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会議の問題を解決するアドラー心理学

会議は、ビジネスにおいて重要なコミュニケーションの場です。しかし、実際には、以下のような問題が生じることが多いでしょう。

  • 怒りをあらわにする人のおかげで発言しにくくなる

  • 参加者がなぁなぁになり本気を出さない

  • 次のアクションが決まらないだけでなく、相互理解が進まない状態のまま会議が終わってしまう

  • 結論が強引に決まることで参加者の不満が広がったり、人間関係が悪化する

これらの問題は、人間の心と行動の問題です。そこで、心と行動の問題を解決するための心理学の体系である アドラー心理学 の提唱する内容を参考にしてみましょう。


アドラー心理学とは

アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが創始した心理学の一派です。アドラーは、フロイトの精神分析学から離れて、人間の心と行動の問題を解決するための独自の理論を展開しました。

アドラー心理学は、人間は自分自身で世界を創り出し、自分自身で変えていけるという考え方を基にしています。この心理学を会議に活用することで、話し合いの質や効果を高めることができます。

アドラー心理学では、人間の行動や感情には必ず 目的 があると考えます。目的とは、人間が何を求めているか、どうなりたいかということです。目的は、人間が生まれたときから持っている 劣等感 から生じます。劣等感とは、人間が自分の能力や価値に不満や不安を感じることです。

劣等感は、一般的にネガティブなイメージが強いですが、アドラー心理学では、劣等感が人間の成長や発展の原動力であると考えます。たとえば、「もっと上手に話せたら」という劣等感は、「話し方を磨こう」という目標につながります。

アドラー心理学では、人間は劣等感を克服するために 目標 を設定し、行動します。目標とは、人間が劣等感から逃れるために描く理想像です。目標は、人間が自分や他者に対してどんな態度や姿勢を取っているかを表す 心のモード によって異なります。

アドラー心理学では、心のモードを 「使用」「協力」「支配」「逃避」 の4つに分けます。 「使用」 は、他者を利用して自分の欲求を満たそうとするものです。 「協力」 は、他者と共感して協力関係を築こうとするものです。 「支配」 は、他者を支配して自分の優位性を誇示しようとするものです。 「逃避」 は、他者から距離を置いて自分の責任を回避しようとするものです。

アドラー心理学では、 「協力」 以外の心のモードは不健全であり、 「協力」 が健全な心のモードであると考えます。 「協力」 は、他者や社会に貢献することで自己実現を図ろうとするものであり、「社会的関心」と呼ばれます。「社会的関心」は、人間が幸せになるために必要なものであり、「勇気づけ」と「信頼関係」がその基盤です。

アドラー心理学で会議を改善する方法

では、アドラー心理学の考え方を会議に活用するとどうなるでしょうか。以下に、具体的な方法を紹介します。

1. 目的を明確にする

会議には、必ず目的があります。目的とは、何を話し合うか、何を決めるか、何を共有するかということです。目的が明確でないと、話がずれたり、時間がかかったり、結論が出なかったりします。

そこで、会議の前に、目的を明確にしておきましょう。そして、参加者にも目的を伝えましょう。目的が共有されることで、参加者は話し合いに集中しやすくなります。

また、目的を明確にすることで、話し合いの流れや進め方も決めやすくなります。たとえば、目的が情報共有ならば、プレゼンテーションや資料配布が適切です。目的が意見交換ならば、ディスカッションやブレインストーミングが適切です。目的が決定ならば、投票や合意形成が適切です。

2. 心のモードを観察する

会議では、参加者の心のモードを観察することが重要です。心のモードとは、 「使用」「協力」「支配」「逃避」 の4つの態度や姿勢です。心のモードは、参加者の言動や表情から推測できます。

心のモード を観察することで、参加者が何を求めているか、どんな問題があるか、どう対応すべきかがわかります。たとえば、

  • 「使用」 の心のモードの人は、自分の利益や立場を優先しています。彼らは他者の意見や感情に無関心であり、批判や反対に強く反応します。彼らに対しては、自分の意見や提案にメリットや根拠を示すことで説得しましょう。

  • 「協力」 の心のモードの人は、他者と協力して話し合いを進めようとしています。彼らは他者の意見や感情に配慮し、建設的なフィードバックや提案をします。彼らに対しては、感謝や賞賛を表すことで励ましましょう。

  • 「支配」 の心のモードの人は、自分がリーダーや権威であると思っています。彼らは他者を支配しようとし、自分の意見や判断を押し付けます。彼らは批判や反対に敏感であり、感情的になりやすいです。彼らに対しては、尊敬や信頼を表すことで安心させましょう。

  • 「逃避」 の心のモードの人は、自分が無力や無価値であると思っています。彼らは他者に依存しようとし、自分の意見や責任を持とうとしません。彼らは批判や圧力に弱く、逃げたり沈黙したりします。彼らに対しては、励ましや支援を表すことで勇気づけましょう。

会議では、参加者の心のモードを観察することで、話し合いの内容や方法を柔軟に変えることができます。たとえば、

  • 「使用」 の心のモードの人に対しては、話し合いの内容にメリットや根拠を明確に入れることで説得力を高めます。

  • 「協力」 の心のモードの人に対しては、話し合いの方法にディスカッションやブレインストーミングなどの参加型の手法を取り入れることで関係性を強化します。

  • 「支配」 の心のモードの人に対しては、話し合いの進め方にルールやタイムキープなどの枠組みを設けることで安心感を与えます。

  • 「逃避」 の心のモードの人に対しては、話し合いの雰囲気に笑いや褒め言葉などのポジティブな要素を加えることで自信感を与えます。

3. 勇気づけと信頼関係を築く

会議では、参加者同士の勇気づけと信頼関係が大切です。勇気づけとは、他者の能力や価値を認めて、自信や希望を与えることです。信頼関係とは、他者の意見や感情を尊重して、共感や理解を示すことです。

勇気づけと信頼関係が築かれることで、参加者は自分の意見や感情を素直に表現しやすくなります。また、他者の意見や感情にも興味や関心を持ちやすくなります。これによって、話し合いがスムーズに進み、相互理解が深まります。

勇気づけと信頼関係を築くためには、以下のような言動が有効です。

  • 他者の長所や成果を褒める

  • 他者の苦労や困難を認める

  • 他者の提案や質問に積極的に応える

  • 他者の気持ちや立場に寄り添う

  • 他者の目線や視点に配慮する

  • 他者と協力する姿勢を示す

まとめ

会議で起こる問題は、アドラー心理学で解決できます。アドラー心理学では、人間は自分自身で世界を創り出し、自分自身で変えていけると考えます。また、人間の行動や感情には必ず目的があり、その目的を見極めることが大切です。

会議では、

  • 目的を明確にする

  • 心のモードを観察する

  • 勇気づけと信頼関係を築く

という方法を取り入れることで、話し合いの質や効果を高めることができます。

アドラー心理学は、会議だけでなく、人間関係や仕事の成果にも役立つ心理学です。ぜひ参考にしてみてください。😊

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