見出し画像

【cEDH】Yuriko Goのデッキ解説2

Yuriko Goのデッキ解説を投稿してから1年が経過した。この1年間で構築とプレイングの練度を高めるためにあれこれ試し、新カードの登場に加えて考え方の変化でもリストが更新され続けた。本記事ではMoxfieldのPrimer更新も兼ねて、改めてYuriko Goについて解説する。

Yuriko Goとは?

《虎の影、百合子》で攻撃して構える動きが基本戦術となるため"Yuriko Go"と名付けた。勝利手段は百合子ダメージと《タッサの神託者》コンボの2種類。どちらがメインプランということはなく、その場で得られる情報からより成功率が高そうな勝利手段を選択する。同統率者でも特殊勝利に重きを置いたリストが主流だが、ライフをリソースとしたパワーカード(主に《むかつき》)を実質無効化させるために百合子ダメージもコンスタントに狙えるリストに組み上げてある。

勝利手段

百合子ダメージ
対戦相手のライフを削り切るプラン。運良くMV(マナ総量)の高い呪文がめくれることもあるが、トップ操作でダメージを狙う必要がある。この勝利手段のためにMV14の《ちらつき蛾の注入》を採用。百合子ダメージで狙える最大火力はMV16の《ドラコ》が勝るが、ライブラリートップに直接置けるカードの種類が《神秘の教示者》分だけ少なく、手札に加わったあとの使い道がないため不採用としている。

《タッサの神託者》コンボ
いずれかのパーツが偶然手札に来た場合やダメージプランで勝てる見込みがない場合に狙う。《タッサの神託者》はトップ操作、《汚れた契約》は疑似サーチとしても使えるため、ダメージプランで勝つために単体で唱えてしまうことも多々ある。

《最後の審判》
非赤は遅く、ミッドレンジ寄りの青が他にいない卓で多数の高速デッキ(主に《ロフガフフの息子、ログラクフ》)と対峙すると捌き切ることは困難になる。青黒2色では採用できる妨害札も限られるため、《最後の審判》を採用することにした。パイルを組んだ後は百合子の誘発で掘り始める。
青が少ない卓では強い。青が多い卓では急いで唱える必要がない。百合子ダメージによる勝利も狙いやすいため、締めのトップ操作として扱うことが多くなる。これは《タッサの神託者》を唱える必要がなく、その分のマナを打ち消し呪文に回せるため。《思考停止》だけは要注意。

《逆嶋の学徒》+《波止場の恐喝者》無限コンボ
場に《波止場の恐喝者》があり、波止場カウントが5以上であれば《波止場の恐喝者》として場に出られる《逆嶋の学徒》と百合子を交互に忍術させることによって宝物トークンを無限個生成することが出来る。生成した後も忍術は繰り返せるので《逆嶋の学徒》を無限CIPなり無限起動で勝てるクリーチャーとして場に出す等して勝つ。

他の追加ターン呪文について
ダメージプランと追加ターンの相性は良いが、本リストでは《時間の熟達》と《時間への侵入》以外に1枚も採用していない。理由はMVが最低でも5と重い上に、青いソーサリーは打ち消されやすいため。

キープ基準

T2百合子するために種1枚と土地2枚の手札を狙う。このため種クリーチャーは13枚、土地は多色土地を多めで29枚採用している。《エピティアの賢者》は青が出る土地1枚と共にキープ可能な唯一無二のカード。確率は低いがT1に0マナ加速からMV2クリーチャーが出る確率等の細かい部分もシミュレーションに含んでいる。

マナ基盤

基本土地多めと特殊土地多めの2択。統率者は常に2マナであり、呪文を唱えるために使われるマナは探査呪文を除けば最高でも3マナのため、マナ加速は必要最低限の採用。本リストは特殊土地多めとなっている。それぞれのメリット・デメリットは下記の通り。

〜基本土地多め〜
メリット
・《基本に帰れ》採用可能
・《神秘の聖域》採用可能
・特殊土地対策が効かない
デメリット
・キープ基準を満たすための土地枚数が増える
・《花の絨毯》に負ける試合あり

〜特殊土地多め〜
メリット
・《汚れた契約》採用可能
・黒が濃いカード採用可能
・キープ基準を満たすための土地枚数が最低限で済む
デメリット
・特殊土地対策が効く

《最後の審判》を採用するようになった時点で特殊土地多めは確定なのだが、それを抜いても基本土地多めのメリットが弱い。環境的にケアしなければならない特殊土地対策は《基本に帰れ》のみ。《基本に帰れ》は基本土地を4枚採用できる百合子以上に刺さる他の多色統率者が処理してくれることが多く、土地の置き方でケアしておけば致命傷になることは少ない。
百合子で採用する《基本に帰れ》はマナ加速が少なく、先置き出来るスタックス呪文も少ない構築ではテンポロスするだけになることが多かった。《神秘の聖域》については最速でもT4アンタップインと遅く、現在の高速環境に合っていない。

採用カードの一部紹介

《第四橋をうろつく者》
かつては緑のマナクリを落とす程度の役割しかなかった。しかし現在は《ロフガフフの息子、ログラクフ》がトップメタにおり、これの抑制も兼ねて採用。ほぼ殴り放題だった赤にも《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ドラゴンの怒りの媒介者》等のT1に出てくるクリーチャーが現れてきたため、今後は優先度の高い種クリーチャーとなりそう。

《呪文づまりのスプライト》
打ち消せる範囲に制限はあるが、後続の種に成り得る瞬速飛行クリーチャー。制限で打ち消し対象がMV1以下になることが多いが各種Tutor、マナ加速、《Demonic Consultation》等の優秀な呪文を対象に取れるため腐ることは少ない。一度見せて忍術で手札に戻しておけば唱える必要すらない抑止力にもなり得る。

《風呼びのエイヴン》
サイクリングで忍者に飛行を与える。手札を消費することなく忍者の攻撃が通るようにできる数少ないカード。MVも6と高い。《最後の審判》パイルに含まれることもある。

《対称な対応》
《最後の審判》も採用し、解決後にそのまま勝てる動きが増えたため採用。解決後はそのまま勝つか、せめて対象に取ったプレイヤーを倒したい。《盗賊ギルドの処罰者》で相手がサーチしたカードを落としても良い。1周分耐えられる自信があるのであれば、下家を対象に唱えて卓の妨害札を吐かせ、翌ターンの勝利を目指す選択肢もある。
《船殻破り》が禁止となり、除去が少ない環境になったため《敵対工作員》とのコンボが決まりやすくなった。

《通り抜け》
ウィザード・サイクリング(2)。《タッサの神託者》へのアクセス手段を増やすために採用。他にもブロック耐性が欲しければ《翼作り》、バウンスしたければ《シディシの信者》、トップ操作をしたければ《エピティアの賢者》等サーチ先は豊富。
《逃亡者、梅澤哲子》を抜くためにここ数ヶ月試行錯誤していたのだが、ブロック耐性を付与できる《翼作り》にもアクセス出来る本カードの登場によって解決した。MVも5と高い。

《湖での水難》
やや不安定ではあるが《船殻破り》が禁止となり、統率者を含む特定クリーチャーの依存度が高いリストが徐々に増えてきているため、打ち消し枠も兼ねた除去として採用。高速コンボは何かと墓地を利用するため、対象に取れなくて困ることは少ない。

《魔力流出》
最強のアーティファクト対策。高速コンボはほとんどの場合マナファクトによる加速から動き出す。そのため、T3にタップアウトしてでもこのカードさえ着地させてしまえばマナファクトを根こそぎ生け贄に捧げさせ、事前にコンボを防げることが多い。アーティファクトを場に残さないため、後引きの除去では対処できない点が《無のロッド》系と大きく異なる。同様の理由で《波止場の恐喝者》による逆転も許さない。土地が伸び切ったロングゲームでは役に立つことが少ないが、その場合は青ピッチのコストに充ててしまえば良い。

非採用カードの一部紹介

《メムナイト》《ファイレクシアの歩行機械》
T2百合子からのT3追加忍術ができれば強いが、キープ基準を満たした上で忍者も揃っていることは少ない。また、忍者がいない場合はピッチスペルのコストに出来ず、相手の波止場カウントにも含まれてしまうため非採用。《魔力流出》との相性も悪い。今後強力な忍者が増えるのであれば採用することになるかもしれない。

《自在自動機械》
忍者であり、無色マナから唱えられる点は評価するがそれにしても脆い。タフ1でブロック耐性もないため、マナクリにブロックされる場面も出てくる。

《逃亡者、梅澤哲子》
採用しているほとんどのクリーチャーがブロックされなくなる。とはいえ2マナでブロック耐性付与のみはコスパが悪い。現在は種兼ブロック耐性付与が可能な《翼作り》にアクセス可能な《通り抜け》もある。T3での動きに焦点を当てると《通り抜け》&《翼作り》の場合はタップアウトすることになるが、この点は多めに採用してある除去でカバーする。

《霧組のナーガ》
環境の除去が減っている点は追い風だが、忍術コストが3とやや重く、増える能力の恩恵を受けられるのは翌ターンからとやや悠長。忍術コストが軽い他の忍者を採用した方が良さそう。

《村の儀式》
《最後の審判》と共に採用されることが多いが、なくても困らない。本リストはパイルを《噴出》、《風呼びのエイヴン》、《通りの悪霊》、《タッサの神託者》、任意のカードとすることで《精神的つまづき》をケアすることが多い。そのため、ピッチコストにすら出来ない《村の儀式》に出番はない。ただ、MV0の種クリーチャーをフル投入するのであれば検討の余地はありそう。

《呪われたトーテム像》
単純に枠がないため非採用。マナ加速をマナクリに頼る緑系が復権する時が来れば優先度が上がるため、改めて採用を検討する。

《闇の覆い》
ブロック耐性を付けるためだけに枠を割く余裕はない。

最後に

《虎の影、百合子》のリストは2018年に登場してからずっっっと調整し続けているのだが未だに変化は続いており、実に面白い統率者だと感じている。更に嬉しいことにネオ神河が発表された。ほぼ間違いなく新しい忍者が増えるだろう。最近は環境を探るために他の統率者にも手を出しているが、これからも百合子の調整は続けていきたい。

執筆中に飲んでいるコーヒー代に充てさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。