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【シェー代表インタビュー】Omni Avatarとは?どんな概念なのかお話いただきました

皆さんこんにちは。VRC note編集長の八重樫です。
VRCの事業進展についてシェー代表にこの前聞いたのですが、その続きということで今回は「Omni Avatar(オムニアバター)」という概念についてお話を聞きました。

■Omni Avatar(オムニアバター)とは?

ーーOmni Avatarというのはあまり聞かない言葉なんですが、 そもそもどういう意味でこれを使い始めたんですか?

「Omni Avatar」について詳しく話すと、まず始めに「アバター」っていうのは、オンラインの世界、バーチャル空間で自分を表現するキャラクターのことを言います。多くの人がこのイメージを持っているでしょうね。

そして、「Omni」っていうのはラテン語の言葉で、「全て」や「全方位」っていう意味があるんです。なので、「Omni Avatar」は、全ての物理空間情報を取得する、という概念のアバターとなります。

基本的な「アバター」っていうのは、本来、「化身」を意味していて、人間の分身や身体の代替を象徴するんです。見た目や形状の情報、そして状況や環境といった間接情報があれば、アバターを形にすることができます。

しかし、「Omni Avatar」の場合、さらにその中に、体データやバイタル情報等、あらゆる人体に関連するデータを持っています。例えば、体重や体脂肪率、体温、更に、血液情報、脳波など、全部あるいは一部だけでもOmni Avatarの保有するデータ対象になります。これらの体データをアバターに盛り込むことで、エンターテイメントやコミュニケーションだけでなく、健康増進など、さまざまな分野で新たな価値を提供する可能性が広がるんですよ。

ですから、「Omni」を付けることで、「全てを網羅する」という意味合いを強調し、「多様なデータを取り込む」アバターという概念を強く打ち出しているんです。

ーーなるほど。私たちは今まで、3Dアバターとそれを生成するためのボディスキャナを含めたバックエンドのソリューションを提供してきました。今までの3Dアバターよりアップグレードしたというか、見た目情報だけではなくいろいろな体の情報を持っているアバターというのが「Omni Avatar」なんですね。

そうです。

ーー今までのアバターに付随して体温やバイタルデータなど体の情報を全方位取れるんです、そういうソリューションなんです、と言い始めた理由は何かあるんですか?

1番最初のきっかけとしては、いろいろなデータが取得できるようになってきた中で、それらを併せ持ったアバターを作ったらどうだろうか、と思ったことがきっかけです。元々アバターっていうのは、ファッション業界でいうとバーチャル試着やファッションショー、エンターテインメントなら音楽ライブやコミュニケーションなど様々な活用がされてきました。それは見た目だけの活用であったり、サイズ情報の活用だけであったり、取得できる体データの一部を使ったものでした。

一方で、今後の活用を考えたときに例えば健康に関する分野に目を向けてみると、冷え性のような女性特有の健康問題がありますよね。そこで、「この体型の人は、この体重、この体脂肪率、そしてこの体温を持つ」というデータを記録し、それが時間とともにどのように改善していくか、何が有効な対策になるかということをエンドユーザーに分かりやすく、エンドユーザーが自分自身についてより理解するためのソリューションを提供したいと考えました。

そんな想いから、「体データ」をアバターに追加する形で、「Omni Avatar」の活用を進めることにしました。これにより、アバターがただの見た目を表現するものから、人間の全体像を描くものへと変化したわけですね。


ーー現代では例えばウェアラブル端末をつけるだけで、睡眠の情報とかバイタル情報とかいろんな情報が取れたり、体重計とスマートフォンが連携して、 データが毎日乗れば自動で記録が取れたりとかしますよね。やっぱりそういう風に体のデータを定期的に取っていくことや、それを記録して見た目の形状も含めてデータを記録しておくことは必要になってくるんでしょうか?

そうですね、現代ではウェアラブル端末を使って簡単に様々な情報を取得できるようになりました。例えば、睡眠の情報や体重計とスマートフォンの連携による自動的な記録などですね。このように、定期的に体のデータを取り、それを記録しておくことは重要になってきます。

ウェアラブル端末はバイタルデータを取得するための便利なツールであり、普段の生活に浸透し、多くの人々に重宝されています。ただ、私たちは体のデータだけでなく、外見の情報も簡単に取得できたらいいのではないかと思います。

体の情報には例えばバランスや姿勢などもあります。リハビリや矯正、整体などを受ける前に、自分でストレッチしてどこまで手が伸ばせるか試してみるとなかなか体が伸びない、ということはあるのではないでしょうか。そして、施術後にもう一度試してみると、手が遠くまで届くようになり、施術の効果がわかります。実は施術後には体のバランスも改善されています。このような変化を実感するだけでなく、外見的にもどのような変化が起きているかを視覚的に提供することで、サービスの使いやすさが向上します。

視覚的な情報があることで、体験と合わせて改善に向けて努力する意欲や、改善の意欲が高まると思います。ただ、これらの変化を実感しても、微妙な違いは感覚的にしか理解できず、数値的に表現するのは難しいです。しかし、視覚情報に変換し、記録していくことでわかりやすくなります。これにより、健康意識も向上すると思います。

ーー視覚的に分かりやすくなることで、数字を見るだけよりも意識も変わりそうですね。

ボディ・ポジティブという概念も数年前から言われています。体の大きさ、肌の色、身体能力などの差を全て受け入れていこうという社会運動ですね。そういう考え方からも、ありのままの自分を記録して受け入れていくというのは良いのではないかと思っています。

ーー企業においてはどのようなユースケースが想定されるでしょうか?

企業における体データの活用は、ユーザーエクスペリエンスを向上させる上で重要な要素となっています。体データを既存のサービスに組み込むことで、ユーザーの使用頻度を増やすことができるでしょう。

VRCのソリューションでは簡単にスキャンして一気に多くの情報を取得できるため、ユーザーは手軽にデータを集めることができます。この利便性により、ユーザーは継続的に体データを取得したいと思うようになります。

例えば、服のサイズレコメンドを提供しながら体型管理や体調管理もできるアプリがあれば、ユーザーはさまざまなタイミングでそのアプリを利用したいと考えるでしょう。自分の体データを活用することで、より適切な服の選択や健康管理ができるからです。

また、体データを活用したサービスはユーザーに対して個別化された情報や推奨事項を提供することも可能です。例えば、ユーザーの体データから適切な運動や食事のアドバイスを提供することで、ユーザーはより効果的な健康管理ができるでしょう。これにより、ユーザーはサービスを必要とする様々なタイミングで活用したいと思うようになります。

体データの活用は、ユーザーエンゲージメントの向上やサービスの価値を高めるために不可欠です。ユーザーが簡単にデータを取得し、それを活用することで自身の健康や生活の質を向上させることができます。企業は体データを活用したサービスを提供することで、ユーザーのニーズに応え、より魅力的なアプリやサービスを提供することができるのです。

■身体情報を記録するトレンドは技術的にみてどうなる?

ーー技術的には身体情報をどう記録していくのが良いのでしょうか?やっぱり、ボディスキャナで撮った方がいいですか?それとも、スマホのカメラでもいいんでしょうか?

最近はいろんな技術がどんどん進歩しているので、常に新しいアップデートがありますね。以前はデジタルヒューマンを作るためには、特別なスタジオに行ってスキャン撮影をしないといけなかったんですが、それはちょっと手間だし、めんどくさいって思う人も多かったですね。

でも、エンドユーザーにとっては、ボディスキャナを使えば誰でも簡単にアバターを作ることができます。自分の携帯で作ったり、パソコンを使って修正したりするのは、ちょっとした技術や時間が必要です。でも、みんながそれを持ってるわけじゃないので、実際のところやろうとするとハードルが高いです。そういった「アバターを作りたいけど難しい」というニーズに貢献することができると思います。

ボディスキャナでは、その場に行かないといけないという形式にはなりますが、操作スキルや制作時間が不要で、簡単に自分のアバターや身体情報を取得できるんです。ここは、つまりUX的に色々弊社なりに工夫したところですね。

オンラインとオフラインのUXで言うと、アパレルを例とすれば、オンラインで服を買うのは簡単になりました。でもやっぱり実際にお店に行って試着したり色を見たり布地を触ったりする経験があってから買うと安心感があるし、そう思ってお店に行く人もいます。そして、お店でいろんな服を見て試着する買い物体験そのものが楽しいっていう人もいますね。

オンラインでパソコンやスマホを使って買い物するのは便利だけど、やっぱり実際に動いて現場に行って楽しむっていう気持ちもあると思うので、エンドユーザーの消費者習慣や体験的には、これは大切なポイントなんじゃないかなと思います。
なので、場所に行って簡単に時間をかけずにスキャンしてデータを一瞬で取得するというのも良い体験になり得るし、ニーズもあるのではないかと考えています。

ーーそうですよね、店舗に行くことは面倒ではあるけれども、そこで体験する良さはありますよね。

それから、もう1つエンドユーザーの体験にとって大事なポイントは、精度の問題です。例えば、スマホで写真を撮ったり、自分で動画を取ったりすることでサイズ情報を推測して取得するサービスがありますが、これは精度、サービス安定性とUX、三つとも成立させるのはなかなか難しいのが現状です。VRCのボディスキャナではその点も工夫しています。

ーーなるほど、撮影したデータが精度が悪いと気落ちしますが、できるだけ精度が良いデータになるように工夫しているんですね。

■生成系AIとの差異は?

ーー最近生成系AIの技術進歩もすごいじゃないですか。そういった技術と比べてリアルなデータは何がいいとか、そういった技術とコラボするとどうなっていくとか、その辺についてのご意見もうかがいたいです。

さっきの質問の延長線で言うと、 自分のスマホやパソコンで写真やテキストを入力して、生成系AIの技術を使うことでいろんな表現ができるようになりました。その表現はコンテンツクリエーション、あるいはUGCとして、十分に活用することができるようになってきました。

ただ一方で、単なる表現じゃなく、そのデータを使って何かしらの解析をするとか、さっき申し上げた健康系の分野や、あるいはサイズ測定とか、そういうサービスを適用する時には、やっぱり物理世界のデータの正確性が重要です。その辺に関しては、生成系AIの技術だけでなく、お互いに補い合いながら、ビジネスあるいはサービス展開していくことが重要ですし、理想かなと思います。

ーーそうですね、補い合いながらっていうのは確かにありますね。それぞれの良さ、リアルな精密なデータが持ってる良さと、コンテンツジェネレートして作ることの良さみたいなものは方向性も違う気がします。それらがコラボすることで、リアルなデータプラス、ちょっとデフォルメするとか、ちょっと綺麗になるとか、そういうのがあったらやっぱりエンドユーザーも心理的にはいいかなと思ったりします。 そういう楽しく綺麗に見せたいというところが生成系AIの技術も使って簡単に安価にできてくると、みんなスキャナで撮影する動機にもなるので、そういうことも含められると良いです。

そうですね、撮影する動機という意味では、場所などに紐付けた限定コンテンツという考え方もあるかなと思います。イベントに行ってスキャンしないともらえないとか、IPとコラボしていて限定した場所に行かないと体験できないとか、そういったことも撮影の動機につながるかなと思いました。

これから多くのエンドユーザーが体験したい、自分の体のデータを取得して健康管理などに活かしたいと思ってもらえるようなサービスを作っていきたいと思います。

ーーそうですね。どんなサービスが出てくるのか楽しみにしています!

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