
建築家・デザイナーのためのEMARFオープンラボレポートVol.2
6月にEMARF会員対象の「建築家・デザイナーのためのEMARFオープンラボ」を計4回開催し、多くの人にお越しいただきました!
この記事では、オープンラボの内容と、お披露目したテクスチャーの加工実験の裏側を、少しマニアックな内容でお届けします。
オープンラボ概要
先月から始まった、EMARF会員限定オープンラボ。
5月のオープンラボでは「ShopBotで加工した様々なテクスチャー」をテーマに、板の表面に模様を彫りこんだ加工サンプルの展示をお楽しみいただきました。
今月は、5月に始めたテクスチャー加工のデータ生成方法をさらに発展させた加工内容で、「デジタルネイチャーな質感」をテーマに、デジタルと非デジタルのあいだにあるカタチを生み出すデータ生成や切削方法を実験する中でできたテクスチャー加工をお披露目しました。

デジタルネイチャーな加工とは?
5月のオープンラボでは、シンプルな切削経路をデザインすることでパラメトリックな加工パターンを作り出しました。
その中で、合板の表面を切削すると、板の性質上どうしてもバリが発生してしまいます。コンピューターの3Dモデル上でできていたきれいなモデルが、実際に加工するとコントロールできないノイズが入ってしまう...。この現象を、逆手に取って、予測できないノイズを生かした、人為的ではないデザインをしてみようということで、落合陽一さんのお言葉をお借りして、「デジタルネイチャーな質感」というテーマで加工実験を進めました。
制作したテクスチャー紹介
ノイズを生かしたデザインをどのように作ることができるか…?
今回のテクスチャー加工のポイントは、刃物の移動経路のデザインです。
通常のEMARFでの切削は、刃物が水平に移動して板を切削していきますが、刃物を上下に動かし、ストレートの刃物を上下させながら水平に移動させ切削していくことで、刃物と素材がランダムな角度でぶつかり、粗さや予想できない切削痕を作ってみました。
つくってみたテクスチャーの一部がこちら↓

刃物の移動経路は、画像生成AIを使い、"magical monochrome pattern"というプロンプトを入力して作った画像をRhinoceros上で線データ化し、それを円状にすることで作っています。


もう一つの作品がこちら↓

こちらも上の作品と同様、刃物の径路のデザインが仕上がりのカギとなります。この作品の場合は、1/fゆらぎと呼ばれる自然界の心地よさをテクスチャーに変換してみようというアイデアから制作が始まりました。

今回は、炎のゆらぎをテーマにしました。動画から炎がゆらいでいる画像データを一コマ一コマ抽出し、火の輪郭線をDXFデータに書き出します。時間ごとの炎の輪郭線を一つの直線状に表し、平面上にリマップすることで、刃物の径路をデザインしました。


EMARFのCAMを介してShopBotで出力することができる。
テクスチャー版画
6月のオープンラボでは、上にご紹介したようなテクスチャーサンプルや切削を見ていただきましたが、その中で生まれたのがテクスチャー版画です。
つくったテクスチャーに塗料を塗って、版画のようにしてみたらどうか?というアイデアから、オープンラボ中に急遽、版画ワークショップをやってみました。

こちらも、画像生成AIで作った画像を元に、刃物の切削経路をデザインして作ったテクスチャーです。
Vビットを上下させて切削することで線の幅が太くなったり細くなったりする模様が出来上がりました。

これに墨汁をつけて、板に模様を転写してみました。
少しずらして再度転写してみると…
モアレのような模様ができました。

最後に
6月のオープンラボでシェアしたテクスチャー加工ですが、建築や家具の一部の装飾として使ってみたり、版画やスタンプのように使ってみたり、アイデア次第で色々な創作物ができそうな予感が…!
まだまだ開発途中ですが、EMARFのサービスの一つとして、ユーザーの皆さんの創作の幅が広がるようなツールに育てていきたいと思います。
7月は、また新しいテーマでオープンラボを開催するので、EMARF会員の方はメルマガチェックをお忘れなく!
この機会にぜひ、EMARFやShopBot加工について知っていただき、ものづくりを楽しんで頂けたらと思います。
皆さんのご参加お待ちしています!
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【Update】7月のオープンラボのお知らせ!!

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