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白夜 と かえるくん、東京を救う

「神の子どもたちはみな踊る」村上春樹
村上春樹さんの作品の中で一番、好きかも。それまでの作品と違い、希望があって明るい結末が感じられるとこが初版時から好きでその後も時々読み返しています。その中でもかえるくん、東京を救う、は不思議なストーリーです。
キーワードはやはり「アンナカレーニナ」「白夜」でしょう。
アンナカレーニナはかなりまえに読んだのですが「白夜」は書店では見つからず読めないままになっていました。
で、PayPayフリマであっさり購入でき、薄い本だし一日で読みました。
読んだ後しばし余韻に浸るような本ですが(ドストエフスキーだし)
かえるくんはこの本からどんなことが言いたかったのか?の視点からも考えてみました。

平凡な、パッとしない、善良な空想家が束の間の恋に落ちます。
でもいつだって相手の女性のためを思い控えめに行動します。
もしかして自分の恋が実るかも?という流れになりかけますが、
すぐにそれは破れ去り、女性は別の人と結ばれます。

自分はこのままうだつの上がらない生活をこの先15年も続けるだろう。でもその彼女の幸せを自分が邪魔することなどあり得ない。どうか幸せになってください。それが私の幸せなのですから、、

というストーリー。
かえるくんがみみずくんと戦ってボロボロになっても、自分には利益は何もない、ただみんなを救えたことが自分にとっても幸せだった、、

というつながり?

かえるくんの死(もしくは敗北)には自分は決して報われないというしみじみと哀しいところがあり、白夜の主人公ともしかすると重なるかもしれません。

ちなみに、かえるくんのいう「機関車がきます」は、アンナカレーニナの機関車でしょうし、そうであれば主人公アンナカレーニナは、「その時自分のすべきことを全て悟った、そして機関車に身を投げ出した」みたいな流れですので、かえるくんが自ら突っ込んでいったということになります。

なぜかえるくんが自ら死を選んだのか?
アンナカレーニナと同じであるならば「自分が尊厳と自由をもち生き続けることができないから」ということになりますでしょうか?

わかるような、しっくりこないような。

ピタっと自分の中で納得できるときまで気長に待とうと思います。

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