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今では金融業界に限らず、コンテンツ産業や教育産業など様々な業界がブロックチェーン技術を用いたサービスを始めており、特に注目されているのが NFT(Non-Fungible Tok…
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#ビジネス

NFT_#7:NFTで資金調達をする - 投資家にとってのメリットとリスク

NFTは、投資家を募るための手段としても注目を集めています。この単元では、NFTを用いた資金調達の方法とその課題を解説します。 NFTと資金調達の新たな可能性■NFTによる資金調達 ブロックチェーン技術を用いた資金調達の方法はいくつかあります。例えば、新たに開発するサービスで使える暗号資産(仮想通貨)を先に売り出し、そのサービスの開発費用に充てる「ICO」という方法がありますが、ICOは世界中で未履行・資金持ち逃げの問題が起きています。また、デジタルトークン化した証券を売

NFT_#6:NFTの具体的な活用例 - NFT技術を適用する意義とは

NFTは標準化された技術であり、誰でもすぐに利用可能であるため、発行や交換だけでなく、これまでに様々な応用が試みられてきました。そのいくつかを紹介しながら、活用方法としての妥当性を考えていきましょう。 NFTの多様な応用■証明書への応用 大学の成績証明書をNFTの形式で発行することが試みられています。しかし、NFTが当初その応用として想定していた土地の権利書などとは異なり、成績証明書は他人に譲渡できない種類の証明書です。 そのような証明書を作成する際にERC-721規格

NFT_#5:NFTマーケットプレイスに採用されているLazy Mintingとは

NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)などで採用されているLazy Minting(レイジーミンティング)には、メリットとデメリットがあります。利用にあたって具体的にどんなことに注意が必要なのかを解説します。 Lazy MintingとはLazy Mintingは、トークンの所有者から指示があるまで、そのトークンを実際にブロックチェーンに書き込むことを遅らせる方式です。この方式は、NFTを発行(ミント)する際のガス代(ガス使用料)を、NFTを作りたいユーザ

NFT_#4:NFTマーケットプレイスの現状と課題を検証する

NFTが広く流通するようになるにつれ、NFTを売買、交換できるオンラインプラットフォームであるNFTマーケットプレイスもシェアが広がっています。世界最大規模の取引量を誇るOpenSea(オープンシー)を踏まえて、NFTマーケットプレイスの構造と課題を解説します。 NFTの起源:チケットからコレクティブルへまず、NFTの起源を考えてみましょう。NFTを発行したり移転したりするために最も一般的に使用されているスマートコントラクトの規格であるERC-721は、もともとトークンを何

NFT_#3:NFTの保証と限界 - 唯一性や真正性、著作権は誰にあるのか

NFTの基本的な特性は「「NFT」の基礎知識」の単元で解説した通りです。ここでは、ERC-721に基づくNFTに関して保証されること・保証されないことを説明します。 NFTで保証されることまず、何が保証されているかを説明します。 ■<コントラクトアドレス、トークンID>の組の唯一性 <コントラクトアドレス、トークンID>の組は、ブロックチェーン内に同じ組み合わせとなるものは他になく、ユニーク(唯一)であることが保証されています。これは、NFTの所有権を特定する上で重要な

NFT_#2:「NFT」の基礎知識

「NFT」とは、Non-Fungible Token(ノン-ファンジブル トークン)の略で、日本では非代替性トークンと訳されています。仕組みや特徴がよく理解されずに普及してしまったことで、NFTに対する誤解が生じています。本来、NFTとはどんなものなのでしょうか。この単元では、NFTの特徴や構造を解説します。 非代替性とはまず、NFTの特徴である非代替性について説明すると、この特性は番号で区別される券・チケットに似ています。 例えば、1万円札を借りて、すぐに別の1万円札で

NFT_#1: はじめに

この章の学習目標今では金融業界に限らず、コンテンツ産業や教育産業など様々な業界がブロックチェーン技術を用いたサービスを始めており、特に注目されているのが NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)です。NFTは様々な“価値”を保証し、発行や交換が自由にできるように捉えられがちですが、NFTが保証できるものには限りがあります。 また、Ethereum(イーサリアム)ではNFTを発行・移転するために、ERC721という規格のスマートコントラクトが最も一般的