見出し画像

マーメイドS~運ゲーム~

「トラックバイアス」

競馬の回顧でよく言われる言葉です。内がやたら伸びたり、外差ししか決まらなかったり。そういう場合に良く使いますよね。
先週の阪神でも逃げ馬有利のトラックバイアスが発生し、そんな中で行われたのは「荒れる重賞マーメイドS」。決着は当然?のレベルで10番人気が勝ちました。じっくり回顧していきましょう。

日曜阪神は土曜日に降った雨が残っていましたが、8R後には芝は良馬場に乾き、時計面では芝1600mで土曜オープンで1.35.0でしたが日曜1勝クラスでは1.34.3と時計は前日よりも速くなり、マーメイドSの決着タイムは2分を切り、昨年よりも速い勝ち時計に確実になると推察しました。

画像1

当日のパドックはほぼ全頭仕上がっていました。毛艶も良い馬多く、脚使える馬がほとんどで、調子[1]は出走馬中で半分の8頭を打つ結果に。上下関係は無くしかもハンデ戦。何が来ても不思議じゃないと感じていました。

レースはシャムロックヒルが逃げ切り勝ち。予想の◎キングスタイルは9着、ミスニューヨークは15着と惨敗でした。

能力差はほぼなかったので考えられる◎2頭が飛んだ理由は2つ。
①逃げ馬有利のトラックバイアス
②ペースが緩んでスタミナ戦にならなかった

の2点と考察します。


まず①の逃げ馬有利のトラックバイアス。
阪神芝は土曜日から逃げ切り、逃げ切りで内がかなり良い状況。
特に内回りはその傾向が顕著で

土曜8R(2000m)逃げ切り
土曜12R(1200m)逃げ切り
日曜3R(1400m)逃げ切り

とマーメイドSまでに内回りで行われた3鞍は全て逃げ切り勝ちでした。

画像2

画像3

画像4

そんなトラックバイアスでキングスタイルやミスニューヨークは5枠から外で、しかも差し脚を武器にしている馬。これだとノーチャンスになってしまいます。
一方勝ったシャムロックヒルは1番枠から逃げの手に出て、トラックバイアスを上手く使い逃げ切り勝ち。馬場が偏るとこういう結果にもなるという訳です。

画像5

更に②のペースが緩んでスタミナ戦にならなかったも逃げ切りを生んだ原因でしょう。

前半1000m通過は60.8秒と重賞にしてはスロー。これは昨年のマーメイドSと1000m通過は同じタイムで前記の「昨年よりも速い勝ち時計になる」の状況を考えると遅く、スローでキレを活かす馬が好走できる流れになったという訳です。
事実PaddockLabに記載されている馬コメントも

1着シャムロックヒル「Hペースの函館芝2000mでバテないがジリ脚。時計速い決着は厳しい。中盤緩んだ札幌芝2000m・時計掛かる阪神荒れ芝2200mで長く脚使える。時計掛かる中京荒れ芝2000mでスタミナ課題」


2着クラヴェル「速い上がり使えない。軽い芝でキレ活かしたい。中盤緩んで時計掛かる芝1600~1800mで脚使う。スローの新潟荒れ芝1800mでスピード活かす。京都稍重芝1800mで遅れて浮上。スローの中山芝2200mでジリ脚。スローの中京稍重芝2000mで長く脚続かない。21/1/11 5F勝負で内回って伸びない」


3着シャドウディーヴァ「道悪得意。キレがあって速い上がり使える。時計速い決着は厳しい。スタミナあるがスピード劣る。Hペース芝1600mで持久力発揮。高速決着は苦手。Hペースの札幌芝1800mで外回って伸びきれない。東京新聞杯でキレ味使える」

1着はトラックバイアスも相まっての好走ですが、2・3着はキレあるけど時計速いと厳しい馬なので展開が向いた馬という事になります。

逆に

キングスタイルは「道悪得意。トモ腰甘く非力。スピード劣る。速い上がり使えない。荒れ芝消耗戦だと持久力低い。スローだと上がり負けする。時計速い決着は厳しい。時計かなり遅い重荒れ芝2000m・中盤緩んだ福島芝2000m・平均Pで時計遅い中京芝2000mでスタミナ発揮。上がり掛かる芝1800mのHペース消耗戦でスピード負け」


ミスニューヨークは「出脚速い。道悪得意。時計速い決着は厳しい。時計遅い荒れ芝1800m・時計遅い中山重芝1800mで外から差し切り勝ち。スローで時計遅い中山・福島芝1800mで2勝。速い上がり使えない。消耗戦はスタミナ課題。開幕週でHペースの小倉芝1800mで持久力発揮。新潟荒れ芝1800mで持久力課題」

で時計が遅かったりHペースになれば差し脚使えるけどスローは上がり負けする馬なので展開的にベクトルが逆だったという訳です。スローになると予測できなかった時点で私の予想は外れていたという事になります。

この点からもマーメイドSは展開と馬場状況に大きく左右されるレース質なので「運ゲーム」に近いレースになったという認識で良いでしょう。

また、シャムロックヒルの勝利で4年連続で斤量51㌔以下の馬が勝利した事になります。実績は必要ないレースになったと考えてOK。
来年以降は当日の馬場状況を気にしながら「迷ったときは斤量の軽い馬」という合言葉を胸に検討した方が良さそうです。

ちなみにマーメイドSの近5年の勝ち馬はその後の成績は[0・0・1・17]と連対が1度もありません。これは別定戦だと斤量が重く実力不足、ハンデ戦は重賞を勝ってしまったので斤量を背負って負けるという構図でしょう。
寧ろねらい目は「マーメイドSで負けた」馬になると思います。

◎を打った2頭はスタミナ戦になれば巻き返しは可能でしょうし、トラックバイアスに逆らって追い込んだ2着クラヴェルや初の2000mでも掲示板に乗った4着アンドラステ、仕上げ良かったがスローの上がり勝負は苦手なソフトフルートは次走以降チェックした方が良さそうです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?