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学校の生徒獲得マーケティング~少子高齢レッドオーシャンの顧客獲得戦争~

はじめに

みなさんこんにちは。マーケ・営業プロセス向上委員会のバーチャンです。
早いものでもう3月になりましたねぇ。

日系企業の多くが3月末決算/4月新年度、日本の学校の多くが3月末卒業/4月新学期ということもあり3‐4月は出会いと別れの季節なんて言われますね。
私もうん十年も前の青春時代を思い出すと今でも胸が熱くなります笑

この時期と言えば新学期に向けた受験が最後の追い込みシーズンですね。
例えば2024年の大学入試日程でいうと・・・
〇大学共通テスト(旧センター試験):1月中旬頃
〇私立大学:1月下旬~2月中旬頃
〇国公立(前期):2月下旬~
〇国公立(後期):3月中旬~
皆さまの中に受験生はほぼいないと思いますが、ご家族やお子様、親戚の方が受験されるという方は既に結果が出ている方、結果待ちの方々などいらっしゃると思います。

これまで本シリーズでは主に企業のマーケティング・営業戦略を中心にご紹介していましたが、今回は学校が生徒をいかにして集めるかを参考に、顧客獲得のためのヒントをお届けしたいと思います。

今回の記事はこんな方々におススメです。

  • 激化する市場競争で他社と差別化を図りたいという方々

  • 顧客獲得をミッションに働いている方々

  • 学校関係者の方々(あんまりいないだろうけど・・・笑)

  • 身の回りに受験生を抱えている方々

それでは行ってみましょう。


少子高齢時代における学校経営

日本では平成20年(2008年)に人口はピークを迎え、そこから年々人口が減少しています。
中でも、総人口に占める0~14歳の人口割合は平成元年から右肩下がりとなっており、極端な少子高齢社会に突入しているのが現状です。

【出展】総務省統計局HPより

こうなると厳しくなってくるのが特に私立の学校経営です。
大学、高校、中学を問わず学校を経営・運営するうえで、その収入のほとんどが学生生徒等納付金(要するに授業料)で賄われるため、生徒の母数が減れば経営を逼迫することになります。

 【出展】文部科学省 私立学校・学校法人基礎データ

では、学校はどんどん廃校に追い込まれているのでしょうか?
実は意外なことに、需要が低くなっている短期大学や地方の中小大学等においてはそういったケースもありますが、全体的には横這い~微増、大学に至っては進学率の向上もあり学校数・生徒数ともに伸びています。

【出展】文部科学省 私立学校・学校法人基礎データ
【出展】文部科学省 私立学校・学校法人基礎データ

要するに少ないパイを奪い合っていかに自分の学校に生徒を集められるか、生徒(や親や先生など関係者)に魅力的と思ってもらえるかが今の少子高齢時代を生き抜く鍵と言えそうです。

少子高齢時代における学校の生徒獲得戦略

学校が生徒を獲得すべきことは、(to B/ to C問わず)企業が顧客を獲得する戦略と類似しています。基本的には以下の流れになるはずです。

  1. 【自己分析】自分たちの強みを知る

  2. 【戦略立案】自分たちの強みを活かした集客戦略を立てる

  3. 【戦略実行】立てた戦略を実行に移す

  4. 【効果測定】自分たちの強みをUPDATEする(PDCA)

それでは、各フェーズにおいて実際に学校はどんなことをしているのか、事例も踏まえてみていきましょう。

1.【自己分析】自分たちの強みを知る

この少子高齢時代において、国公立や学区で決まる学校ではない限り、何もせずに手をこまねいても生徒が獲得できるということはありません。
つまり、特に私立学校は”何かで尖る”、言い換えれば他校と差別化する、自分たちの強みを作ることが生徒獲得の一丁目一番地と言えます。

では、どこで差別化をすればいいのでしょうか。
極論、なんでもいいのです。
他えば、こんな差別化ポイントがあります。

①”偏差値(進学実績)”で尖る
私立大学で言えば早慶、私立高校で言えば開成・灘・桜蔭、などなどみんなが知っている上位校であれば既に「偏差値」という意味で他校と差別化ができている状態と言えます。
東大合格○○名とか、医学部○○名とか、華々しい進学実績があればそれだけで尖れます。

②”就職実績”で尖る
具体的な高校名は避けますが、世の中には地元の大手企業と古くからお付き合いがあって推薦枠を多く回してもらえる、色々な意味で融通してもらえるような地域密着型の学校があります。
また、大学でいえば特に理系に多いですが有名な教授がいてその先生のゼミに入っていればある企業の推薦枠は確実、など就職への強さを強みとしている学校も多く、それを魅力に生徒が集まるといったこともあるようです。

③”外国語(英語)”で尖る
日本人って外国語(特に英語)が話せる人にものすごい憧れません?笑
交換留学制度がある、先生が全員Native、英語の単元とは別に英会話の授業がある、英語とは別に第二外国語(スペイン語とかフランス語とか中国語とか)の授業がある・・・
などなど英語、外国語に力を入れて魅力を訴求している学校もあります。
大学でいうと○○外語大学系に加えて、上智大学とかも偏差値が高くて外国語ができるイメージがありますよね。

④”制服・校風”で尖る
大体の高校は制服があると思いますが、制服がなくて自由な校風をアピールしている学校もあります。
逆に制服がかわいくて女子に人気の学校、制服はあるがリボンやネクタイは自由にしていい、など制服一つとっても生徒にアピールできる要素です。
高偏差値で有名な麻布高校(男子校)も制服がなく、ピアス等も自由だそうです。

また、仏教系学校で毎日座禅を組む学校(親御さんが厳しく育てたいというニーズにマッチ)、キリスト教系で毎日ミサがある学校(こちらもそのご家庭の宗教観にマッチ)、偏差値というよりもお金持ちの方々が集まるお嬢様学校(将来的にも上品なコミュニティと関係性を構築させたい)などなど、親御さんや生徒のニーズ・考え方に応えるような学校もその分野で”尖っている”と言えます。

⑤”何か新しいこと”で尖る
学校といえば皆さまが思い浮かぶのは、朝登校して夕方下校、部活動などやっていれば帰宅時間が遅くなる・・・みたいな世界ではないでしょうか。
そんな中、基本全ての授業がオンラインという学校もあるようです。

例えば学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校・S高等学校では、インターネットと通信制高校の制度を活用してネットの高校を創設しました。2チャンネル創設者のひろゆきさんや「違いが分かる一流芸能人」GACKTさんなどを起用したCMも話題になりましたよね。

このように何か新しいことをしてパイオニアとなることで知名度を向上させ、生徒獲得に繋がる場合もあるようです。

2.【戦略立案】自分たちの強みを活かした集客戦略を立てる

”何かで尖る”の”何か”は色々と分岐しましたが、ここからは割と共通のアプローチになっていきます。
1.自己分析の①で挙げたような偏差値が高い大学・高校は高偏差値を維持し続けられれば特段大きな戦略を立てなくても生徒は一定獲得し続けられるかもしれません。
それでは、そうではない学校はどうすればいいのでしょうか。

例えば、「印象的なキャッチコピーを使用する」ことは有効な戦略の一つです。
圧倒的な上位校や有名校でないのであれば、まずは大学の存在を知ってもらうこと、目立つことが必要です。
そのために印象的なキャッチコピーを付けて目立たせることで、学生の目に留まり心を掴むキッカケにしています。
「就職ならHAL」「帝京魂!帝京平成大学」などCMやコンビニで何度も耳にすることで脳内再生できるようになっちゃいますよね。笑

その学校を知らなければ受験してもらうスタートラインにすら立てないので、まずはスタートラインに立つという意味で非常に有効な手段となります。
その際に大事なのは、自分たちの強みをアピールし、自分たちが来てほしい生徒像を明確に打ち出すことです。

生徒が集まればなんでもいいというわけではありません。それではせっかく築いた自校の文化・風土が薄まってしまいます。
言い換えれば、マーケティングの世界ではおなじみのペルソナ”をしっかりと設定しよう、ということです。
これは、戦略立案フェーズでも戦略実行フェーズでも強く意識したほうがいいでしょう。

3.【戦略実行】立てた戦略を実行に移す

戦略が立てられたらいよいよ戦略の実行です。
例えば、学校と生徒・親御さんとの顧客接点にはどのようなものがあるでしょうか。
オープンキャンパス、学校説明会、など色々ありますが一番ライトに接点を設けられる場として、例えば文化祭があります。
この文化祭一つ取っても重要な戦略実行の場です。

○○祭と銘打った文化祭が有名なところって結構ありますよね。
高校でも盛り上がることで有名な文化祭はありますが、大学に至っては有名人を呼んだり、盛大なパフォーマンスを披露したり、数日間にも渡って何万人もくる一大イベントとなったりします。
ここでも自分たちの来てほしい生徒像を意識した催しを行うことが重要になります。
自由な校風を売りにしているのに文化祭がお堅いコンテンツばかり・・・
とかだと行きたくなくなる生徒も出てきますよね?笑

また、デジタルメディアの活用も近年益々重要性を増しています。
最近の高校生はPCのタイピングよりスマホのフリック入力の方が早い、など一日の中でスマホを触っている時間はかなり増えてきています。

HPもPC対応だけではなくスマホで見たときに見やすいものに刷新する、授業風景や学園祭の動画を載せる、在校生のインタビュー動画を載せる、それらをYoutubeやX、インスタなどのSNSで発信する、等々学生と学校がコミュニケーションできる媒体を整備し、実際に自校のイメージを掴んでもらうことが重要です。
こちらも同じく自分たちの来てほしい生徒像を強く意識しましょう。

4.【効果測定】自分たちの強みをUPDATEする(PDCA)

さて、これまで自己分析して戦略立案して戦略実行までしてきました。
これで充分でしょうか?そうですね、みなさんご存じPDCAを回さなきゃダメですよね。

例えば、英語に力を入れていることを前面に打ち出して生徒を確保できていたら、そのうち進学実績が上がってきて戦略の見直しを求められるかもしれません。
N高・S高みたいな学校が他にも乱立して最早新しいとは言えない時代になるかもしれません。
就職推薦枠を確保してくれていた企業の経営状況によってはその枠もどうなるか分かりません。

常に絶対の戦略というのはないので、効果を測定して次のプランニングをすることは当然必要ですよね。

おわりに

いかがだったでしょうか。
今回は卒業シーズンということもあり、少子高齢時代における学校の生徒獲得戦略を中心に見てまいりましたが、やはり企業が顧客を獲得する戦略と似ていますよね。

自分たちの製品やサービスの特長や強みを知り、顧客にアプローチする戦略を立て、それを実行していく。まさにマーケティング・セールス活動と言えるでしょう。
本記事を読まれている皆さんも、今一度自社の戦略や取組みを見直してみるのもいいかもしれません。

そうは言っても、どこから始めればよいか難しいですよね。
弊社ではそういった方々へ向けて、マーケティング~セールス領域のプロセスを見直す無料診断をご用意しています。
ぜひこちらから飛んで、活用してみてください。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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