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色恋にならなかったゲイ友K。

当時住んでいた中野のアパートの近くに住宅街の中でやっているモグリのバーをネットで見つけて、時々飲みにいってた。お店に入る時は、他人の家を訪問する時みたいにピンポンって鳴らすの。

そこで出会ったK。 Kは、「こっち」の友達だけど本当に友達、彼とは色恋には走らなかった。けっこう整った顔してて、人当たりが丁寧で、ちょっととぼけてて、漫画だと主人公の親友で出てきそうな感じ。 Kとは最初から、友達として親しくなった。

ゲイだからって、男だったら誰でも恋愛対象なわけじゃない。Kはジャニーズみたいな若い彼氏が欲しいといい、僕とKは中野のモグリのバーで、高円寺の飲み屋で、月に何度かは会ってダベってた。

僕もKも、昼の仕事が割とお固い感じで、愚痴るポイントが似ていた。思えばKが、僕にとって、付き合う付き合わないとかいう面倒から離れた、最初の「こっち」の本当の友達だったよ。いや、「だった」じゃなくて、今でも友達だ。 最近会えてないけど。

「ゲイ」というセクシャリティで繋がるシンジケートに僕を連れ出してくれたのはK。 ノンケの世界だって、男女がいつも恋愛やお付き合いを前提に会っているわけじゃないように、ゲイだって恋愛抜きの友達がいる。

恋愛を前提としない、最初のゲイの友達。それがKだった。 Kと知り合ったことで、僕の「こっち」の人間関係はぐっと広がったよ。

子供だったら、同じクラスとか近くに住んでるとか、そんな理由で友達になるけど、大人はそう簡単に友達にはならないよね。 でも、趣味をきっかけに友達ができるように、僕らはセクシャリティをきっかけに友達になった。

Kのおかげで知り合った友達も少なくないよ。 そしてKは、無事、シュッとした顔でセクシーな話し方をする劇団員の男と同居をはじめ、今はすっかり落ち着いてるみたい。

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