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卒業文集

 小学校の卒業文集。将来の夢は「少年サッカーの監督」と書いた。なんでサッカー選手ではなく、「少年」サッカーの「監督」なのか。当時のことは良く覚えている。

記憶違いではなく、私は母に「サッカー選手になりたい」と伝えた。母からは「万人に1人なれるかどうか分からない職業だ」と返された。初めて現実に直面した途端、私は卒業文集にそう書いた。比較的なりやすそうな、少年サッカーの監督。

中学卒業時、当時立ち上がったばかりのアルビレックス新潟がユースチームの選手を広く募集していた。選抜テストが行われるという事で、私は父に「選抜テストを受けたい」と伝えた。すると開催要項を取り寄せ、チームに問い合わせてくれた父から「プロ選手を目指す意識が必要らしい」と告げられた。結局、私は受けなかった。

どちらも同じである。高い壁があるんだよ、と現実を示された途端、私についた種火はフッと消えてしまった。上を目指したいと思うほど、サッカーに漬かっていなかったのだ。
 それは別に悪いことではない。すごく一般的な子供だったと思う。しかし、いま子育てをしていて、子供達が強く「こうなりたい!」と思う程、彼らを夢中にしてやれることはないかと思う。スポーツに限らず、いま目の前にある楽しいことを、さらに楽しませるために、大人が出来ることは何かないか。子供達が夢中になったなら、自ら向上心を持ち次のステージを想像するようになるのではないかと思うのだ。


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