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世界最大級のXRカンファレンス"AWE 2022 USA"に出展したお話と、これからのXRのトレンドを考察。

XR起業家でホログラム配信スタートアップHolotch(ホロッチ)のCEO 小池です。

先日アメリカのシリコンバレーで行われた、世界最大級のXR(AR/VR)関連のカンファレンス"AWE2022"に出展してきました。

そこで感じた事などを簡単にメモしていきます。

実はHolotchのツイッターもあるので、良ければフォローをお願いいたします🙇‍♂️

AWEとは?

2010年にaugmentedreality.orgによって組織され、初回イベントの参加者は300人程度でしたが、XR産業の成長と共に業界の最重要イベントとして進化を遂げ、現在ではAWE USA,AWE Asia,AWE  EUという大規模なカンファレンスを世界中で展開する組織へと変貌しています。

ブランドを活かしたAuggie Awards(受賞式)や、AWE Night ○○(各都市名)というサテライトイベントも世界中で行われるなど、XR業界の発展に大きく貢献してきました。

もう一つ大きな業界団体としてThe VR/AR Association (VRARA)が主催するカンファレンスに、Immerse global summit(旧 The VR/AR global summit)があります。

個人的な所感として、The VR/AR global summitからメタバース/web3推しにリブランドしたImmerse global summitに比べて、今回のAWE2022自体はその傾向が少なく、割と昔ながらのというか、王道なXRの雰囲気を保ったイベントでした。

AWE2022サマリー

公式HPによると出展社は220社現地での参加者が約4000人オンラインでの参加者が約3000人キーノートスピーカーが420人(内半数が女性)と、世界最大級のXRカンファレンスというに名に相応しい盛り上がりを見せていました!

毎年AWEに照準を合わせて、新製品やサービス等のアナウンスを行う企業が多いので、関連する記事やブログなどをチェックするだけでもトレンドを把握しやすいのでオススメです。

こちらに公式のサマリーを載せておきます。

AWE2022出展企業のトレンド

一番目立って(お金掛けて?)いたのはNianticSnapMagic Leapでしょうか。

Nianticは先日発表されたLightship ARDKのライブデモを行い、SnapSpectaclesの初の一般公開を行い(こちら大行列で体験できたのは恐らく少数の方のみ)、Magic LeapMagic Leap2のデモ展示(こちらも大行列でした😭)を行なったりと、勢いのあるアピール合戦が起こっていました!!

出展企業の傾向として多かったのが、

ハード(製品、各種部品含め)
医療系
業務支援系(ファーストラインワーカー向け)
Volumetric Video(ホログラム)系でした。

エンタメ/ゲーム系企業は奥で別に仕切られた所にPlaygroundとしてまとまっていたため、賑わい具合は分かりませんが、出展社数自体は少なかったです。

展示で使われていたデバイスの多くはほぼMeta Quest2で、次いでHololens2が多かったです。

そしてAWEの狙いなのか、メタバースです😎👍的な出展はほぼありませんでした😂

誤解のないように言うと、ネットワーキングの場では、もちろんメタバースが共通項だったのですが、各社地に足が着いたというか、B2Bでペインを解決するソリューションに落とし込んだプロダクトの展示が大部分を占めていました。

補足として、基調講演でのオープニングを飾るWelcome Keynoteでは、毎年AWEのファウンダーであるOriさんが、業界の方向性を提示したり、鼓舞するスピーチをするのですが、なんとメタバースという単語は1度も遣われませんでした🤣🤣ので、かなり意識してAWEのポジショニング?ブランディング?をしていたように思います。

日本からは、①ハード周りで数社、②医療ではジョリーグッド、④Volumetric Video(ホロラム)ではSONYと弊社Holotchが出展していました。

ハード(製品、各種部品含め)

こういった展示会の醍醐味の一つが、やはり最先端の技術に触れられるところにあると思うのですが、特にXR業界はハードウェアが必ず必要になる為、多くの方々が最先端のハードを体験するために参加されます。

今回はARグラス関連が多かったのが印象的でした。

もちろんコンセプト段階のデバイスもありましたし、個人的に約3年ぶりの展示会だったこともあり、貴重な体験をすることが出来ました。

と同時に、恐らく一般的に期待される様なARグラスの登場にはまだまだ時間が掛かるんだろうな〜とも感じました。

そういえば、VRデバイスに関しては販売台数などのデータを聞くことがあるのですが、ARグラスはnreal、MAD Gaze、OPPO等が一般販売していますが、それぞれの販売台数を聞いたことは無いかもですね🤔

余談

(※以前のブログとも重複する内容ですが)早くも少し余談です🙇‍♂️

2021年の時点で世界のモバイルARユーザー10億人以上に達したと言われており、ARをARだと認識せずに体験している方が大多数を占めています。これがすごく重要だと思っていて、

VRをやりたいユーザーなんていないんです。
ARを求めているユーザーなんていないんです。
技術は目的ではなく、あくまでも手段です!

ですので、出展企業に"メタバースで〜す"といった所が無く、②医療系
業務支援系が多く出展していた点が個人的には非常に嬉しく、好感が持て、安心しました!!

例えると、1990年台のインターネット黎明期にホームページ制作や管理運営代行などをする企業がジャブジャブ儲かっていた感じのフェーズが今のメタバース作りま〜す!なみたいな所でして、ビジネス目的でホームページを持つには、発信したい情報や明確なエンゲージメントを定める必要がある様に、メタバースも誰に、何の為に訪れて欲しくて、提供側のリターンは何なのか、ユーザーにどういうアクションを起こして欲しいのか、そしてその効果測定をし、次に活かしていく!というサイクルが回せないとお金と時間の浪費になってしますので、お気を付け下さい🙇‍♂️

そんな中、

今年4月にはMetaが2024年にARグラスを発売と噂されましたが、

今月には、延期との噂が漏れ聞こえてきました。

AppleもARグラス開発に遅れが起きていると噂されています。

なのですが、AppleとMetaよりビデオパススルー式のVRデバイスが、今年〜来年に掛けて発売すると噂されており、今後2〜3年はこのVRとARのハイブリッド型デバイスが1つのトレンドになってくるのかな〜と思っております。

実際に会場でも何度か"Cambriaに興味ありますか?Holotchのデモを是非フルカラーパススルーでやってみて下さい!!"とお声掛けを頂きました!!

そしてこれらのハイブリット型デバイスは②医療系、業務支援系のニーズに上手くマッチするので、ビジネス面でのXR活用を促進していくことが期待出来るな〜とも!!

さ〜ら〜に〜、コンシューマー向けには2023年(?)にPSVR2が発売予定です!!

SONYといえば、メタバースに全張りしている企業の一つでして、PSVR2でゲーム以外の、いや、ゲーム以上の仕掛けとしてメタバースを絡めてくる可能性はメチャクチャあるな〜と思っています😎😎

メタバースに一番近い企業(サービス)に、Fortnite、Roblox、Ninaticがあると言われているのですが、SONYはFortniteのEpicに出資していますし、SONY Musicは先日Robloxと提携していますし、なんとSONYはNianticと音声ARで提携しているんです!!

>「Fortnite」や「Unreal Engine」で知られる米Epic Gamesは4月11日(現地時間)、ソニーグループおよびデンマークKIRKBIからそれぞれ10億ドル(約1254億円)ずつ資金調達したと発表した。メタバースを構築し、継続的に成長するための資金としている。
>月間ユーザーが1.5億人に成長したゲームプラットホームであるRobloxとソニー・ミュージックは「Robloxコミュニティのための革新的な音楽体験」を共同で開発していくと発表しました。
今回の提携により、「ソニー・ミュージックのアーティストが、バーチャル・エンタテインメントに関連して新たな視聴者を獲得し、新たな収益源を生み出すための、さまざまな新しい商業的機会を提供する」とのことです。
>ソニーは、AR(拡張現実)モバイルゲームを開発・提供するNiantic, Inc(以下、ナイアンティック)とヘッドホン向けの音声ARの領域における協業契約を締結しました。

ここで注目したいのはFortnite、Robloxのユーザー層です!!

Fortnite: Z世代(の中でも上の方)、Roblox: Z世代(の中でも下の方)

Z世代がアメリカを動かしていると言われる程の影響力を持ってきている層に上手くアピール出来れば、面白い事になるのにな〜と思っています!!

あ、なんですが、そもそも論でいくと、Robloxは現状PS4でもPS5でも遊べませんし、ポケモンは如何せん任天堂なので、プレステにはコンテンツないのですが、実はポケモンGOはPokemonHomeを通じて他のポケモンゲームと連携出来る機能があるので、ワンチャンPSVR2向けポケモンゲームが登場して、PokemonGoと連携したりしないかな〜と(笑)いや〜〜ないよな〜(^^;

ここは、マジでSONYのパワープレーに期待したいです!!

はい。以上、小池の余談でした🙇‍♂️

④Volumetric Video(ホログラム)系

🙇‍♂️そして、実はここからが今回のブログのメインです🙇‍♂️

ブログの初めに"ホログラム配信スタートアップHolotch(ホロッチ)"とご紹介させて頂いたように、Holotchはホログラム配信のデモ展示を行っていたのですが、AWE2022には多くの同業者が出展していました!!

その数なんと12社です!!
あの狭い空間に12社/220社同業者とか、結構ビビりますよね😂

(※本来13社の予定でしたが、プレスリリース出していたのに出展していない企業もありました。13社の内、ハード(撮影用カメラ等)が2社、ソフトが11社です。そしてAWE2021に出展していたイスラエルの2社は今回出展していませんでした。)

いや〜、もぅ完全にホログラムの時代が来たな!と感じました🔥🔥

これは日本にいたら絶対に分からないところですが、来ました!!

各社の詳しい違いや情報などは割愛しますが、一言だけ。

おいおい、大風呂敷を広げすぎだろ🤥🤥🤦‍♂️ 🤦‍♂️

Fake it till make itはスタートアップのセオリーにしても、絶対にmake出来ない嘘100%の誇大広告は良くないよな〜と😱😱

○○MB/sの高品質なホログラムをライブ配信します!とか、圧縮技術が特徴で○○%小さくできます!とか、○○msの超遅延で配信出来ます!etc.

その中には日本から投資を受けているところもあり、真面目な日本人である僕にはにゃんだかにゃ〜と🙀🙀

まぁ、でもそれを実現していくのがスタートアップの醍醐味でもあったりしますし、数年後に答え合わせが出来ればと思います。

Holotchのデモ

はい、そして、それで言うと、恐らく他社からしたらHolotchのデモもfakeだ!と思われていたと思います😂😂

残念、全部realですから🥷斬り🥷 ( 波田陽区 風のつもりですw 古いっすね。スミマセン)

そしてここからは専門用語のVolumetric Videoではなく、ホログラムと言います!!

一般的なホログラム撮影は下記の様に行われます。

1 ホログラム撮影専用スタジオ(Microsoft Mixed reality capture Studio)

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2 ポータブル ホログラム撮影簡易スタジオ(AWE2022に出展していたForma Visionのブース)

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これをHolotchはiPhone1台で行いました😆

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ホログラム撮影をリアルタイムにiPhoneで全て処理しライブ配信する!!という斬新なデモでして、いや〜、イノベーティブすぎてごめんなさ〜い🎙🤓🥊👩(南海キャンディーズ風です。笑)というデモでした:)

※会場は騒音がすごいので、ポリゴン+テクスチャーのみ配信をし、音声データは配信しませんでした。

展示したデモをまとめると

iOSアプリで撮影したホログラム

②ローカルサーバーとWifi経由でMeta Ouest2、Windows、iOSアプリにライブ配信しました。です!

一つずつご説明すると、iPhone/iPad のProシリーズに搭載されている"LiDAR"と呼ばれる3Dカメラを使いホログラムを撮影します→①です。

動画ではなく、立体的な"実写の3DCG"が撮影出来ているのが分かるかと思います。この実写の3DCGが"ホログラム"です。(↓は2021年1月の時のデモなのでクオリティは少し低いですがご了承下さいませ)

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それをMeta Quest2含めマルチデバイスで体験して頂きました→②です。

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特徴としては、キャラクターっぽいアバターではなく、目の前に等身大の話し相手を表示出来るので、リアルでの対面と同じ体験をデジタルで再現出来ます。このXRのメリットであるイマーシブ x プレゼンス(相互作用性 x 超高臨場感)最大限に活かしたデモがHolotchの展示でした。

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左がHolotchのWeb版メタバース(Web VR)で右がGoogle Meet(web会議)です。(※web VRはUnityではなくネイティブで開発しています)

Holotchの特徴として、動画配信と比較しても遅延無くホログラム配信が出来ているのが分かるかと思います。

↑2つのgifはKinectという別の3Dカメラ2台で撮影したものなので、全身が撮影出来ていますが、iOSの場合は体の前面のみのホログラムになります。※2台のKinectでは3Dのエッジの部分が取得出来ないのですが、ブリッジで保管する3Dデータをリアルタイムに生成してスティッチしています。(一応映像を見て疑問を持った方向けの補足した)

Holotchの収穫と反省点

出展して大正解でした😍😍

事業計画上、一番狙っていた所に刺さりましたし、デモも狙い通りの効果を発揮してくれました!!

もちろん反省点は多くありますが、色々な方々とネットワーキングや、様々な情報収集をする事が出来ました。得る物が多く、失った物は無かったかなと。

色々な方々からフィードバックやご意見を伺うことができ、改めて自社のストロングポイントを認識出来ました。

最後に、Holotchのホログラム配信にご興味のある方々、是非ご連絡お待ちしております🙇‍♂️
👉 https://holotch.com/contact-us.html 

そしてそして、実はHolotchのツイッターもあるので、良ければフォローをお願いいたします🙇‍♂️

大事な事なので2回言いました!!

以上です。

2022.06.16 Hiroki Koike