見出し画像

疫病は冷たく嘲笑う/病葉〜わくらば〜

本日ご紹介の音源はこちら。
関西発、アングラサブカルを地でいくおどろおどろしさを持つバンド、病葉〜わくらば〜。
2020年の始動にあたりリリースされた本ミニアルバムは、ボーカリストでありメインコンポーザーである翼氏のかつてバンドでの楽曲も含めた、始まりにして集大成のような一枚。

画像1


1.「独白する病」
単調なベースソロ、無機質なアルペジオ、地を這うベース、荒々しい歌い方から倍転し一気に激しさを。古き時代を彷彿とさせるギャウギャウといったシャウトにツタツタドラム、そして早口の語り。それらが目まぐるしく攻めてきながら、じわじわと蝕まれていく聴覚。
ヴィジュアル系はアングラであるべき、という姿勢で挑む一曲。これだけで掴みは完璧なのだが。


2. 「白晝ノ夢」
演奏の裏で蠢くように発される言葉や、メロディーを歌っているかと思いきやシャウトの繰り返しで責め立てたりダミ声を使ったりと、キャッチーさは皆無。
Aメロ、Bメロ、サビというお約束の展開は保っているが最早意味をなしてはいるのか。そんな感覚に脳をグルグルを掻き回されている間に曲が終わる。


3. 「茜」
Vo.翼氏の過去のバンドのリメイクとなる楽曲。乾いたクリーンギターが空虚感を出しつつ、儚く歌い上げるボーカルといった大人しめのナンバーは、アルバムの真ん中に挟むにはうってつけ。
進行も王道から外すことで、かえって中毒性が出ているように聴こえるのは自分だけか。


4. 「断絶」
決まった旋律を歌っているようなそうでないような。もっとも、気が触れた音楽はそれで良いようなところがあるが。シャウトでもデスボイスでもなく"叫び"に支配された荒々しさ。
決してシングルA面にもアルバムのリードトラックにもなりはし得ないが、このアルバムには必要不可欠、重要な立ち位置となる楽曲。


5. 「エフェドリンな鬼ごっこ」
嘔吐に近い叫びとツタツタしたドラムと早口で捲し立てる言葉と…、もうそれだけで好きな人にはたまらない要素が万歳。
かろうじてサビではメロをなぞってはいるが、聴きやすさなんかいらないんだよ!というような確固たる姿勢が見え隠れする。ラストに加えられたノイズも必要不可欠。


6. 「病床、然ニ非ズ「焼香」」
Vo.翼氏の前身バンドの楽曲のリメイクはタイトルにもあるようにライブでも焼香台が登場する、異質も異質な雰囲気が漂う怪しげな曲。
ここでも聴きやすいメロディは皆無。勢いと荒さと不謹慎さで押し通すアンダーグラウンドさは、今のヴィジュアル系では彼らにしか出来ないだろうな、と割と本気で思うのです。

画像2


本ミニアルバムは専門店通販の他、メルカリのアカウントからも購入可能。
また、本作のリリースから数ヶ月後には1stシングル「ケンネルの罠」もリリースされており、更なる世界観の深まりが想像される。
マニア向けが故に耳に合う合わないはもちろんあるだろうが、合えばどハマりすること間違いなし…†まずは一聴を。
https://twitter.com/tbs_wakuraba/status/1333638235545767936/video/1



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?