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暗号資産(仮想通貨)

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日本の法律上の定義はさておき、暗号資産(仮想通貨)は語義的に「金融資産の権利を表現するために、暗号学を応用したもの」と定義できます。ただ、この定義からも分かるように、広範囲なサー…
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暗号資産_#1:はじめに

この章の学習目標日本の法律上の定義はさておき、暗号資産は語義的に「金融資産の権利を表現するために、暗号学を応用したもの」と定義できます。ただ、この定義からも分かるように、広範囲なサービスやプロダクトを含んだ概念になります。 Web3やブロックチェーンの文脈で暗号資産が語られる場合、「~トークン」や「~コイン」のような名前が使用されることが多く、その数や種類は多岐にわたります。 この章では、様々なトークンやコインを「機能面」と「発行方法」の2軸で分類することで、これ以降の

ステーブルコインは法律上どのように定義されていますか?

Web3やブロックチェーン技術に関して、よくある法規制の疑問に「法律事務所ZeLo・外国法共同事業」の弁護士がワンポイントで糸口となる考え方を紹介します。Web3事業開発のヒントにぜひご活用ください。 Q:ステーブルコインは法律上どのように定義されていますか? A:2022年6月3日に改正された資金決済法にて、「電子決済手段」という概念が定義され、いわゆるステーブルコインの規制が定められました。 デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会が公表した「中間論点整

第3回「Web3ポケットキャンパス」ミニテスト

ミニテストはテーマ別に出題します。学びのキッカケや知識定着の確認として、ぜひご活用ください。 今回のテーマは「暗号資産」です。 問題第1問 暗号資産について誤った記述を一つ選んでください。【正答率74%】 A. 暗号資産はブロックチェーンの技術を応用することによって生まれた B. 暗号資産は「暗号化された資産」である C. ビットコインを法定通貨として採用した国がある D. 日本において、法律改正前までは仮想通貨と呼ばれていた 第2問 ERC-20について正しいものを一

米国で承認・上場された「現物型ビットコインETF」のインパクト(コラム)

SEC(Securities and Exchange Commission、アメリカ証券取引委員会)は1月10日、ビットコイン(Bitcoin)について現物投資型のETF(上場投資信託)の上場申請を正式に承認し、翌11日から11銘柄の取引が開始されました。「現物型ビットコインETF」「現物ビットコインETF」「ビットコイン現物ETF」など、様々な呼び方がされていますが、ETFの中でも、すでに承認・上場されている先物価格に連動する「先物型」に加え、現物価格に連動する「現物型」

あなたのステーブルコインは本当にステーブルコインですか?(コラム)

ステーブルコイン はペグを目指す先(ドルや金)と同価格を目指す暗号資産ですが、正しく理解しなければ同じステーブルコインを保有していても損失を被る可能性があります。ここでは担保型ステーブルコインの一つである、Circle(サークル)社の発行するUSDC(ユーエスディーコイン)を例として深堀りしてみましょう。 複数のUSDCが同時に存在することもEthereum(イーサリアム)やAvalanche(アバランチ)、Polygon(ポリゴン)など様々なパブリックブロックチェーン上に

日本最大級の暗号資産コミュニティ「KudasaiJP」発のプロジェクトと新しい働き方(コラム)

「KudasaiJP」は2020年春、Uniswap(ユニスワップ)トレーダーのための情報共有コミュニティとして創設されました。その後、DeFiやNFT、GameFiなどトレンドを重視した情報共有の場として活用されるようになり、2022年9月には株式会社Kudasaiを設立。2023年10月現在、X(旧Twitter)フォロワー約8万人、Telegram(テレグラム)グループ約2万人という日本最大級の暗号資産コミュニティとなっています。KudasaiJPから生まれた事業や、K

暗号資産のシステム開発は「人類のチャレンジ」、変化の激しい業界の中で生きる(コラム)

2018年創業の株式会社Crypto Garage(クリプトガレージ)は、ブロックチェーン技術と金融ナレッジを組み合わせ、デジタル・アセット金融サービスの新しいインフラを提供しています。研究開発組織のDG Lab時代を含めると、2016年から暗号資産(仮想通貨)と向き合う中で、ビジネストレンドのアップダウンが大きい業界をどう見ているのでしょうか。COO&CBOの加藤岬造(こうぞう)さん、CSOのJustin Dhingra(ジャスティン・ディングラー)さん、株式会社デジタルガ

法定通貨化に少額取引の非課税化も! 世界でビットコインは今(コラム)

Chainalysisが2022年10月に発表した「2022 Geography of Cryptocurrency Report」によると、2022年世界暗号資産普及指数トップはベトナムで、次いでフィリピン、ウクライナ、インド、アメリカという国が名を連ねています。日本は26位であり、国によって普及率が大きく異なっています。 暗号資産の中でもBitcoin(ビットコイン)に注目すると、2021年にエルサルバドルが法定通貨に採用したのを皮切りに、国や地域単位で法定通貨化が進ん

暗号資産_#2:基礎知識

「暗号資産」と聞くと、代表例のBitcoin(ビットコイン)を思い浮かべる人が多いでしょう。この単元では、暗号資産とはどのようなものなのかを解説します。 暗号資産の定義日本の法律では、暗号資産を「電子的方法により記録され、電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値」と規定し、以下の三つの条件を満たしたものと定義しています。 ●サービスや物品の購入、第三者を相手方とした購入や売却ができる ●法定通貨や通貨建資産(プリペイドカード等)ではない ●有価証券、有価証券表示権利、