ソードワールド2.5 初心者向けシナリオ「機械仕掛けの回廊」

はじめに

この記事は「ソードワールド2.5(グループSNEのTRPG)」をプレイするためのシナリオです。
本記事を元に、ルールブックの記述に従ってセッションを進めていくことを想定して書いています。

本記事は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の、二次創作です。
(C)GroupSNE
(C)KADOKAWA

画像1

本記事の読み方

本記事でのシナリオ記述は、主に以下のような形式を用いる。

X. ○○ チャプター番号/チャプター名
→シナリオ進行における場面を「チャプター」と筆者は勝手に呼んでいる。「シーン」などと読み替えてもらっても構わない。

◆解説◆
→そのチャプターの概要を解説している。

◆描写◆
→そのチャプターにおける描写内容である。
 基本的にそのままコピペしてもらうことを想定しているが、実際のセッションにおいてはGMの判断で内容に修正を加えることも多いと思われる。

◆処理◆
→各種の判定などを行ったり、ゲーム的な処理を行うことを意味する。
 GMは判定内容などをPLに伝え、処理に応じてゲームを進行すること。

GMに向けて

本シナリオは初期作成から1回か2回の冒険を経たPCを対象とした、いわゆるダンジョンアタック型の構造となっている。
PC達は近隣の採石場で発見された地下遺跡の安全確保を依頼され、地下に広がる魔動機文明時代の遺跡へと潜り、そこで魔動機達と戦うことになる。

遺跡内での探索活動が主になるため、スカウト技能が重要な役目を果たすだろう。
反面、レンジャー技能は少々やることが少なくなる。
遺跡の仕掛けを解いたり、言語を読むためにはセージ技能(あるいはマギテック技能)が必要な局面もある。

「簡単な蛮族退治をこなしたPCが、一人前の冒険者として挑む遺跡探索」に位置づけられるようなシナリオとして遊んでもらえれば幸いである。
プレイ時間については、オンライン環境によるフルテキストセッションで約5~7時間程度を想定している。

GMに向けて2

本シナリオは「魔動機文明時代の遺跡」を舞台としている。
「魔動機文明時代」についてあまり詳しくないGMのため、以下に簡単な解説を記す。

◆魔動機文明(アル・メナス)時代◆
ソードワールド2.5における「現代」から見て、約2000年前~300年前まで存在した文明。

マギテック技能の発動媒体である「マギスフィア」に代表される、魔法の効果を持ったアイテムの大量生産と一般人への普及が特徴である。
多くの人が当たり前のように魔法技術の恩恵に預かることができ、それに伴って魔動機式のバイクや列車などの交通機関も発達した。
また、魔術師が個々人の魔法によって素材から作り上げる魔法生物のゴーレムと異なり、工場で大量生産できる「魔動機」が誕生したのもこの時代である。

マナを動力源とし、プログラムされた命令に従って拠点の防衛や蛮族への攻撃を続けるロボットめいた存在であるが、《大破局(ディアボリック・トライアンフ)》以降は暴走している個体も多く、現代を生きる人々にとっては危険な存在となっている。


魔動機文明時代、人族は蛮族をほぼ完全に地上から追いやっており非常に平和な時代であったとされている。
しかし、魔動機文明は「現代」から約300年前に発生した蛮族達の大逆襲である《大破局》によって滅亡した。

現在、魔動機文明時代の英知や技術は殆どが失われているが、各地方国家の首都に代表される城塞都市は当時の街の遺跡を修復したものである。
当時の城塞や城、建築物は多くが地下に埋もれており失われた知識や技術を復古する上では遺跡から遺物を回収することが最も効率的とされている。
そのため、魔動機文明時代の遺跡は冒険者にとっては重要な仕事のチャンスとなっている。

基本ルールブックⅡ P332などにも魔動機文明時代に関する言及が多く、参考にされたい。

イントロダクション

アルフレイム大陸北西部、ドーデン地方。
地方一の穀倉地帯である《マグノア草原国》にある冒険者ギルド《花々の歌声》亭に所属する駆け出し冒険者であるPC達は、近隣の採石場からの依頼を紹介される。

どうやら、掘り進めていた坑道が前時代の遺跡と繋がってしまいトラブルが起きているようだ。
PC達は坑道の安全を確保するため、採石場へと出発するのであった。

0.レギュレーション

本シナリオは基本ルールブックにおける「初期作成」から1回分成長させたキャラクター4~5名程度の参加を想定している。

具体的には

参考:初期作成レギュレーション

・成長1回(ランダム or 任意の能力値を+1)
・生まれによる初期習得技能と合わせ、合計経験点が4000点
・初期所持金1200+800Gから装備を揃える
・名誉点、アビスシャードは基本的になし

・初期作成から1回セッションを経験したPCであれば、継続使用してもOK。


また、キャラクターの作成に使用するルールブックはプレイグループの合意があればどの範囲でも構わないものとする。
即ち、「基本ルールブック1のみ」でのセッションや「基本ルールブック1~3+エピックトレジャリー&モンストラスロア&アウトロープロファイルブック&メイガスアーツ」なども可能。

210408 酒場2

1. 導入

◆解説◆
導入部。ギルドに集まったPC達に依頼が紹介される。

◆描写◆
アルフレイム大陸北西部、ドーデン地方。
乾燥した大地に点在する都市国家を魔動鉄道が繋ぐ、広大な地域である。

その南部に位置する《マグノア草原国》はドーデン地方には珍しく豊富な降雨量と豊かな土壌に支えられた一大穀倉地帯として知られている。
国土の殆どは麦を中心とした穀物畑に覆われており、その中心部には城壁に囲まれた首都《マグノア》が配置されている。

時期は夏の朝方。
まだ夜の涼しさが残る早朝、冒険者ギルド《花々の歌声》亭には、今日も仕事を求める冒険者達が集まっていた。

◆処理◆
GMはPC達がこの冒険者ギルドに所属している、またはこの冒険者ギルドに訪れていることをPL達に告げること。
もしPC達が初対面である場合、このタイミングで自己紹介をしておくと後の進行がスムーズになる。

PC達が自己紹介などを終え、全員が合流できたところで次の描写に移る。

◆描写◆
冒険者達が近況について話していると、ギルドの依頼紹介担当であるロイ・サッチモ(人間/男性/37歳)が話しかけてくる。
PC達のような駆け出し冒険者にうってつけの依頼が舞い込んだらしい。

◆補足◆
ギルドの依頼紹介担当のロイは置換可能なキャラクターである。
「冒険者ギルド支部に勤めており、新米冒険者に仕事を紹介する」立ち位置であればどんなキャラクターでも構わない。

◆台詞◆
・ロイ
「よう君たち、先日の仕事はうまくいったそうじゃないか。もうすっかり一人前だな」
「そんな君たちに朗報だ。冒険者が4~5人ほど必要な仕事が、ちょうど昨晩舞い込んできてる」

「冒険者の仕事といえば、蛮族退治と双璧を成すのが遺跡探索だ」
「安全の確保されていない前時代の遺跡に潜って、活動場所を確保したり危険を排除する仕事だな」
「今回の仕事も、分類的には遺跡探索にあたる」

「このギルドから馬車で半日ほどの距離にある採石場で、小規模な遺跡が発見されたらしくてな」
「昼前頃に、その採石場に向かってギルドの交易馬車が出る。それまでに腹ごしらえをして、依頼を受けるか決めておいてくれ」*依頼書を手渡す

◆依頼書の内容◆
・依頼主はセイブル採石場職人代表
 リード・ウィリアムズ(人間/男性/30歳)
・依頼内容は坑道拡張作業中に発見された遺跡の安全確保
・報酬は一人あたり900G
 前報酬としてヒーリングポーション(100G)魔香草(100G)を各1個ずつ支給
・依頼の期限は3日間

◆台詞◆
・ロイ
「依頼のあったセイブル採石場は、ここマグノアから南に進んだところにある石切場だな」
「ヒスダリアの辺りほどじゃないが、セイブルからは良質な石材が採取できる。量こそ少ないがマナタイト鉱石も産出するそうだ」
「要するに、鉱石や石材の採掘のために坑道を掘っていたら地下の遺跡にぶつかってしまった……って話さ。採石場や炭鉱じゃよくある話だな」

◆経緯◆
・セイブル採石場において坑道拡張作業を行っていたところ、坑道が何らかの地下空間に接触してしまった

・地下空間は人工的な質感の石タイル張りで、何らかの遺跡だと判断された

・過去の事例から魔動機文明時代の遺跡である可能性が高く、警備モードの魔動機が坑道に進出してきた場合採掘作業に支障が出る

・遺跡内部を探索し、魔動機の動作を止めるか全ての魔動機を破壊して安全を確保して欲しい

◆処理◆
探索の舞台となる遺跡の中は暗所であることが予想される。
冒険者ギルドからはマギトーチ(ET P131)が貸し出される。もし壊したり無くしたりすると報酬から差し引かれる。
PC達が依頼を承諾したら次チャプターへ移行すること。

◆アイテム解説:マギトーチ◆
直径50mm、長さ150mmの筒の先端部にガラス玉がはめ込まれた魔動機械。
片手で保持し、使用者のマナを使って明るい光を放つことができる。
要するに魔動機式の懐中電灯みたいなもの。これでも結構高い。

2. セイブル採石場へ

◆解説◆
セイブル採石場に到着する。
職人代表のウィリアムズから事情を聞くことができる。

◆描写◆
ギルドを出発した交易馬車に乗って揺られること半日。
頭上には真夏の太陽が照りつけており、馬車に幌がついていなければPC達は今頃干上がっていただろう。

首都マグノアの周囲は穀物畑と草原が広がっているが、セイブル採石場の周辺は乾燥した岩場が広がっている。
その一角に、石を積み上げて作られた垣で囲われた採石場が見えてきた。
依頼のあったセイブル採石場である。

◆描写◆
採石場は石垣の中にある複数の坑道と石材の加工場で構成されており、更にそこで働く労働者達の暮らす宿舎も併設されていた。
木材で建てられた簡易的な小屋が立ち並び、従業員食堂の煙突からは煙が上がっている。

「作業監督所」の看板の着いた建物の扉を叩くと、職人代表のウィリアムズが顔を出した。
ウィリアムズは建物の一室にPC達を案内し、壁に貼り出された坑道の一つを指さす。

◆補足◆
採石場の代表、ウィリアムズは置換可能なキャラクターである。
PC達に事態の経緯を報告し、依頼を後押しする立ち位置のキャラクターが居れば問題ない。

ウィリアムズは若いながらも採石場の職人達を束ねるリーダーであり、石材の価格交渉などを含めた様々な分野を取りまとめている。
石材加工の腕だけなら彼を上回るドワーフ達がいるのだが、経営者としての視点も持ち合わせる人物といったところ。

◆台詞◆
・ウィリアムズ
「遠いところを良くぞ来てくださった」
「私はリード・ウィリアムズ。この採石場の職人代表を務めている者だ」

「事の始まりはつい3日前、坑道の拡張作業中に起こった」
「拡張中の坑道が、遺跡と繋がってしまってね。似たような話はヒスダリアやグランティンの辺りでも聞くが……」
「前時代の遺跡というのは、警備用の魔動機が未だに稼働中であることが多いと聞く」
「もし坑道に繋がってしまった遺跡から攻撃モードの魔動機が出てくれば、作業員達の命が危険に晒されるだろう」

「だから、冒険者である貴方たちに遺跡の安全確保をお願いしたい」
「遺跡の入口までは案内する。どうか、よろしく頼む」*頭を下げる

◆処理◆
PC達が話を聞き終わると、既に日が落ち始めている。
ウィリアムズの手配で宿舎の一室を案内してもらえる。
夕食・朝食を貰う場合は従業員食堂に10G支払うこと。
保存食や食料を持っていた場合はそれを夕食・朝食として良い。

翌朝になるとPC達は遺跡の入口に案内される。

3. セイブル魔動遺跡

◆解説◆
遺跡探索パート。
遺跡は幾つかの部屋とそれを繋ぐ回廊で構成されており、遺跡を構成する要素の内訳は以下の通り。

・①制御室
・②武器庫
・③回廊(魔動機仕掛けの迎撃機構が働いており、通れない)
・④警備室(戦闘あり)
・⑤保管庫(制御室で使用する「鍵」あり)
・⑥魔動機管理室

汎用遺跡マップ

汎用遺跡マップ2

Kurumi's TRPG archive様に掲載の「TRPGマップライター」で作成したダンジョンマップ。

◆描写◆
セイブル採石場にある幾つかの坑道のうち、遺跡が発見されたという区画にPC達は案内される。
そこは拡張中の坑道の一本で、掘り進めたトンネルの一部が崩れ、石造りの遺跡の途中に繋がっていた。
遺跡の内部は真っ暗闇が広がっており、かろうじて幅と高さが3m程度の回廊が続いているのが見えるのみである。

◆処理◆
「暗視」の種族特徴、またはそれに相当する能力を与える装備を持っていないPCは視界不良によるペナルティ(基本Ⅰ P103)を受ける。
たいまつやマギトーチ、あるいは真語魔法【ライト】や魔動機術【フラッシュライト】で照らすことで解決できる。

PC達が準備を整え、遺跡に入ったら次チャプターに移行。

3-1. 制御室

◆解説◆
入口から入って右側にある小部屋。
内部にはPC自身のマナを供給することで遺跡全体の魔動灯を作動させるパネルや、警備システムについての解説文などがある。

◆描写◆
真っ暗な入口を進んでいくと、右方向に小さな部屋があることに気がついた。
簡易的な扉には鍵が掛かっておらず、中に入ることができる。

内部は石床と石壁に囲まれた小さな部屋で、幾つか金属製の机のような装置が置かれている。
壁には幾つかの金属製パネルが嵌め込まれており、その表面には何らかの文字が印されていた。
どうやらこの施設の見取り図が示されているようだ。
壁のパネルの一枚には、人の手形のような図形が彫り込まれている。

また、机のような装置の一つには鍵の差し込み口と見られる箇所があり、両脇には「1」「0」と刻印されている。
差し込み口に鍵は挿さっておらず、現在は「1」の方向に回っていた。

◆処理◆
難易度9の「文明鑑定判定(セージ知識判定パッケージ)」を行う。
成功した場合、この遺跡が魔動機文明時代のものであることが看破できる。

また、上記判定成否に関わらず魔動機文明語の読文能力のあるキャラクターは壁のパネルから以下の内容を読み取ることができる。
魔動機文明語の読文能力を持つキャラクターがいない場合、パネルや装置に刻印されているピクトグラムから内容を推測した、ということにして良い。

◆パネルの内容◆
当施設は職員または魔晶石から抽出したマナで照明機構を作動させている。
付属パネルの手形に手を押し当て、『照明作動』の起動語(コマンドワード)を唱えることで機構が作動する。
マナの消費量は設備相応のため注意せよ。

魔動機管理室にアクセスする際は操作キーを使い、防衛機能を「0」にすること。

◆処理◆
任意のキャラクターが手形のパネルに手を当て、魔動機文明語で『照明作動』と口にすると機構が作動する。
パネルに手を当てるキャラクターと起動語を唱えるキャラクターは同一である必要はない。

機構を作動させると、パネルに手を当てたキャラクターは7点のMPを失う。
同時に遺跡の部屋や通路に取り付けられた魔動灯が作動し、遺跡全体が明るくなる(たいまつやマギトーチが無くても暗闇によるペナルティがなくなる)。

上記の仕掛け以外、特にこの部屋には何もない。
PC達が部屋を出たらチャプター移行。

3-2. 武器庫

◆解説◆
武器の保管庫となっている部屋。
矢弾が回収できる他、もし主武装が「ソード」のPCがいた場合に備えてメイス類を配置しておく部屋。
本シナリオのボスはブルドルンであり、刃武器の効きにくい相手であるため一種の救済措置を配置している。

◆描写◆
通路の右手側にある小部屋に入ると、中は武器庫となっていた。
壁際の棚には錆びた武器が立てかけられ、床には蓋の開けられた武器ケースが散乱している。

おそらく《大破局》の折、施設に保管してあった防衛用の武器を持ち出したのだろう。
当時の抵抗の痕跡が見て取れた。

◆処理◆
以下のアイテムを入手できる。

・ライトメイス(基本Ⅰ P305)*1
・ヘビーメイス(基本Ⅰ P305)*1
・矢(または太矢または弾丸)*12

アイテムを回収したら次チャプターに移行

3-3. 魔動機管理室への廊下

◆解説◆
管理室に向かうための廊下。
防衛システムが作動しており、動くものを自動的に狙う光条が発射される。

◆描写◆
通路を進んでいくと左手に長い廊下が伸びており、突き当たりに大きな扉が付いている。
扉の上には管理室を示すプレートが付けられており、この遺跡の魔動機の管理が行われている部屋であることは明確だ。

◆処理◆
パーティの中で「最も先頭を歩いているPC」を決めること。
PL間で話し合って決めさせるのが良いが、もし答えが出にくい場合は「遺跡探索を行う時は、罠や隠し通路に詳しいスカウトが先頭を歩くのが定石だ」としてスカウト持ちのPCをGMから指名しても良い。

指名されたPCは難易度9の「罠感知判定(スカウト観察判定パッケージ)」を行う。
成功した場合、「壁の一部が発光し始めた」ことに気付き、咄嗟に飛び退くことができる。
失敗した場合、壁の一部から光条が放たれる罠に気づかず2d6-2点の純エネルギー属性魔法ダメージを受ける。

◆描写◆
管理室に向かう壁には防衛システムが仕込まれており、動くものに向かって光条を放つ仕掛けになっているようだ。
防衛システムをオフにするためには制御室の鍵を回すしかない。

◆処理◆
現時点ではこの先に進むことはできない旨をPLに告げ、ほかの場所を探索させること。

3-4. 警備室

◆解説◆
魔動機が何台か巡回している警備室。
奥には⑤保管庫の扉がある。

◆描写◆
通路を進んでいくと、突き当たりに部屋の扉があるのが見えてくる。
簡易的な扉の奥からは、微かに物音が聞こえてきた。

◆処理◆
難易度10の「聞き耳判定(スカウト観察判定パッケージ)」を行う。
成功した場合、部屋の中から魔動機の駆動音のような物音が聞こえてくることに気が付く。
失敗した場合、物音は特定できない。

次描写に移行。

◆描写◆
扉を開けると、中は警備室になっており数機の魔動機が巡回していた。
背中に砲塔を背負った魔動機と腕にハンマーを備えた魔動機が部屋の中をゆっくりと回っている。

◆戦闘◆
基本戦闘ルールで戦闘を行う。

戦力は
「ザーレィ」*(PC-3)
「ドルン」*(PC-2)

配置はドルンを前線乱戦エリア、ザーレィを敵陣営エリアに配置する。
魔動機を全員倒すと戦闘終了。

先の聞き耳判定に成功していた場合、先制判定に+2のボーナスを加える。

戦闘の指針
・ドルン
→前線乱戦エリアにいるPCをランダムに選んで近接攻撃を行う

・ザーレィ
→「制圧射撃」か「集中砲火」のいずれかをランダムに選ぶ。
 「制圧射撃」の場合、前線乱戦エリアにいるPCにできるだけ均等に攻撃を行う。
 「集中砲火」の場合、その時点で前線乱戦エリアにいる最もHPの高いPCを選び攻撃を行う。

◆処理◆
戦闘が終了した場合、先の保管庫に繋がる扉を開くことができる。

3-5. 保管庫

◆解説◆
制御室で使用する鍵を入手できる。

◆描写◆
警備室の魔動機を蹴散らし、奥に進むとそこは小さな保管庫になっていた。
木製の棚が並んでおり、破損した魔晶石や道具の類が収められた木箱が埃をかぶっている。
散らかった保管庫の最奥に、大きさ150mm程の金属製の鍵が置かれていた。
遺跡入口近くの制御室で使うものだ。

◆処理◆
以下のアイテムを入手する
・魔晶石(5点)*1
・制御室の鍵

◆アイテム解説◆
制御室の鍵
魔動機管理室に至る廊下の防衛システムをOFFにするための鍵。
青銅で作られており、表面は滑らかに磨かれている。
精緻な造りは魔動機文明時代の技術水準の高さを示しており、これだけでも好事家には買取の対象となるだろう。

◆処理◆
鍵を手に入れたら制御室に戻る。
制御室での鍵の操作には判定不要である。

3-6. 魔動機管理室

◆解説◆
遺跡最奥の魔動機管理室。
ブルドルンとの戦闘が発生する。

◆描写◆
制御室で鍵を回すと、魔動機管理室前の廊下の仕掛けが停止して通過できるようになった。
静かな廊下を進むと、管理室の扉が自動で開く。

扉の向こうは幅10×奥行20mほどの大部屋で、最奥には遺跡全体の警備システムとしての魔動機を統括する制御装置が設置されていた。
装置は各部からマナの青白い光を放っており、それが稼働中であることを思わせる。

そして制御装置の前には、この遺跡の最後の砦となるであろう数機の魔動機が陣を組んでいた。
PC達は魔動機と真正面からにらみ合う格好になる。

◆戦闘◆
基本戦闘ルールを使用し、戦闘を行う。

戦力は
「ブルドルン」*1
「ザーレィ」*(PC-2)
「ドルーシィ」*(PC-3)

「ドルーシィ」は本シナリオオリジナルの魔動機である。
大盾を装備した魔動機で、味方機を護衛する機能を持つ。

エネミーデータ:ドルーシィ
魔物レベル:3 知能:命令を聞く
知覚:機械    反応:命令による
穢れ:0    言語:なし
知名度/弱点値:10/13
弱点:衝撃属性ダメージ+3
先制値:9        移動速度:10
生命抵抗力:5(12)
精神抵抗力:5(12)

特殊能力
・マナコーティング:自身が受ける魔法ダメージを常に-1する
〇かばう:味方1人を指定し、抵抗:回避力/消滅 による効果を自動的に一回引き受ける。
▲防御態勢:10秒(1R)の間、自身の防護点を+2する

概要
魔動機文明時代に量産された、大盾を装備した魔動機。
ザーレィシリーズやドルンシリーズに随伴し、戦闘時に他魔動機への攻撃をカバーリングする。

攻撃方法:体当たり
命中力:5 打撃点:3
回避力:3 防護点:3
HP:25    MP:-

戦利品
自動:耐魔素材(40G/黒B)
2~8:なし
9~ :粗悪な魔動部品(100G)

配置はブルドルンとドルーシィを前線乱戦エリアに
ザーレィを敵陣営エリアに配置する
ブルドルンは「剣のかけら」*PC個で強化されている。
右半身・左半身に均等にかけらを割り振ること。


戦闘の指針
・ブルドルン
→右半身・左半身ともに前線乱戦エリアにいるPCをランダムに選んで攻撃する。
 余裕があればたまにPC陣営エリアの後衛を「ハンマースロー&引き戻し」で攻撃すると良い。

・ザーレィ
→「制圧射撃」か「集中砲火」のいずれかをランダムに選ぶ。
 「制圧射撃」の場合、前線乱戦エリアにいるPCにできるだけ均等に攻撃を行う。
 「集中砲火」の場合、その時点で前線乱戦エリアにいる最もHPの高いPCを選び攻撃を行う。

・ドルーシィ
→「かばう」を使用する個体と攻撃に参加する個体を交互に切り替え、できるだけブルドルンへのダメージを引き受ける。


◆処理◆
全ての魔動機を倒したら戦闘終了。
ただし、時間の都合やPC達の残りHPによってはブルドルンを破壊した時点で制御装置を止められても良いものとする。

魔動機達に守られている魔動機制御装置の前面にはボタンが付いており、押し込むことで魔動機達は動かなくなる。
遺跡の安全が確保された旨を告げ、結末に移行すること。

4. 結末

◆解説◆
結末パート。
遺跡の魔動機制御装置を停止させたPC達はセイブル採石場に顛末を報告し、ギルドに戻る。

◆描写◆
遺跡最奥部の魔動機制御装置を停止させたPC達は、坑道を通ってセイブル採石場に戻る。
遺跡に潜ったのは午前中だったが、もうすっかり日が暮れ始めていた。
作業監督署に向かうと、ウィリアムズがPC達を待っていた。

◆台詞◆
・ウィリアムズ
「おぉ、戻ったか。その様子だと、仕事は上手くいったようだな」
「作業員達を代表して礼を言わせてくれ。良い石材を届けるよ」

◆描写◆
ウィリアムズの厚意で、宿舎に泊めてもらえることになった。
翌日、朝日が昇ると同時にPC達はセイブル採石場を出発し、ギルドへと戻る。

《花々の歌声》亭に戻ると、受付カウンターでは依頼紹介担当のロイが新聞を読みながら待っている。
彼はPC達に気づくと、新聞を畳みながら話しかけてきた。

◆台詞◆
・ロイ
「よう、君たち。その様子じゃ首尾は上々ってところかな?」
「遺跡の探索ってのは、蛮族との戦いとはまた違ったノウハウが必要になる。面白いだろう?」

「罠を見つけて解除したり、遺跡そのものについて調べることで探索を有利に働かせることができる」
「斥候や学者の知識が役に立つことが多い。ある意味戦闘そのものより重要なんだからな」

「飯を食って英気を養うといい。また良い依頼が入ったら紹介するよ」

◆描写◆
ロイが立ち去ると同時に、ギルド内の食堂から良い匂いが立ち込めてくる。
ドワーフの料理人が、羊肉の串焼きを豪快に焼き始めたのだ。

PC達は、手にしたばかりの報酬を持って食堂へと駆け込むのであった。

5. アフタープレイ

本シナリオで得られるものは以下の通り。

・報酬
→依頼達成による900G+戦利品の売却額

・経験点
→シナリオクリアによる1000点+魔物のレベル×10点+ピンゾロ分

・名誉点
→「剣のかけら」の個数だけ6面ダイスを振り、出目の合計点

・能力値成長
→1回

上記の処理を行い、報酬や経験点などをキャラクターシートに書き込んだらセッションは終了となる。

Ex. シナリオの改造について

本シナリオは幾つかの部屋と通路で構成されたダンジョンに潜り、アイテムを回収したりギミックを解除することでクリアするシナリオとなっている。
最低限、警備室に直行して保管庫で鍵を手に入れ、制御室で使用すればシナリオはクリア可能である。

例えば、難易度やシナリオのボリュームを上げたい場合は他の通路にも罠を設定しておき、スカウトの罠感知判定で回避させると危険な遺跡であることが分かりやすくて良いかもしれない。
また、遺跡の制御室に魔動機文明時代の知識や語彙を使って解くような仕掛けを施すのもセージ技能の使いどころで面白いかもしれない。

登場する魔物については、「遺跡を守っていた魔動機」から「遺跡に住み着いていた蛮族」に変更することも可能である。
GM各位がやりやすいように改変・改造のベースにしてもらえれば幸いである。

プレイ例

ソードワールド2.5リプレイ《黒曜石の小剣》亭「機械仕掛けの回廊」前編
ソードワールド2.5リプレイ《黒曜石の小剣》亭「機械仕掛けの回廊」後編

上記シナリオを使い、セッションを行ったリプレイ。
NPCの一部を組み替えてはいるが、概ね上記シナリオ通りに回した結果、5ラウンドほどかかった。

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