそ食べたいぜー!」って人は昆虫食が叫ばれる前から食べてたんじゃないすかね……。あれで、コオロギファンになる人っているのかな。

あとは単純に値段とか、味とかの問題でしょうか。コオロギの方が食用肉より安価に作れるということなので長い目で見たらコオロギ使用食品の方が安くなってきて、その頃には一般的になってるんじゃないかしら。


近未来に確立したいのは、サーキュラーフード......循環型の、ロスの少ない食料......の生産体制です。

これ、とっても面白いですね。第一回の人工冬眠とも繋がりますけど、宇宙進出をするときの何十年、何百年の星間飛行をするときに搭乗員は人工冬眠状態でいくのか、はたまた起きた状態で宇宙船内で新しい世代を産んでいくのでは、どちらがいいのかなんて妄想が膨らみます。


コオロギフードによってドラスティックに食生活が変わるというところまではいかないと思っています。

コオロギ食品を作っている方が言うと、説得力ありますね。少なくともすぐには変わっていかないし、変わっていく必要もない。私自身も、すぐには世間的に昆虫食は受け入れられるものではないと思っているので安心しました。

一世代か二世代後には昆虫食が一般化しているんじゃないかなーと思います。いまやインターネットやスマートフォンが生まれたとき既にあったよって世代がでてきているので、昆虫食も生まれてきたときには普通にあった世代がメインになれば主流になるんじゃないでしょうか。


という感じの昆虫食回でした。テーマだけ発表されていたときは炎上してしまうんじゃないかとそわそわしていましたが、地に足ついた現状のレポートでしたね。特別の驚きは少なかったですが、多くの安心を与えてくれた回でした。


そして、星海社の公式サイトで単行本の試し読みpdfが公開されています。「はじめに」と「第1章 人工冬眠」がまるまる公開。

各章ごとにあとがき的なものが追加されており、これはちょっとしたSF小説としても読める模様。著者紹介に「本書での取材をもとにした〈ゲーム・キッズ〉シリーズ最新作も2023年内に刊行予定」とあるので、7つのテーマ×20ページくらいで新作ゲーム・キッズを書くのかと思っていましたが、2ページのあとがきで一ネタつかっちゃうなんて贅沢。


次回更新分は「遺伝子検査」になる模様です。試し読みによるとサブタイトルは「配られたカードを、めくってみよう。」。スヌーピーに出てくる(らしい)「配られたカードで勝負するしかないのさ」からの本歌取りですね。

内容的には、特定の病気のなりやすさや、才能的な検査でしょうか。それが物心ついたときにはすでにわかっていたら生き方ががらりと変わっちゃいますよね。

このテーマは「1999年のゲーム・キッズ」の単行本版第一話と同じものなので、オタク特有の「作品のメインタイトルが最終話のサブタイトルになったときの興奮」に近いものがあります。


ようやく今週4月18日に単行本版『7つの明るい未来技術 2030年のゲーム・チェンジャー』が発売になります。

少し調べてみたら、渡辺さんは星海社の星海社文庫、星海社FICTIONS、星海社新書の各レーベルから単行本を出した初の著者になるのではないかと思います。間違っていたらすみません。

それにともない電子書籍レーベルのe-FICTIONSとe-SHINSHOからも両方制覇。ノンレーベルも『吐田家のレシピ』を出しているので残りはCOMICSレーベルのみ。是非とも渡辺先生には漫画を究めてもらって全レーベル制覇を目指していただきたいものです!(漫画原作でももちろんOK!)


渡辺さんはこの連載(と単行本版)『7つの明るい未来技術 2030年のゲーム・チェンジャー』にあわせて各テーマについてYouTube配信を始めました。

ハイテクノロジーをやわらかく話すといった内容で配信タイトルは「ハイテク夜話」。再生リストも作られているようです。

すでに人工冬眠、デジタルツイン、ブレイン・マシン・インターフェイス、NFTの4回がアーカイブ視聴できるので興味ある方は是非!


あとあと、渡辺浩弐さんの無料公開されている小説がまとまっているページを見つけたので、とりあえずブックマークだけでもしておくといいよ! ショートショートなので1作5分の暇潰し! しかも100作以上あるみたい!!

渡辺浩弐さんデータベース 試し読み可能作品


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