見出し画像

【cEDH】トラティム記事投稿の後に

「ティムクラ以外でエスパーカラーを有するデッキを試してみたい」との考えに至り、トラシオス&ティムナを再調整していた。

本記事では約2年前に投稿した下記を引用、加筆することによって調整内容を記す。

トラティムとは?

大きな特徴として《トリトンの英雄、トラシオス》と《織り手のティムナ》の両統率者が軽量ながら単独でアドバンテージを稼ぐことが出来る性能を持っていることが挙げられる。

アド源としてティムナの性能は間違いないが、トラシオスについては懐疑的。《フェアリーの黒幕》(以下Yuta)が登場してから青三種の神器(レモラ、リス研、Yuta)をサーチしてまで場に出す動きが増えている。すると談合プレイヤー同士の手札枚数が10枚以上でターンが回り、仕掛けのタイミングではマナの多さがより重要となる。そんなゲームで4マナも使ってちまちまアドバンテージを稼ぐ暇はない。唯一、強いと感じるのはマナ加速を意図した起動時。空中戦で追加の有色マナが染みる。

青三種の神器

この特徴から両統率者はキープ基準の軸に添えることが出来る。更にキープ基準の緩い色でもあるため、妥協のない攻め寄りのマリガンが可能。一方で速度はないため、アドバンテージを稼ぎ続ける準備段階で相手に流れを持っていかれる、もしくは敗北しないためにどこまで動くのか的確に判断する必要がある。

ティムナがキープ基準になる点は相変わらず強い。ただ、トラシオス軸のキープは《訓練場》があっても難しい。マナ加速の面では問題ないが、実がないと展開力で追いつけなくなる。序盤でティムナや青三種の神器でマナを節約しながらアドバンテージを稼げる土壌を作り、スキがあればトラシオスを起動する流れが理想的。

勝利手段

《タッサの神託者》

緑が含まれているため《タッサの神託者》へのアクセスは容易。クリーチャーサーチから《Demonic Consultation》や《汚れた契約》にも繋げられるように《呪文探求者》を採用している。基本的にサポートなしでは通らないため、打ち消しや《沈黙》系の呪文を駆使して押し通す。コンボ始動前にクリーチャーサーチから《堂々たる撤廃者》に繋ぐことが多い。

数少ない2キルを狙える軽量コンボ。《呪文探求者》は引いて強いときよりも弱いときの方が多かったため抜いた。《新生化》を採用する場合は戻してもよいだろう。Yutaの起動能力による負けパターンが増え、脆弱性は増したがその軽さは相変わらず魅力的。

《献身のドルイド》《即時換装》

2年前はなかった軽量コンボ。除去が効く、緑無限なので青がないとトラシオスを唱えられない等の弱点がある。しかし、軽量且つインスタントで狙える点、揃ってしまえばスタックの上から何度も起動し直せる点は良い。

即時換装コンボ

《研究室の偏執狂》

上記のコンボと大体同じ。勝利条件を満たすためにドローの手間が掛かる上に除去で止まってしまうリスクがある。《タッサの神託者》に何かがあった時用のコンボで積極的に狙うものではない。以前は2枚目の《タッサの神託者》として《法務官の掌握》を採用していたが、マナの伸び方的に唱えたターンに勝つことが困難だったため《研究室の偏執狂》を選んだ。《むかつき》後に勝てる確率もこちらの方が高い。

即時換装コンボがなかった当初はやむなく採用していたが、現在は不要。

《むかつき》

派手なマナ加速がないため、相手のターン中に唱えることがほとんど。相手の動きに合わせて唱え、自分のターンを迎えるのが王道パターンとなる。《むかつき》前にマナを確保しつつ動いたり、通った後にターンが帰ってくるまでを耐えるためのピッチ呪文が役に立つ。

変わらず。抜くことも検討したが、マナフラから1枚で勝てるため残した。

逆転棒は非採用

トラシオスがいるため、無限マナを出せる《等時の王笏/Isochron Scepter》と《劇的な逆転/Dramatic Reversal》が採用されていることもあるが、本リストでは非採用としている。理由は下記の通り。

元記事の引用部分は複製時に引き継がれないようだ。即時換装コンボがある今、逆転棒は優先度は更に落ちた。今後使うこともなさそうなので手放した。

キープ基準

誰がどう見ても強いキープ基準の他に、本リストには各統率者を軸としたキープ基準があるため、これらについて紹介する。

トラシオスやティムナでドローするより、センチネルや青三種の神器の方が手軽にアドバンテージを稼げるため積極的に狙う。これらを満たせない場合は下記を意識する。

ティムナ軸

理想的な動きはT1クリーチャー着地、T2ティムナ着地から即攻撃でドローを開始する流れ。ただ、そう上手くは行かないため、基本的な動きはT1マナ加速->T2クリーチャー->T3ティムナとなる。ここでT2ティムナすることも可能だが、除去された時のテンポロスが大きいため限られた条件下でしかやらない。構築ではこの流れの安定化とこの道中に敗北しないことを意識している。

T1ティムナT2アタックかT1アタッカーT2ティムナは欲しい。T3ティムナをする場合は着地後に浮きマナありで2体以上がアタックできるようにしておきたい。Yutaというキープ基準が増えたため、これらを満たせない場合は初手枚数5まではマリガンすることが多い。

トラシオス軸

T1加速->T2トラシオス->T3構えの流れも可能だが、ここでマナを使って妨害呪文を唱えることになるとテンポロスが大きい。そのため、確実に遅くてマナを伸ばし続けることに意味のある卓でない限りやらない。ただし、《訓練場》がある場合はその限りではない。また、《悟りの教示者》を含む初手でマリガンをしたくない場合はT1《訓練場》サーチ->T2トラシオス->T3《訓練場》着地&構えで始めるのもなくはない。

確実に遅い卓なら問題ないが、それ以外では狙わない。上記の《悟りの教示者》についてもサーチはマナ加速かレモラ、リス研で良い。

ブルー/グリーンカウント

ピッチ呪文を多めに採用しているため、ブルー/グリーンカウントはそれなりに意識している。枚数を考える時に共通で考慮に入れている項目は下記。

色カウントは相変わらず意識している。が、手札が容易に増えるようになったため、以前よりも少ない枚数でも許容可とした。

これらに加えて、ブルーカウントについては《意志の力》を安定してピッチで唱えられるように枠が許す限り多めに採用。20前後のリストも見掛けるが、個人的には最低でも25枚は欲しいと考えている。
グリーンカウントは《忍耐》と《活性の力》用となる。《忍耐》はアタッカーとしての運用が強く、3マナを使って唱える価値があるため無理してピッチで唱えられるようにしておく必要はない。《活性の力》については序盤から速度低下のためにピッチで唱えたいため青と同程度の枚数が欲しくなるが、残念ながら緑のためにいじれる枠がない。ただ、最序盤で唱えたい盤面では自身のマナクリをピッチコストに充ててしまっても構わないと考えているため、青よりはやや少なめの枚数でもそこまで問題視はしていない。

青は22, 23枚あれば十分な感触。

採用カードの一部紹介

《Elvish Spirit Guide》

唱える必要のない0マナ加速。T1マナクリから展開した場合にT2ティムナ即誘発の手助けになる。《むかつき》後に緑マナを生成したり緑ピッチのグリーンカウントになったりと役割の多いマナ加速枠。通常であれば緑生成マナクリ三人衆を全部採用するのだが、計算上2枚でも十分キープ基準を満たせる構築になっている。そのため、冒頭の理由に加えて全体火力を有する赤との相性も考慮して採用に至った。

瞬間加速の重要度が増しているため続投。タップアウトから突然マナを出せるため、青三種の神器とも相性が良い。

《忍耐》

ピッチで唱えられる墓地対策。アドバンテージを稼ぐ準備が完了するまでに敗北しない役割とアタッカー兼ブロッカーの役割を担う。元々受け用に採用していた2マナの打ち消しと入れ替えた。MV3の緑色クリーチャーと打ち消し耐性が高いため、《タッサの神託者》コンボや《死の国からの脱出》コンボ対策として信頼できる。単体で使うには後ろめたいが、ティムナの能力でアドバンテージ源としても運用できる点が構築に合っている。

即時換装コンボ後にライブラリーをループさせる役割が増えた。コンボに組み込める場合に限り、数少ない緑の良カードと言えるだろう。ピッチで唱えられるため、青三種の神器とも相性が良い。

《呪文捕らえ》

T2から呪文に対応してもテンポ損をしない数少ない飛行アタッカー。対象に取れる呪文のマナ総量制限はあるが、打ち消すのではなく追放する点が強い。高速卓ではコンボ関連呪文を、そうでない場合は統率者を対象に唱えてトラティムのペースに持ち込む。

T1マナクリT2《呪文捕らえ》T3ティムナの動きが良かったのだが、T1のマナクリ枚数を減らした際に本カードも抜いた。

《さまようアルカイック》

妨害、コンボサポート、アドバンテージ稼ぎと様々な役をこなせる。トラシオスとの組み合わせでよく見る《種子生まれの詩人》と交換で採用した。単体で仕事ができ、除去がなければアドバンテージに繋がることが多い上に自分の呪文はほぼ打ち消されなくなるため勝利に近づく。除去が飛んできてもその除去をコピーすれば損失のバランスを取れる(*取らされる場合もある)。裏面は唱えたことがない。

《異界の進化》を経由して出すことが多かったのだが、リスクの割に活躍がイマイチだったため抜いた。

《むかしむかし》

キープ基準を緩めるために採用。このカードの代わりに土地を採用していたのだが、グリーンカウントを稼ぎたくて採用に至った。初手になかったとしても土地がない時にサーチ妨害に引っかからないマナ加速、逆に土地が余っている時はクリーチャーを探せたりと腐ることは少ない。

キープ基準を満たせるカードが増えたため抜いた。

《召喚の調べ》

妨害枠を兼ねたクリーチャーサーチ。これまでは妨害範囲が狭くイマイチな性能だったが、《ダウスィーの虚空歩き》の登場で勝利にも繋げられる墓地対策が可能となり強化された。相手のターン中に唱えやすい《否定の力》や《精神壊しの罠》も採用しているため、手札次第ではインスタントタイミングで《タッサの神託者》コンボを狙うのも良い。

インスタントタイミングで勝利を狙える点は魅力的だが、構え方が露骨で動きがぎこちなくなるため抜いた。

《モックス・アンバー》

アドバンテージを稼ぎ続けられる準備が整ったところからの展開力補強と《むかつき》後マナ加速のために採用。マナ加速枠のため《息詰まる徴税》も検討したが、早い環境に合わせて唱えたターンに即加速できるこちらを優先させることにした。

軽量統率者であるトラシオスが生きる数少ないカード。良い。

非採用カードの一部紹介

《イーオスのレインジャー長》

《ダウスィーの虚空歩き》の登場に合わせて黒を濃いめにする過程で白を薄くしたため抜いた。《堂々たる撤廃者》はそのまま唱えるよりもクリーチャーサーチから直接場に着地させることが多く、2マナと軽めなため続投している。

入れない選択肢はない。2年前時点でもマナ基板を工夫して採用するべきだった。このことを言いたかったがために本記事を書いたと言っても過言ではない。

《唱え損ね》

元々採用していたが、最序盤で負けないための優秀なカードが増えてきたため不採用とした。自身のペースに持ち込んだ後だと全員それなりにマナが伸びていることが多く、《唱え損ね》を唱え損ねることになるのも理由の一つ。

Yuta登場によって青が強化、増えることによってログ系が息を潜めている今は不要。

《マナ吸収》《ドビンの拒否権》

2マナ打ち消し呪文は自身のコンボを守るためにはやや重く、妨害のためだけに使われることが多い。トラティムではプロアクティブに使える《忍耐》等の高性能な妨害クリーチャーが存在し、これらにはインスタントでのアクセスも可能である。そのため、2マナ打ち消し呪文に枠を割く必要はないと判断して不採用とした。

色の濃さから《マナ吸収》は不要。唱えるマナの確保も唱えたあとのマナ活用が噛み合わない。同じ打ち消し範囲だと《遅延》の方が優先度高。《ドビンの拒否権》は弱い。

《石のような静寂》

《溜め込み屋のアウフ》のように肉体があればアドバンテージ源になり得ることからキープ基準にも絡めた運用が出来たのだが、残念ながら肉体は持っていない。アーティファクト対策が強力なのは間違いないが、本構築のプランと照らし合わせて考えると残念ながら枠を割く程の性能ではないと判断した。

ファクト対策が好みではない。赤が強いのは相変わらずで、それらから妨害を受けたくない。

《森の知恵》

最初の構築時には採用していたが、リターンが遅い割には着地後のヘイト上昇が大きく、割に合わないと感じた。両統率者の弱点であるドロー制限の影響を受ける点もいただけない。《森の知恵》を採用するのであれば両統率者によるドロープランを補強した方が強いと判断して不採用とした。ドローするためのライフペイと着地による集中砲火で余計なライフを失って《むかつき》プランを失いたくない点も大きい。

Yutaで良い。

追加カードの一部紹介

《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》

対戦相手の遊◯王を許さない

縛りがちょうど良いスタックスクリーチャー。当時は環境が今よりも早く、対戦相手のピッチスペルが止まって他プレイヤーのコンボが止まらない裏目が出やすかったが、今はやや遅くなって裏目が減った。裏目が減ってしまえばちょっとした《堂々たる撤廃者》のように使える。

《復活した精霊信者、ニッサ》

ティムナアタッカーとして優秀なサイズ

トラティムはT1, 2クリプト、ソルリンの有効活用が苦手だった。そこで白羽の矢が立ったのがニッサだ。T2ニッサ着地からフェッチでティムナ着地が可能。更に誘発能力でエルフかエレメンタルが手札に加わる。手札に加わるカードはランダムだが、マナ加速、妨害、コンボパーツといずれも悪くない。
この動きが足されたことによって緑チューターもキープ基準になり得る初手パターンが増え、初動の安定感が増した。

《ドラーナとリンヴァーラ》

イラストが良い。

通称ドラリン。色が濃く、強くなった《静寂の守り手、リンヴァーラ》。Yuta下でタッサするために採用したのだが、予想以上に強いことが判明した。
起動型能力が軸の統率者(5Cシッセイ、マグダ、緑単、アーカムetc.)は打ち消しが効きづらいため、対処する場合は除去が必要となっていた。そこでドラリンがいるとこれら全てを対処しつつ、優秀なブロッカー兼アタッカーとして運用することが可能となった。これによってクリーチャーサーチしかない場面で渋々ドレイクする必要がなくなった。攻めの面でも即時換装コンボは揃っているが、ドラ判のせいでトラシオスを唱えられない等の盤面で対戦相手の起動型能力を無限回起動して勝つ、等の運用方法もある。

最後に

本リストのトラティムは40戦程度しか回せていないが、勝率は約32%と悪くなかった(明らかに有利な卓で勝った試合は除いた)。ただ、ラッキーぶっぱ勝利がない点は課題だと感じた。どの試合も地盤を固め、的確に妨害を吐き続ける必要があったため、些細なプレミが敗北に繋がるケースがしばしばあった。しかし、その分各試合から得られたフィードバックは多かった。恐らく大会には向いていないが、練習に適しているデッキと言えるだろう。

執筆中に飲んでいるコーヒー代に充てさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。