R2にタイムワープ

フリーランスで活動を始めて9年。
今年も無事に年の瀬を迎える事ができたと思うものの、振り返ってみると想い出がみつからない。

世界的にとても大きな出来事として緊急事態宣言や、ロックダウンという現象を起こしたコロナ禍年。それでもこの一年の事を思い起こす為に家の中を見渡すと、以前に比べ電化製品が増えていた。

これまでは冷蔵庫とテレビ、洗濯機だけ。

ご飯を炊くのは土鍋で、この夏は外食もほとんどできない状態だったので自炊が増えた。夏の土鍋ご飯は火元を離れられないので大変。毎回汗だくの食事作りになり、くたくたになっていた。

後どれくらいこの状況が続くのか考えただけで気が滅入り、あまり欲しいと思わなかった炊飯器を取り入れる事にした。

取り寄せて初炊飯した時は驚いた。土鍋で炊いたより美味しく、火元つきっきりで、汗だくの地獄の30分を消滅させる事もできたし、身動きできる30分の空き時間も作れた。おかずを一品増やす余裕も生まれ、アレルギー症状が出始めた体調も今では改善しつつある。

雑誌や本、ネットフリックスで韓流ドラマを一話くらいは見られる時間も用意できた。(※炊飯器、玄米炊きあがりまで90分※)

これまではテレビもサブスク系の配信モノも、ほとんど見てこなかったが、今年は引き籠る時間が多くなったので、PC立ち上げより簡単なiPadも手に入れた。『全裸監督』も気になっていた事から、即、ネットフリックスも登録。今まで遠のいていた画面の向こう側の話も、世間の話題にも触れる事ができるようになったし、今までとは違った映画、ドラマの見方になってた自分にも驚いている。意図的ではなかったにしろ一旦外界をシャットアウトした事で自分の好みが明確になったのかもしれない。

これに勢いついたのか、以前から気になっていた液晶ペンタブを買ってしまった。

気づけば我が家は昭和から令和2年へとタイムワープしたように、近代アイテムが並び始めている。それから一気に時間が流れ始め、これまで入ってこなかった情報や音楽、映画やアニメに圧倒される日が続いた。静かだった日常とは違い、情報を選択していくのに慣れるまでは浦島太郎のようだった。続きが気になって1日中ネットフリックスを見て反省する事もあるが、世の動きや世界の事情、流行りや、文化別に見る生活の違い、現在の思想の違いなども知れ、少しではあるけど海外旅行も味わえたようだった。

フリーランスだからか、これまで自分とはまるっきり違うタイプと絡む事もなく過ごしていた。社会的な事も深く考えた事もなく、閉じた生活をどのように継続していくかを考えていた時から比べると、電化製品を取り入れた事、コミニティに入った事で、現代ヴァージョンで生きてみたいと考えはじめた。

世の中には自分とは違う考えや価値観を持った人で混ざり合っていて、それぞれの正義があって、各々の将来を守ったり、伸ばしていく為に日々暮らしている。それも一つの側面だけど、間違いなく誰もが考えなおさなければならない、これからの生き方を直面させたのがコロナ禍のポジティブな面だと思う。社会的にも個人的にも今、考え直すところ、もっと深めたいところが絞りやすい状態なのではないかと考え、自分の野望をひとつ実行しようという計画が幕を開けた。まだまだ野望の入り口ではあるけれど、現代の道具が揃ってきた事で自分の内部にあった夢の一部が思い出されてきたようだ。

それが液晶ペンタブで4コマ漫画を描く事。

スマホもパソコンも見るだけのわたしが、文明の利器を使いこなせるにはまだまだ時間も実験も必要。説明書を読んだところで、操作も専門用語もわからず手探り状態ではあるものの、ひとつ描けたり、一個でも機能の使い方がわかると、ゲームのイベントをクリアできたかのように楽しくなった。もっと沢山の画風、ストーリーがみたい。今ではスマホさえあれば国内問わず、あらゆるジャンルを検索し、肉眼で確認する事ができる。

過去に副業でイラストレーターをやっていた頃は手描きだった事もあり、修正、描き直しには膨大な時間がかった。現代は基礎や個性、順応性は必須ではあっても、それを描きあげるまでの労力と時間はかなり軽減されている。

先ずは液タブを使えるようになる事と、イラストを描き慣れる事がリハビリになる。描いては他の誰かの画風を覗いてみたり、気なる作者の履歴を追っては参考にさせてもらっている。

自粛期間という人生初の世の試みを促された事で、時代に合わせた暮らし方になってきた我が家。時間短縮の家電を使いながら、人生の次のフェーズへと入り始めたようだ。

毎日の過ごし方もネタ探しに変化し、一つの出来事を発端にネタを考える事や、気になった事を忘れないようにと、今まで持ち歩かなかった携帯も持ち歩くようになった。素通りしていた何時もの道に「今日は何が転がっているかな」と興味を持ちながら、町を観察する事や、植物の入れ替わり、近所の鳥は多種類が棲息していた事や、ごみ置き場が変更された事も知れるようになった。意図的に探すというスイッチを押さないと気が付かなかった事が、ちょっとした散歩でも発見できたり、6年棲んでる町に変わりはないと思っていたけど、小さな世界の入れ替わりは毎日行われていたようだ。

緊急事態宣言、自粛期間を通して活発には動けなかった事もあったけど、自分の中に在るものを掘り当てる為の時間が増えていた。まさかの衝動買いの液晶タブレットから、もう一度チャレンジしている4コマ漫画。絶望するほどセンスがないと思い知らされてるが、楽しくないわけでは無い。センスを持ち合わせてなかったら勉強するしかないと思えたし、一から立て直そうと考えると気が楽になる。笑ってしまうのが一応ペンネームも作って某サイトに登録した。続いて4コマ漫画専用のTwitterまで作ってしまい、恐ろしいものでもう漫画家気取りになっている。待望の一話を掲載する為に何度も描きなおしたキャラクター。出来ないなりに面白がってるアイテム。

先日初めて一話なるモノを投稿した。PC画面に映る自作キャラを見ると、やはり嬉しいし、うまくやろうと思わなくていいんだな、と淡泊な画力を見て痛感した。これから少しづつ描いて投稿していく事で、続けて行けるかも、楽しめるかもわからないけど、これからやってみたい事を、ネタ探しを含め実行できている事に喜びを感じている。

翌日登録サイトを覗いてみると、24イイねと、1人のフォロワーがついていた。どんな経由でみたのか、どんな方が見ているのか、サイトを覗いてみると『戦慄』の二文字が浮き上がってくるほどホラーな内容だった。わたしが描いたのものも、描こうとしているのもホラーではない。洗礼なのか、漫画サイトあるあるなのか不明だけど、その恐怖を越え、人生のリハビリの為に続けて行こうと思っている。

改めて今年一年を振り返ると、何もなかったわけではなく、過去に閉じた事をやり直し始めた一年。電化製品が揃わない我が家から、一通りの家電も揃い、一通りのネット環境にも進化した。現代の面白さを取り入れた日常が完成しはじめ、興味の幅も広がり、受動的だった日々が能動的に変わってこれた。

無事令和2年にタイムワープ成功。

これから人生の軌道修正をしつつ、フォースと共にこの地で体験を増やしていく計画をはじめようと思う。





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