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Wee TV(データ流通大学)#12-「武器としてのデータ活用術」 レポート-柏木 吉基氏をお招きしました。

ゲスト: 柏木 吉基氏
「武器としてデータ活用術」の著者、データ&ストーリー LLC 代表

今回のテーマにさせていただきました柏木先生の著書、「武器としてのデータ活用術」

こちらYouTubeより全編ご視聴いただけます!


データソリューション、Weeの紹介と目指す世界観
篠原: データプラットフォーム型データマーケットプレイス Weeはアジアの旅行者データを大量に保有しており、そのデータを活用し、旅行者の周遊を追うことが可能になっております。Vpon が支持される理由として、アジア特化のクロスボーダーノウハウと、分析から一気通貫のデジタルマーケティングが挙げられます。売りたい人と買いたい人が自由にデータを売買していただくモデルを構築しています。しかし、本日のテーマでありますデータ利活用がなかなか進まないという課題がいくつかあります。Weeで提供していく部分は、本日の一つのテーマでもある、データをどう収集して分析してそれをどう活用していくか。一気通貫で提供していくのがWeeのビジネスモデルになっています。今後GA4に対応したソリューションも提供していく予定ですが、私たちも何のためにデータを分析するのか、課題は何か、問題は何なのかを掘り下げていきたいと思います。Weeのコンセプトとしましては、一見小難しく聞こえますが「データ利活用をシンプルに」ということでこの4象限(収集、調達、運用、分析)でデータ提供を開始させていただいています。

「データを活かしている」とはどういうことか。

柏木氏: 何のためにデータを見るのか。データの中から情報を探すためにデータを見るのではなく、仕事内でこれらを活用しようとすると、何かしらの行動(アクション)や判断(意思決定)ができ、これに繋がらない物は意味がない。そもそもどんな行動を取りたいのか?どんな意思決定をしたいと思っているのか?そもそも自分のゴールが見えないと始まらない。日々日常でもやっている、朝家を出てオフィスに行って働く時に天気予報次第で、傘を持っていくかどうかの判断に繋がるそこでデータや情報が活かされているかと思います。

ゴール、何を実現/解決したいのかがポイント
柏木氏: グーグルマップなどを見て早く着くルートを捜したりします。今日は他の道を通ろうというこの行動の変化、データが活かされているなとなります。何の意思決定をしたいかと考えたときあなたのアクションは変わりますか?もし即答できないのであればデータを見る必要がないです。何を知りたいの?となったとき固まってしまう人が多いです。即ち、データを見る準備が整ってない、スタートラインに立ててない、ということになります。
ゴールを持っていないのにまずデータを見てしまうというのは、A:「データを見てから、そこから何が分かるか考える」多くの人がこれになります。データを集めたり、使ったりすることが簡単になったが故にデータから見てしまうパターンが多くなっています。例として行き先が決まっていないのに旅行鞄を持って家を出てしまうのと同じことになります。B: 「何を言いたいか/知りたいかを考えてからデータを扱う」、ゴールが自分の中にあり、じゃあこのデータが必要だよね。じゃあこの分析が必要だよね。ということで、AとBは真逆になります。仕事において大事なのは、部分最適化ではなく、全体最適化になります。B、①「ゴール・仮説設定」(旅行でいう予定を考える)この時にデータを見てはいけません。②「分析作業」(家を出たり、電車に乗ったり)初めてここでデータを見ます。③ 最後、「解釈して結論構築」自分のゴールに対して何が分かったのか考える。考えて、作業して、考えてのサンドを行うのがBで、パターンAの人たちは分析に飛び込んでしまいます。データ活用に大事な要素は、「何を言いたいのか、何を示したいのか」「何が分かればそれが言えるのか」「結局、何が言えたのか」というポイントに注目を集めている企業さんが増えてきました。
「データを分析するのがデータ分析ではなく、自分の目的に対してデータ分析をする」ということ。データは手段であり、目的化しやすいのが落とし穴です。

Vponデータビジネス推進メンバーから柏木先生への質問 & ディスカッション データ利活用談義
質問.1
私たちのデータを直接、お客様に届けられればよりアプローチしやすいと思っていますが、間に事業者さんを挟んで提供するということがあったりします。そうすると実際、クライアントさんの声があまり聞こえないまま提供するということもあります。仲介されたお客さんからはあまり使い方が分からないなどのお話しがあり、解決できないまま時間が経つということがあります。この点でどこまで介入すべきか、対応表などを作ってご提供をした方が良いのかなど解決策はありますか?

柏木氏: 色々なお客さんと接する中で感じるのは、本人もゴールを言語化するとなるときちんとした形でできるのは稀です。お客様に身近な答えを問い掛けてあげないと、あなたのゴールは何ですか?と投げかけても答えが返ってこないと思います。どういうレベルや粒度、どういう身近なゴールや目的が必要なのか、これをデータで見るのは難しいですよや、表現の確認などをやってあげると何が必要だったのか、次からこれを気をつけますなどの介入の仕方はありかと思います。単に質問表を投げてこれを埋めてくださいは苦労される方が多いと思われます。事業者さんと一緒にお客さんに質問すると、よりしっかりと把握ができるようになると思います。

質問.2
観光誘客の部分で弊社のデータを提供させていただきながら、消費額や入込数を増やしましょうと言う問題に取り組んでおり、一定のデータを提供することで解消するものもあるのでビジネスとして成り立っているのですが、まさにハンズオンで入っていくところでかなり難しい部分を感じています。一歩進んで指標を特定しましょうや、現状を分析した上での評価がなかなか上手くできない、何と比較すれば良いのかなど、コンサルをされていてスムーズにそこはできるのか、などトレーニング方法を含めご指導いただけますと嬉しいです。

柏木氏: たくさんの失敗例と成功例を体験すると言うこと。この方法だとダメですよ、と言うだけではなく、どうしてだめなのか、どういう方法が良い例なのか、どう言うレベルの具体性が必要なのかをいくつか話してあげる。そして、私が答えをあげるのではなく、考えてもらう。これがダメなのはこうなってしまうから、そこを防ぐためにはどう考えるべきか。これは上手くいくよね、これはダメだよね。ここを違うようにできるよねとか、これを見るためにどう言うデータが必要だと思う?これですかね。とリードして問いかける。そして場数を踏んでいくと、勘所が少しずつ見えてくる。
理想的な形を行っていく上で、まず最初のゴールが定められているというところが重要だと思います。それぞれのステップを行う上でのリソースや時間の掛け方の理想図として例えば、地方自治体の方々をサポートするとき6日間プログラムをやるとすると、最初の2日間はゴール設定だけで作れます。3日目は仮説と必要な指標を考えること。4日目にデータ集め・分析作業、5、6日目にまとめになります。これが一つの参考になるかと思います。
短い時間の中でリードして導いてあげるのが理想ですね。

質問.3
プロダクトを提供する側で使い方の説明をしますが、利用者側で疑問を持たれることがあります。目的があり、分析があって、我々はツールから逆算して作らなくてはいけなくて、普遍的な問題をある程度想定して作らなければいけないので、その辺りの難しさを感じています。実際データを使うまでのプロセスの流れでこれが大事ですというものを理解できますが、一方お客様はすぐに解決したいとオーダーをされると思います。一時的な解決策だと分かっていながら提供しているのかと思うことがあり、本質の大切さをどう伝えていくか。一時的な解決策と本質も解決できるようなサイクルというのはできないかな?と思っております。

柏木氏: オーダーする方も短期的なソリューションと中長期的なソリューションかしっかり切り分けて考えていただくということが大事なのかなと思います。認識して頂かないと話が噛み合わないので、中長期的なソリューションではないですよ。と分かった上で行っているのであれば問題ないかと思います。お互いの認識が大事かと。

質問.4
考えるOS、習慣を変えなければいけない。このような思考を日々トレーニングできれば良いのですが、中々できずで、柏木先生が日々どのようなトレーニングをされ過ごされているのかなど、まさに組織として、どのようなトレーニングをすれば良いのでしょうか。

柏木氏: 一つの例として、考える部分、仮説というのは分析の設計図そのものです。設計図が広いと部分最適が出てくるのか、全体最適が出てくるのかが変わってきます。設計図の広げ方はツールやデータの話ではなく、思考の話になります。そこに課題を感じられるクライアントさんは多く、データ分析の研究は後でしましょうと、その前に仮説立案の研修を1日2日間やり、全員に受けさせます。まずこういう事を考えなければいけないよねと、まずはマスターした上で初めてデータ分析活用をやろうという、大手の企業さんが多く、やってよかったとのフィードバッグをもらいます。一つの例ですがそういったトレーニングの組み方をやっています。仮説の中でデータのデの字も出てきません。

質問.5
色々な企業さんを見ていらっしゃる中でどのようなロジックに基づいて動いているなど傾向などはありますか?

柏木氏: 一般化し話すのが難しいのですが、習得化されるという意味でいうと、何に困っていてどう解消されたらスッキリするのかは、みんな分かっています。解決策に対して今まで自分なりの方法で色々やってきたけれど、それが解決に至っていない、それを自分はどうしても解決したい。モチベーションをすごく持っている人。モチベーションを持っているというのは単にやりたいなあではなく、どうして突破できなかったのかというのを、疑問と知りたいという知的好奇心を持っているということ。そういう人はたくさんのことをどんどん吸収でき、次から次にアクションを起こしていって結果がどんどん出てくるという良いサイクルになっていく。そして成果も出て、場数も増えます。理路整然に説明してくださいとなると難しいですが、何か自分なりの課題を明確に感じていて、自分なりに何度かトライをした人は色々なことを学べ、成果も出やすいと感じます。

最後
篠原: 私たちは、より多くの方にデータを活用していただくという事を進めています。だからといって、すぐにサプライヤー側のデータがまだ足りないことや、マーケティング予算を増やしてWeeのPRをどんどんすることで、Weeというモデルが更に回転していくかということではないと考えます。なかなか推進していかない理由として、デマンド側のデータ、使う方々の自社データなどデータの収集ができていないや、ゴールが見えていなかったり、様々な背景もあると考えます。売りたい人と売り買いした人でデータを売りたい人たちはたくさんいますが、使いたい方々のアンバランス化があります。このようなちゃんとした要因が出てくると、次に方策が必要になってくるのかなと思います。

改めまして柏木先生、参考となる内容を共有いただきありがとうございました!我々、データを扱う一人一人データ活用力を高め、より良い形でデータを提供できればと思います。