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ビジュアル・ファシリテーションは自治会でも役に立つ!―マンションの長期修繕委員会の活用がうまくいった件

こんにちは、楽描人カエルンです。今回は、ビジュアル・ファシリテーションを使ってマンションの長期修繕計画をスムーズに進めた事例を紹介したいと思います。ビジュアル・ファシリテーションとは、絵や文字を使ってコミュニケーションや協働を促進する技術のことです。ビジュアル・ファシリテーションには、以下のようなメリットがあります。

  • 記憶に残りやすくなる

  • メッセージをより速く伝えられる

  • 理解度を高める

  • 感情に訴える

  • 学習者のモチベーションをあげる

  • アイデアの発想がしやすくなる

  • グローバルなチーム内においては言語の壁をサポートする

しかし、ビジュアル・ファシリテーションを行うには、絵や文字を使うスキルだけでなく、ファシリテーションのスキルも必要です。ファシリテーションとは、集団の活動を円滑に進めるために、中立的な立場でプロセスを設計/進行/評価することです。ファシリテーションのスキルには、目的の明確化、アジェンダの作成、ロールとルールの設定、参加者の関与と発言の促進、フィードバックと評価の実施などがあります。

長期修繕委員会

私は、マンションの「長期修繕委員会」の委員です。長期修繕委員会とは、マンション組合の理事会の諮問機関です。マンションの共用部分の修繕や改善を計画します。私の所属する組合では、組合員(住民)が中心で長期修繕委員会に参加しています。実際の執行は理事会が行います。それ故委員会には長期修繕関連の担当理事や理事長も参加します。長期修繕委員会の主な仕事は、以下のようなものです。

  • 修繕や改善の必要性や優先順位を検討する

  • 修繕や改善の工事範囲や内容を決める

  • 修繕や改善の費用や工期を見積もる

  • 修繕や改善の計画を住民に説明し、承認を得る

  • 修繕や改善の工事を発注し、監理する

ビジュアル・ファシリテーションを日常に活かす

5つの機能不全から見える長期修繕の問題

長期修繕委員会は、マンションの安全や快適さを保つために重要な役割を果たしますが、同時に多くの課題や困難に直面します。たとえば、以下のようなものです。

  • 修繕や改善の必要性や優先順位について、委員会内や住民間で意見が分かれる

  • 修繕や改善の費用や工期について、委員会内や住民間で納得感が得られない

  • 修繕や改善の計画について、委員会内や住民間で情報が共有されない

  • 修繕や改善の工事について、委員会内や住民間で不満やトラブルが発生する

これらの課題や困難は、パトリック・レンシオーニが提唱した「5つの機能不全」というモデルで分析できます。5つの機能不全とは、チームが効果的に機能しない原因となる5つの階層的な問題です。5つの機能不全は、以下のように表されます。

5つの機能不全は、以下のように説明できます。

  • 信頼の欠如:チームメンバーが互いに信頼しないことで、自分の弱点や失敗を隠したり、他人の意見や感情を尊重しなかったりする

  • 衝突への恐怖:チームメンバーが信頼しないことで、アイデアや意見をめぐって建設的な衝突を避けたり、表面的な調和を求めたりする

  • 責任感の不足:チームメンバーが衝突しないことで、決定や行動計画に対する責任感やコミットメントが低くなったり、あいまいな態度をとったりする

  • 説明責任の回避:チームメンバーが責任感を持たないことで、計画を守らない/目標を達成しなかったりした場合に、互いの責任を追及しない/基準を低く設定したりする

  • 結果への無関心:チームメンバーが説明責任を果たさないことで、チーム全体の結果を達成することよりも、個人の地位や自尊心を優先したり、自己中心的な行動をとったりする

5つの機能不全とその原因

5つの機能不全の解消

5つの機能不全は、階層的に影響し合うため、最下層の信頼の欠如から解消していく必要があります。

お互いに信頼する

信頼の欠如を解消するには、チームメンバーが互いに信頼することが必要です。信頼するとは、自分の弱点や失敗を認めたり、他人の意見や感情を尊重したりすることです。信頼を築くためには、チームメンバーが互いに自分のことを知ったり、理解したりすることが必要です。

遠慮なく衝突する

信頼が築かれると、チームメンバーはアイデアや意見をめぐって遠慮なく衝突できます。衝突するとは、建設的な議論やディベートを行ったり、合意や納得を得たりすることです。衝突を恐れないためには、チームメンバーが互いに意見や感想を聞いたり、伝えたりすることが必要です。

責任感を持つ

衝突が起こると、チームメンバーは決定や行動計画に対する責任感やコミットメントが高くなります。

説明責任を果たす

責任感を持つと、チームメンバーは計画を守らなかったり、目標を達成しなかったりした場合に、互いの説明責任を果たします。説明責任を果たすとは、計画や目標に対して自分や他人のパフォーマンスを評価したり、フィードバックしたりすることです。説明責任を回避しないためには、チームメンバーが互いに基準や期待を明確にしたり、報告したりすることが必要です。

結果に関心を持つ

説明責任が果たされると、チームメンバーはチーム全体の結果を達成することを重視します。結果を重視するとは、チームの目的やビジョンに沿って、最善の成果を出したり、問題を解決したりすることです。結果への無関心を克服するためには、チームメンバーが互いに結果に対する貢献や課題を共有したり、改善したりすることが必要です。

5つの機能不全の解決

5つの機能不全の解消のまとめ

以上が、5つの機能不全の解消についての説明です。5つの機能不全は、チームが効果的に機能しない原因となる問題ですが、ビジュアル・ファシリテーションを使うことで、解消できます。ビジュアル・ファシリテーションは、チームメンバーが互いに信頼する/衝突する/責任感を持つ/説明責任を果たす/結果を重視したりすることを促進します。ビジュアル・ファシリテーションは、チームメンバーが互いに自分のことを知ったり、理解したりすることを支援します。ビジュアル・ファシリテーションは、チームメンバーが互いに意見や感想を聞いたり、伝えたりすることを助けます。ビジュアル・ファシリテーションは、チームメンバーが互いに基準や期待を明確にしたり、報告したりすることを補助します。ビジュアル・ファシリテーションは、チームメンバーが互いに結果に対する貢献や課題を共有したり、改善したりすることを援助します。

私は、長期修繕委員会の活動に参加しました。私は、ビジュアル・ファシリテーションの技術を使って、以下のようなことを行いました。

  • 修繕や改善の必要性や優先順位を検討する際に、委員会内や住民間での信頼を築くために、場作りに貢献しました。具体的には名前を呼ぶ。傾聴するようにしました。

  • 修繕や改善の工事範囲や内容を決める際に、委員会内や住民間での衝突を促すために、あえて反対意見を出す、仮想敵として振る舞いました。

  • 今回の検討に関する、委員会内や住民間での責任感を高めるために、ロジックツリーやガントチャートを作成しました。

  • 修繕や改善の計画を住民に説明し、承認を得ることが必要です。委員会内や住民間での説明責任を果たすために、長期修繕の関する基本ポリシーの策定に貢献しました。

  • 修繕や改善の工事を発注し、監理することが重要です。また委員会自体の参画。関心を持ってもらうことが肝要です。委員会内や住民間での結果への関心を高めるために、わかりやすい議事録を作成し共有ました。

これらの活動によって、長期修繕委員会は、5つの機能不全を解消し、効果的に機能することができました。長期修繕委員会が作成した「住民説明会資料(時期長期修繕の工事範囲の見直し、積立金の最小限の増額、これらに伴う規約の見直し)」は、以下のようなものでした。

この資料は、ビジュアル・ファシリテーションの技術を用いて、修繕や改善の必要性や優先順位、工事範囲や内容、費用や工期、計画の承認や工事の監理などを、分かりやすく伝えることができました。検討においてさまざまな想定問答を提示しました。これに答えていくことで、検討の重要度や検討のロジックを精査することができました。

以上が、ビジュアル・ファシリテーションを使ってマンションの長期修繕計画をスムーズに進めた事例の紹介でした。この事例から、ビジュアル・ファシリテーションは、通常はやっかいと思われる自治会やマンション理事会を効率化するというメリットがあることがわかります。ビジュアル・ファシリテーションは、チームの機能不全を解消し、コミュニケーションや協働を円滑になります。ビジュアル・ファシリテーションは、絵や文字を使って、メッセージをより速く/より記憶に残りやすく/より理解度を高めることができます。ビジュアル・ファシリテーションは、学習やコミュニケーションが楽しくなることで、学習者のモチベーションをあげることができます。

まとめ

私は、ビジュアル・ファシリテーターとして、ビジュアル・ファシリテーションの技術を広めることを目指しています。ビジュアル・ファシリテーションは、誰でも学べる技術です。コツを知ることで誰でも体得できます。一緒に学んでいきましょう。

参考文献


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