機械生命体が企業Vtuberのオーディションを受けようとした話

 おはようございます🔷
 新年明けましておめでとうございます。タイプエムです。今年もよろしくお願いします。

 2019年最後に投稿しようとしていた記事が何となく気に入らないという理由でボツとなりまして、かなり久々の投稿となりました。上手くまとまらなかったのでクシャクシャに丸めて捨てました。
 簡潔に説明しておくと、この界隈の『中の人』という言葉に対するタブー意識が変わってきたなあという話でした。

 本日の話題はそれとは関係なく、私がVtuberという新しい表現に触れてからもうすぐ2年というところで、この2年弱の中で時折考えてるようになった(考えざるを得なかった)事です。

 それは、自己PRだとか自分を売り込むという概念を生まれて初めて自分に落とし込むことになった事です。

 就職という道を歩んだことのある者なら、ほぼ間違いなく面接審査が存在しています。であれば当然、その中で自己評価、自己表現が必要になる場面はあります。👨‍💻👨‍🏫
 ……あるのですが、私は、というか私の勤める企業は面接のパターンがほぼテンプレ化しており、実質自己紹介の場でしかなく面接なぞあって無いようなものでした。ブラック気味なのでそもそも雇用する者を選ぶ余裕すらなかったという背景はあるんでしょうけども。
 よって、『自己PR』『自分を売り込む』という概念は私にとってフィクションの中にのみ存在する文書表現のひとつくらいのものでしかありませんでした。
(恐らく一番の要因は、以前の記事でも書いた内容ではあるのですが、承認欲求が欠如しているので外に向けた自己表現に向き合ったことがない事だとは思います……)

 ある日、Vtuberを続ける内に企画の製作時間や費用など色々と不足を感じ始めた結果、紆余曲折あり企業V事務所のオーディションを受けることを決意しました。
 当然私は今のバーチャル環境保全のお仕事1本で続けておりますしアイドルや声優を目指した事もないので、おーでしょんなどというものは初めてです。
「なんか聞かれた質問に答えて出されたお題に答えるテストでしょ?」
 その程度の認識しか無かった私はまず、書類審査用のフォームを見て固まりました。

Q.自己PRを自由に記入してください

自己PRを自由にしてくださいとは!?

 いや、こういう設問があるのは知っていました。問題はそこではないんです。
 この問い、まず文字数制限が無い!!テーマどころか縛りが何も無い!!🐙
「どういうことだ……!?」と冷や汗をかきました。機械ですけど。
 文字数制限が無いという事はつまり、何万文字書いてもいいという事。ならば、筆が乗ってしまえば自己PRというテーマで短編小説を1本書き上げてしまう可能性すらあるという危険性。そういうことが有り得るわけです。採用担当はそんな虚無怪文書を何百通と読む覚悟を持っているのか……?と。
 私は今まで質問というものは提示された前提と条件に従い、法則を使用して答えを導き出すものだと思っていました。ですがこの問題は前提となる情報もなく、解答の条件も提示されておらず、あまつさえ回答すべき事項も説明されていないわけです。

 私は第1問目から、これまで生きて学んできた全てを覆されました。
 小学校の国語の「作者の気持ちを答えてください」というクソみたいな問いにすらある程度定められた答えはあるというのに、これには答えは存在しない……いや、答えは存在するのですが、この質問だと「おれはつよい」の6文字に始まり、数万文字の短編ネット小説じみた物までが選択肢としてあるわけで。両手の指では数えきれない選択肢が存在するわけです。
 要するに何を答えて欲しいのかが明確でない!

 ……第1問目から死ぬ程疲弊させられた私はそれを一旦保留して、次の設問に臨みました。

 Q.1番になった経験を詳細に記入してください

1番になった経験!?!?!?!?

 驚愕に口が塞がらず瞳孔が揺れ、全身がガクガクと震えました。
 1番という事は1位!!🚩🏆
 つまり、他の全ての人間を差し置いて優勝した経験のある者にしか記入を許されない項目……!!
 自己満足が全ての私はそもそも人と競い合ったことがないので、そんな実績は当然ありません。この設問の横に*マーク(記入必須)が付いているということは、当然その実績が必須ということ……!!

 い、いやそんなはずは……。人類の皆様は70億人くらい存在するし、その頂点に立った実績を持ったヤツならそもそもVtuberなんて不安定な商売に手を出すはずがない……!!本当にV企業はそんな贅沢な人材を求めているのか……!?



 ……そんなこんなで結局、未知の設問や高すぎるハードルの前に膝をつくしかなかった私は、書類審査を前に門前払いを食らうという結果惨敗に終わりました。

 今回の経験で私は、Vtuberという存在について、特に企業Vに対する見方を改める必要があると考えさせられました。
 まさか、こんなとんでもない審査をくぐり抜けてきた猛者の集まりだとは……凡人では到底届かない領域です。
 人気を裏付ける面白さの更に裏には、無限の選択肢から答えを導き出し、世界一の実績を持つという確かな実力があることですね?

 その昔、病んでた時期に「高卒で上京して有名企業に就職したら周囲が名門大学出身者ばかりだったような気分」と愚痴った事があったのですが、そんな生温い世界ではありませんでした……。
 企業Vのオーディションを受けるよりも先に、まずは世界1位を目指してみたいと思います。

タイプエムでした。

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