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【cEDH】猫トラテヴェのデッキ解説

猫トラテヴェとは?

バルダーズ・ゲートの戦いで収録された《ディスプレイサーの仔猫》を軸とした《トリトンの英雄、トラシオス》と《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》の共闘統率者。仔猫からチェインを始動し、《タッサの神託者》コンボや有色無限マナからのトラシオス無限起動に繋ぐ。チェインの始点が打ち消されづらいクリーチャーであり、テキスト通り"回避能力"を持っているため、ある程度の妨害を貫通できる点が強い。

"回避能力"らしい。可愛いね。

猫トラテヴェを組んだ経緯

ある日、Sさんが《ディスプレイサーの仔猫》を採用したトラティムで猫と一緒に《Mystic Remora》を揃えようとしていた。即勝利に繋がるわけではないが、ほぼ永続的に場に残る《Mystic Remora》はそのまま勝てるだけのポテンシャルを持っており、印象的な場面だった。
これを機に《ディスプレイサーの仔猫》について真面目に検討してみることにした。まず考えたのが勝利手段。組み合わせ候補として挙がったのは《時を解す者、テフェリー》、《粗石の魔道士》、《呪文探求者》の3種。仔猫の能力である程度のマナは誤魔化せるにしても2色要求は厳しいと判断して3テフェは却下。トリンケットに関しては《不死の霊薬》の組み合わせが話題になったが、コンボ以外で不要なため採用したくなかった。

《不死の霊薬》が弱い

そこで《師範の占い独楽》に白羽の矢が立った。以下の手順で大量のカードをドローすることが出来る。

猫トリンケット独楽
1. トリンケットでマナファクトサーチ
2. マナファクトキャスト猫誘発対象トリンケット
3. トリンケットで独楽サーチ
4. 独楽キャスト猫誘発対象トリンケット
5. トリンケットでマナファクトサーチ
6. 独楽でドロー
7. マナが尽きるまで2~6を繰り返す

手順内で様々なマナファクトが場に並ぶことになる。そのため、コンボに繋げられそうな呪文を引けたら猫の誘発でこれらのマナファクトを起こしながらチェインを繋ぐ。《呪文探求者》については何をしても勝てるイメージがあったため、この時点では保留としていた。
最後に統率者だが、猫採用の時点で青は確定。「猫サーチ用に黒and/or緑は欲しい」と「《魔力の櫃》を採用するから無色3を有効活用したい」と「ブリンクとシナジーがあれば尚良」ということでトラテヴェが選ばれた。

勝利手段

《ディスプレイサーの仔猫》+α

αの部分は《呪文探求者》か《永遠の証人》。前者の場合は《暗黒の儀式》等のマナ加速呪文を必要なだけ唱えてからサーチ呪文を経由して《タッサの神託者》コンボや《むかつき》に繋ぐ。後者の場合は手札と墓地のマナ加速を交互に唱えて有色無限マナを生成し、トラシオス無限起動から《タッサの神託者》か《破滅の終焉》X=無限で〆る。

トリンケットも含めて人間は強い

これらは飽くまで〆手段で、ほとんどの場合は猫+テヴェシュ等の勝利が不確実な始点からチェインする。ライブラリー内の非クリーチャー呪文は可能な限り軽量な呪文で揃えてあるため、それらを駆使してテヴェシュブリンク能力起動2ドローを繰り返してライブラリーを掘り続ける。この掘る力が予想以上に強力で、道中で《ネクロポーテンス》や《むかつき》を経由することによってデモコン等なしでもセルフLOからの《タッサの神託者》で勝つことも出来る。
この猫コンボが優れている点をいくつか挙げる。

《ディスプレイサーの仔猫》+αコンボの強み
・猫がクリーチャーで打ち消されづらい
・除去も"回避能力"で回避可能
・猫を誘発させるための呪文はある程度打ち消されても問題ない
・チェインが繋がる頃には手札に妨害が揃っている

これまでのトラテヴェはミッドレンジの割に勝利手段が脆く、せっかく初動のTurboNaus等を止められても勝ち切れずに敗北することが多かった。しかし、ミッドレンジプランにも合致した本勝利手段を獲得して環境との噛み合いが改善した。

《選別の儀式》+α

これは選別トラテヴェと同じ。猫誘発のためにマナクリをほとんどマナファクトに変換したため、以前よりも《選別の儀式》からは出ない青を確保しやすくなった。

《タッサの神託者》コンボ

いつもの。基本的に通らないため積極的には狙わない。ただ、押し込めそうなタイミングがあれば狙う。具体的には1,2番手を取れて2キルできる時や卓に青が少ない場合。誰かがコンボに失敗した直後にTutorから狙うのも悪くはないだろう。

《むかつき》

成功率の低さがよく指摘される赤抜き《むかつき》。実際《タッサの神託者》コンボのパーツが全て揃っていても(U)(U)(B)が揃わないことは多々あった。しかし、本構築では猫さえ着地させられれば猫誘発でマナ確保が容易なため、成功率が向上した。

《最後の審判》は非採用

勝利手段は既に足りており、猫コンボの方が太くて強いため。

キープ基準

1,2番手の場合

これも選別トラテヴェと同じ。付け加えるとしたら猫と相性の良い《魔力の櫃》や《厳かなモノリス》からテヴェシュ着地が出来ると尚良い。稀にT2猫から勝利できる。

3,4番手の場合

全員のプレイヤー練度もデッキパワーも高い卓の場合、独自の統計的にどんなに勝てそうな手札が来ても3,4番手では勝つ前に負けるか仕掛けても通らないことが明らかになっている。そのため、まずは妨害に周る必要がある。理想的な動きはT2時点で(U)を浮かせて統率者を着地させ、打ち消しを構えること。最悪打ち消しはなくても良いから構えの姿勢を見せる。無事T3を迎えられたらあとはアドバンテージ差を常に意識し、仕掛けられそうなタイミングで最も通り安い猫コンボを狙う。

採用カードの一部紹介

《Shield Sphere》

神決Top4常連のしもっちさんがログテヴェで愛用している壁。トラテヴェは統率者領域にログがいないため、最初のテヴェシュ起動はほとんどトークンを出して終わってしまう。そこで《Shield Sphere》がいるとそのまま2枚ドローに変換することが出来る。ブロッカーとしての役割はもちろん、猫トリンケット独楽で最後の最後にサーチしてテヴェシュの餌にすることもある。

しもっちさんの声が聞こえるため、プレイヤーも共闘になれる

《フェアリーの大群》

《Shield Sphere》とほぼ同じ。ETBでマナが起きるため猫との相性も良い。呪文を唱えるたびに有色2マナを確保できる点は大きい。青いため最悪ピッチスペルの餌にしてしまっても良しと腐り所がない。

選別トラテヴェでは抜けたけれど今回は常駐しそう

《仕組まれた爆薬》

全体除去。Xの値は主に0~2。トークンや目障りなMV1パーマネントを全て割る用。猫の誘発、《モックス・オパール》の金属術達成、トリンケットからサーチできる点も評価して採用。猫トリンケット独楽中に《ヨーグモスの意思》が手札に来た場合は並べたマナファクトを爆破することによって更なるチェインを狙える。

"烈日"という日本語キーワード能力名を今知った。カッコいい。

マナ基盤

マナ加速をマナファクトに寄せたため、《産業の塔》も採用して3色分の安定感が増した。《ドライアドの東屋》も《緑の頂点の太陽》と一緒に抜いて多色ランドに変更した。土地の枚数は安定と信頼の29枚。色のバランスも含めて期待値的にこの枚数が最もバランスが良いと考えている。

最後に

過去のトラテヴェは共闘でありながら片方しか活躍できず、共に闘えていないことが多かった。しかし猫の登場によってプレイングの選択幅が広がり、テヴェシュでトラシオスを生け贄に捧げる機会が増えたり、猫テヴェシュチェインからの無限マナでトラシオスとバトンタッチしたりと共闘する機会が増えた。我ながら両統率者の強みを味わい尽くせる良いBUGミッドレンジに仕上がったと好感触を持っている。

執筆中に飲んでいるコーヒー代に充てさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。