見出し画像

居酒屋

登場人物


客①


客②


客③


店員



開幕。

とある居酒屋。

客①と客②が来店する。

(来店のチャイム)

店員が出てきて出迎える。


店員「イラッシャイマセ。」


客①「こんばんわ。」


店員「何名様デスカ?」


客①「あ。後から一人来て三人になります。」


店員「二人?」


客②「いや、三人です。」


店員「???モウ一人ハ?」


客①「いや、だから。後から来るので三人です。」


店員「アア、ソウカ。コチラドウゾ。」


客①、客②、席に座る。


客①「日本語あまりうまくないのかな。」


客②「まあ、いいじゃん。早く決めようよ。」


客①「あ。そうだね。私、とりあえずビールでいいや。」


客②「あ。そう。あ、ラーメンある!どれにしようかな?」


客①「え?」


客②「え?なに?」


客①「いきなり?」


客②「何が?」


客①「シメから決めるの?」


客②「え?ダメ?」


客①「いや、いいけど・・・」


客②「あ!このアイスおいしそう!」


客①「え?いきなりデザートから?」


客②「なに?だめ?」


客①「いや、いいんだけど。」


店員、登場。


店員「ゴ注文、ドウシマスか?」


客①「あ、ええと、とりあえずビールで。」


店員「ア~、ビ―ル、カ。」


客①「はい。」


店員「チョット、コレ、見テモラエマスカ?」


客①「え?」


店員が、注文する機械を見せる。


店員「ココ、ビール注文スルトコロ。」


客①「え?はい。」


店員「ヨク見テ。壊レテル。」


ビールを注文するであろうボタンのカバーがはがれ、むき出しのボタンらしき部分を店員が見せる。


店員「コノボタン、強ク押サナイト、反応シナイ。」


客①「はい。」


店員「大変。ワカッタ?」


客①「はあ。」


店員「ダカラ、違ウノ二シテ。」


客①「えええ?!」


客②「あ。じゃあ、レモンサワーで。」


店員「ハイ。カシコマリマシタ。」


客①「ええーー。」


店員「アナタ、何スルノ?決メテナイジャン。」


客①「え、あ、じゃあ、えーと、グレープフルーツサワーで。」


店員「何言ッテル?ソンナモノ、ナイ。」


客①「え、だって、ここに『生絞りグレープフルーツサワー』って、」


店員「アア、『生絞り』ネ。OK。」


店員、退場。


客①「何あれ?!」


客②「まあまあ。頼めたんだからいいじゃない。」


客①「一応客なんだら、もう少しマナーがあってもいいんじゃない?普通!」


客②「そう?面白いじゃない。」


客①「あー、最悪。店変えようかな・・・」


客②「まあまあ。あ。」


客③、登場。


店員「イラッシャイマセ。何名?」


客③「あー、いいの。あそこだから。」


店員「アア。ソウカ。ワカッタ。」


客③、客①、客②の席に合流。


客③「やー、ゴメン。遅くなって。」


客①「遅いよ!」


客③「なに?なんで怒ってるの?」


客②「いや、実はさあ・・・」


店員、客席にやってくる。

客①あきらかに不機嫌そうな態度。


店員「ゴ注文ハ何二シマスカ?」


客③「あ、ビールうまそうだなー。ビールで。」


店員「アー、ビールカ。」


客③「ん?どうしたの?」


店員「見テ、コレ。」


店員がハンディのビールの部分を見せる。


客③「ん?」


店員「ココ、壊レテル。」


客③「あ、ほんとだ。壊れてるね。」


店員「押スノ大変。」


客③「ああ、そうなんだ。」


店員「ダカラ、違ウノ二シナイ?」


客①「!!」


客③「いや、そこはお前、頑張れよ。」


客①「え?」


店員「分カリマシタ。ビールネ、OK。」


客①「ええ?」


客③「なんだよ、さっきから。」


客①「え、だってあなた、さっきビール頼まれるの嫌がってたじゃない。」


店員「ハイ、嫌デス。」


客①「なのに今、OKって。」


店員「ハイ。仕事デスカラ。」


客①「ええーーー。」


店員「少々、オ待チクダサイ。」


客③「頑張れよー。」


店員、去る。


客②「ねえ、あの店員さんと知り合い?」


客③「いや?会ったばかりだけど?」


客①「え?そうなの?それなのにあの対応?おかしくない?!」


客③「何が?」


客①「だって・・・!」


客②「あーつまり、店員さんが注文を嫌がったり、それに対する受け答えが初対面なのにフランクなのがおかしくないかって、こいつは言いたいわけよ。」


客③「そう?単に店員さんが、めんどくさいことを『めんどくさい』って言って、それに対して『仕事なんだから頑張れ』って言っただけだけど?」


客①「それは、そうだけど。」


客③「うん。だってそれ、"普通"だろ?」


客①「・・・」


客②「・・・うん。そうだね。」


客③「さーて、何鍋たべようかなー。」


客②「え、お前、この時期に鍋食べんの?」


客③「だって、外に『鍋がおススメ』って書いてあったし。」


客②「あったかも知んないけどさ。」


客③「とりあえず食べてみようよ。」


客②「おまえホント、とりあえずなんでも試すよね。」


客③「えー、だって食べてみないと分かんないじゃん。」


客①「・・・待った。」


客③「ん?」


客①「・・・ここは"普通"、サラダからでしょ!」


客②「えー、刺身でしょ。」


客①「あんた、さっきデザート見てたじゃない。」


客②「ゴールから決めていくスタイルなんで。」


客③「あ。じゃあ間を取って、ステーキってのは。」


客①②「何でだよ!!」


店員、ドリンクを持ってくる。


店員「オ待タセシマシター。」


終幕。


↓ この作品を上演したいという方はこちらまでご連絡ください! ↓

chanelvem@gmail.com

☟ もっと面白くしたい!編集希望の方はこちら ☟

ここから先は

116字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?