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最初のゲイ友Sのこととか。

「成長すれば、女の子が好きになって恋愛するのかもしれない。」高校生の頃までそんな風で、男に惹かれる自分を直視してなかったな。

大学も、なんなら大学院まで実家から通ってしまったし、頭のカタい、いつも割と機嫌が悪い親の前では自分のセクシャリティのことなんて言い出せるはずもなかったし、ずっと目を逸らして、押さえ込んだまま24歳になった。

就職で上京して、やっと親兄弟親戚、地元の人間から目の届かないところにきて、遅いデビュー。 といって、何をどこから始めていいのやら。長い抑圧期間があったせいか、自分で自分のセクシャリティがよく分かんなくなってたし。

当時はまだマッチングアプリなんかなかったけど、でもネットを通じて、徐々に徐々に、「こっち」の知り合いもできて。 初体験もその頃。

大してタイプでもない、好きになることもないであろう同年代の男。押し込まれるがままに寝た。他人が射○するのを初めて生で見た。 嫌悪感が先立ったのを覚えてる。

もちろん、その人とはそれっきり会わなかった。名前さえ覚えていない。

そんなとき知り合ったのが、1つ2つ年下のS。ネットで知り合ったんだはずだけど、最初どうやって会ったのかはもう覚えてない。 彼には、かなり年上の白人の彼氏がいたけど、いわゆるオープンリレーションシップで、外で遊ぶのを許されていた。

ゲイの遊び、ゲイの飲み、ゲイのセックス、教えてくれたのはSだ。 僕はSのことが好きになっていたけど、Sは年上の彼のもので、Sもそこだけは絶対に譲らなかったな。

セフレと言われれば、外形的にはそうなる。セフレだ。 好きだった。でも不毛な付き合いだった。Sは彼氏の元に帰る。Sは同棲していて、僕はSの家には行けなかった。

そんな付き合いが長く続くはずもなく、やがて音信は途絶えた。だけど、Sは最初の、まともなゲイの友達。悪くは思っていないよ。

20年以上も経って、急にSがLinkedInから連絡してきた時、上京して最初に住んだアパートの部屋の情景が鮮明に蘇ったよ。

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