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天井の詩

睡眠薬を飲むには遅すぎる時間
部屋の天井に輝く北極星よ
手を伸ばせば届くのか

星照らす先に落ちる飛び魚の羽
星釣りに行こう
宇宙に糸を垂らし
コメットを釣り上げる

虚な現実の真実の虚実よ
瞬く間に消えては現れる
意味をなくした誰かの道標

多くのものが忘れてしまつた
微細な振動の跡を辿る
追いつくだろうか

天高く打ち上げる苦しみの声
コンナニクルシイノ
成層圏に呑まれてしまえ

オゾンの加護により
ふしだらに顕現する神々の乱交を傍目に
僕は君だけを愛する
君の輪郭を愛する
中身はどうでもいい
糞尿でも詰めておけ

ああ

どうして

天井はこんなにも低く
僕を押し潰す

どうか
導いてくれ60ワットの北極星よ
僕も君と同じように働いている
疲れたんだ
死にたいんだ
消える光の下で
静かに牛乳くさいゲップを吐く

イトマキエイ千広

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