見出し画像

私が思う理想的な講義

 まあ、30年以上もずーっと教員なんぞをやっておりますと、特に若いころは、適当に流しながら講義をしてたこともあるよなあー、と思いますね。今考えるともったいない時間の過ごし方だったなあ。
 数年前くらいから、私が心がけているのは「おもしろくてためになる」ということなのですねえ。でも、実はこれ簡単なようで非常に難しいのです。ためになることはおそらく教員であるならば当たり前なんですよね、役に立たない学問なんてありませんからね、おそらく。難しいのはそれを如何におもしろく伝えるか?これはかなり色々な先生方が試みておられますが、なかなかうまくいかない。おもしろさだけを追求したらためにならなかったりします。
 私が小学生のころ「まんが日本の歴史」という本がありました。これ、正におもしろくてためになるの教科書のようなものですね。おかげさまで日本史の基本的な知識は十分に理解した上で学校の日本史の授業を受けることができました。そんな感じで難しい内容の話ほど、面白く話をするべきですよね。
 データ分析や問題解決なんかの課題はホント嫌われる科目なんですよね、理系の知識がないといけないという先入観があるのでしょうね、いきなり理解せよは無茶です。生活に密着した例をたくさん用意して理解を促すのですね。で、やたら専門用語を振り回さないこと。
 Excelやらの操作では「配置と書いてあるところから右に7センチ行ったところ」とかほんと丁寧にかつわかりやすく説明をすることで、段々理解してもらえるのですね。
 プログラミングなんてのも最初からガンガンコード化できるならばいいのですが、そんなのはごく少数で、ほとんどが初めて出会うものです。そもそもの意味を理解せずにいきなり「さー書け!」は挫折誘発以外の何でもありませんね。今から書くプログラムはどういう事に利用するために書くのかをじっくり説明して全体像を示して今回のプログラムはそのうちのこの部分だということを知ってもらってから作り出す。これが大事なんですよね。しかもちょっと面白く。このごろですと「さあ!ドローンをとばしましょうか!」いきなりは無理やろ!という空気が漂いますが、簡易的な言語をドラッグアンドドロップでちょいちょいと作って残りの時間はひたすらドローンで遊ぶ。難しい理屈は抜きにしてまず遊ぶ。これがいいんですよねえ、ザ・大学の授業みたいな。最終的には基本的なプログラミング能力を身につけてもらうのですが、入り口はこんなもんですよ。そこを割り切って考えられたらどんどん楽しくなるものです。「よーし、次回は簡単な人工知能を作ってみよう!」なんてのをぶち上げると期待が高まり、「あ、ちょっとだけPythonを予習しといてくれるとありがたいぜ!」なんてことを頼んでもちゃんと勉強してきてくれるようになるんですよねえ。
 情報デザインなんて科目では「よーし、デジタルサイネージつくろかー」とか「写真集作ろう!」など。ちょっとした工夫でその科目が面白いものになることも多いのです。
 MOSの科目では、「模擬試験で得点+時間(50分-自分のかかった時間)で競争」したり、おかげ様で合格率は100%を誇っています(ちょっと自慢)。
 人間、しんどい、つまらん、おもしろくない、なんてのが続くと苦痛ですし、身につきません。おもしろい、ラクチン、簡単、てなると知らぬ間に身につくものです。でも、すべての科目をそうできているか?は私もできていない科目もあると思います。それでも創意工夫して何とか「面白くてためになる」を目指して行きたいと思います。ある意味今はそれが楽しくて仕方ありません。すべってもめげずにがんばります!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?