ソードワールド2.5リプレイ《空の麓》キャンペーン 第四話「荒野の遺跡発掘場」後編

はじめに

この記事は2020/3/14に行われた「ソードワールド2.5(グループSNEのTRPG)」のセッションログを再編集したリプレイです。
読みやすくするため、実際のセッションログを少しだけ脚色したり、発言順序を整理したりしています。

本作は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の、二次創作です。

0.これまでのあらすじ

《空の麓》亭のギルドマスター、ジムレドの解析で伝説の魔剣【空色の剣】の手がかりを掴んだPC達。座標が示す場所は、《元ヒスドゥール大烈穴》の只中、人族と蛮族の領域の境界線である緩衝地帯だった。

魔剣の在り処と思しき場所を目指して大烈穴の中を進むPC達の前に、お腹を空かせた一匹のコボルドが姿を現す。彼の名はツィグリカといい、苛烈極まる蛮族達の遺跡発掘場から逃げ出してきたというのだ。
その方角は魔剣の在り処と一致しており、PC達は発掘場への潜入を計画するのであった……。

1.潜入、遺跡発掘場

GM:……というわけで、コボルドのツィグリカを案内役にPC達は蛮族達の遺跡発掘場へとやって来た訳ですね!
  追跡部隊が羽織っていた蛮族の外套を頭からすっぽり被り、リルドラケンのルクス以外、見た目は小柄なボルグといったところか……。

GM:◆描写◆
ツィグリカと遭遇した地点から歩くこと1日。
朝日に照らされ、木造の粗末な小屋が立ち並ぶ宿営地が見えてくる。
宿営地の外周は丸太杭と木板で簡易的な壁が作られており、一箇所のみから出入りができるようになっていた。
唯一の出入り口には両手斧を携えた大柄なボルグが2体、まるで門番のように佇んでいる。

イズール:野営地はいる前から獣変貌してていいですか!
GM:イイヨ!
GM:ちなみにクロウリーもリカント語わかるので よろしく!
キア:えらい!
イズール:ヤッタァ
◆GMのメモ◆
今回はシームレスに探索に移行したのでPC紹介する部分が作りにくい。
ここでササッと紹介しちゃいますよ。   

イズール

キャラクター:イズール・ローランド/男性/18歳
プレイヤー:シロクニ
種族:リカント(イタチ)
技能:フェンサーLv4/スカウトLv3/エンハンサーLv3
能力値ボーナス:器用3/敏捷4/筋力3/生命2/知力2/精神2
戦闘特技:囮攻撃、かいくぐり
装備:ショートスピア(槍/投槍)、ハンドアックス(斧/投斧)
  バックラー(回避用盾)、ソフトレザー(革鎧)

概要
故郷を蛮族に滅ぼされた過去を持つ、イタチのリカント。
槍や斧を状況に応じて使い分け、素早い身のこなしで戦う軽戦士。
斥候として優れた技術を持ち、偵察や警戒も得意としている。
練体士の技能により、呼吸法で更に身体能力を強化することができる。

ルクス

キャラクター:ルクス・マルガメス/女性/50歳
プレイヤー:やづや
種族:リルドラケン
技能:ファイターLv4/エンハンサーLv3/レンジャーLv2
能力値ボーナス:器用2/敏捷1/筋力5/生命5/知力1/精神2
戦闘特技:かばう、武器習熟A:盾
装備:グレートパリィ(大盾)、プレートアーマー(金属鎧)

概要
高い筋力と体力を誇る、リルドラケンの戦士。
特に仲間を攻撃から護る「かばう」の使い手。
正義感に篤く礼儀正しいが、実は負けず嫌いな一面も。
非常に大食らいらしく、密かに気にしているが食欲には抗えないらしい。

キア

キャラクター:“冒険家(パスファインダー)”キア・コレット/女性/15歳
プレイヤー:侘助
種族:リカント(アライグマ)
技能:シューターLv3/マギテックLv4/スカウトLv1/セージLv2
能力値ボーナス:器用3/敏捷2/筋力2/生命1/知力3/精神1
戦闘特技:ターゲッティング、武器習熟A:ガン
装備:ロングバレル(銃)、ハードレザー(革鎧)
   サーペンタインガン(拳銃)

概要
ダガー級冒険者の資格を持つ、礼儀正しいアライグマのリカント。
過去の記憶が一部欠落しており、亡き父の二つ名を継いでいる。
優れた魔動機術師であり、両手持ちのガンによる高火力銃撃を得意とする。
豊富な知識を活かし、探索時はパーティの参謀役を務めることも多い。

画像4

キャラクター:カナリカ/女性/20歳
プレイヤー:閣下
種族:ルーンフォーク
技能:フェンサーLv4/ライダーLv3/コンジャラーLv2/レンジャーLv1
能力値ボーナス:器用3/敏捷3/筋力3/生命3/知力3/精神1
戦闘特技:魔法拡大/数、魔力擊
装備:サーベル(片手剣)、ソフトレザー(革鎧)

概要
剣と魔動バイクを巧みに操る、ルーンフォークのお姉さん。
操霊魔法も嗜んでおり、補助的に用いる他に魔力を剣に乗せての「魔力撃」を戦闘の軸にしている。
バイクの機動力を活かし、敵陣に切り込む前衛としての役割をこなす。

210805 クロウリー3

キャラクター:チャールズ・C・クロウリー/男性/28歳
プレイヤー:のっち(GMと兼任の半NPC)
種族:人間
技能:アルケミストLv3/コンジャラーLv4/セージLv2
能力値ボーナス:器用3/敏捷2/筋力1/生命2/知力4/精神3
戦闘特技:魔法拡大/数、ターゲッティング
装備:メイジスタッフ(杖)、クロースアーマー(布服)

概要
女好きで飄々とした態度の操霊魔術師。錬金術師でもある。
操霊魔法と賦術の両方を併用した各種の補助・妨害・回復によって幅広い状況への対応を可能としている。
知識にも優れる一方で筋力はパーティ最弱である。

GM:では、発掘場と宿営地についてご説明を

◆解説◆
蛮族達の遺跡発掘場。この現場の責任者はトロールだとツィグリカは語る。
発掘場は大きく分けて「宿舎」「食堂」「遺跡」の3区画に分かれている。

また、発掘場内で何か怪しまれるような行動を取った場合、GMは「警戒度カウンタ」の数字を上昇させる(初期値は0)。
GMはPCの行動があまりにも無謀だと判断した際、行動する前に警告した上で、それでもPCがその行動を取った場合この数字を+する。
シナリオ進行中の「警戒度カウンタ」の数字をメモしておくこと。

GM:では、PC達が宿営地の入口に近づいていくと……
見張りのボルグ:『ム お前達は……』

200302 ボルグ(斧)挿絵

見張りのボルグ:『あぁ、脱走兵を捉えに行った者達か。 ご苦労』*斧を下ろし、軽く声をかけてくる
GM:もちろん汎用蛮族語だ

イズール:言語わかんないし獣変貌で喋れないしで、対応はお任せします!
キア:汎用蛮族語が話せるのは……クロウリーさんと私ですね

キア:『あぁ……少し休むぞ』
クロウリー:『見張りも退屈そうだな。しっかり頼むぜ』
カナリカ:「(癖で返事しそうになっちゃった……危ない危ない)」
ルクス:「」*無言で礼
イズール:「」*無言で頷く

見張りのボルグ:『この辺りは飯になるものも少ないだろう 食堂で何か、腹に入れてから休むといい』*通してくれます

◆GMのメモ◆
意思疎通の都合もあり、GMは「小声でなら交易共通語で喋ってOK」という表明を出した。ロールプレイ的な都合もあるが。

同じ妖魔語を母語とする種族であっても、例えばゴブリンとフッドなどは訛りがひどくお互いの言葉を聞き取れないことも多い。また、リザードマン語を母語とするフーグル族の発音も、彼らには殆ど聞き取れない。
従って、相手が小声で聞き慣れない言語で話していたとしても、妖魔達には特に疑問に思うことはないだろう、という判断である。

キア:「食堂で何か食べてから休むといい、だそうです」*ひそひそ
カナリカ:「すぐに作業に戻れ、とか言わないんだ……」

◆GMのメモ◆
まぁ大柄なルクスが居るし、小柄なPCが居たとしてもゴブリンとかフッドってことにしてごまかせるしね。無闇に突っかかる程、ボルグは馬鹿ではないはず……。

キア:では食堂に向かいましょうか
イズール:賛成~
カナリカ:何か情報が得られれば良いな

2.食堂~コボルドのキッチン~

GM:◆描写◆
肉が描かれた旗の掲げられた小屋に入ると、そこは妖魔達の食事処だった。
所狭しと並べられた樽やテーブルで妖魔達が食事を貪っている。
また、卓に付けなかった者達は床に座り込み、汚らしく食べこぼしながら食事を頬張っていた。

クロウリー:「(うへぇ、マナーも行儀もあったもんじゃねぇな……)」
キア:「クロウリーさん、私がこれから話すことに合わせてください」*袖を引っ張って耳打ち
クロウリー:「何するんだ?」
キア:「人族の出現情報の流言を流して、警戒を別の場所に向けます」
クロウリー:「相槌が打てるのは俺だけか……任せな」

GM:言語を活かした頭脳プレイ、良いよね

キア:『おい、そういえば聞いたか?コボルドを捕らえに行ったやつら、人族を見たらしい』*低い声で汎用蛮族語
クロウリー:『聞いたぜ。俺なら、息の根を止めてやるところだがな』
キア:『手練れだって話だ。殺しがいがありそうだぜ』

GM:周りの妖魔達が『おいマジかよ』『冒険者ァ?』みたいにザワついてます

キア:『このところ穴掘りばっかりだったから、体が鈍って仕方ねぇ』
クロウリー:『俺も暴れ足りねぇよ。それに人族ってのは、ガメル銀貨を持ってるんだろ?』
クロウリー:『根こそぎ奪って、酒と飯をたらふく喰いたいもんだぜ』

キア:みたいな感じで、誤情報を流しておきましょうか
GM:OKOK。警戒度カウンターを-1しときましょう。

キア:あとは遺跡の発掘の具合とかそこらへんを立ち聞きしたいですね
GM:ふむ。ではその前に食事を受け取らなければ、ですな

GM:カウンターの向こうではコボルドの料理人が鍋をかき混ぜています。椀に盛られた料理を受け取る必要がありますね
GM:ただし、うまく受け取らないと手首や顔が見えてしまうかも…… 
ということで「スリ判定」を行っていただきます。怪しまれずに上手く受け取れるかのチャレンジ、ということだね。
GM:5人分の食事を受け取ることになるので、合計5回 1人が全員分受け取ってもOKです
GM:さて、誰かやりたい人はいるかな?

バイク:しょうがねえな(スッ
キア:バイク君!?
イズール:バ、バイクニキ…!?
バイク:ハイオク、満タンで

キア:私はイズールさんにお願いしようかな、一番可能性あるので
ルクス:たのんます……!
カナリカ:シャッス!
クロウリー:「(イズール、頼んだぜ……! 俺みたいな不器用がやったら、手首とか見えちまうからな!)」
イズール:「」*頷く

イズール:ではパーティのみんなに身振り手振りで「俺に任せてくれ!」みたいな頭悪そうな動きをしてからとりに行きます

GM:ではイズールさんが5人分受け取る、かな! その間にルクスさん(筋力Bが4以上あるPC)は席の確保ができるよ
GM:5人がテーブルに付くために、小柄なゴブリンやフッドを押しのけたり蹴り飛ばしたりできます 彼らは力の強い者には逆らえないので……

GM:それでは、イズールさんはスリ判定、目標値12で5回どうぞ

イズール:2d6+3+3 //スカウト技巧判定パッケージ
<BCDice:イズール>:
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 5[3,2]+3+3 → 11→失敗……
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 5[2,3]+3+3 → 11 →失敗……
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 10[4,6]+3+3 → 16 →成功!
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 6[5,1]+3+3 → 12 →成功!
SwordWorld2.5 : (2D6+3+3) → 7[6,1]+3+3 → 13 →成功!

イズール:2回失敗しとる……!
GM:一回ミスするごとに警戒度カウンタ+1です
   即座に襲われたりはしないよ!

GM:警戒度カウンタ+2
キア:でも大分抑えられましたね
GM:さっきのキアさんの機転(流言によって警戒度-1)があるので、トータルでは+1に収まってますね ナイスロールプレイ!

イズール:ちょっと変な動きをしつつも、無事に受け取ってルクスさんのほうへ行きます
GM:給仕係のコボルドが「んん……?」みたいな顔をしますが、イズールさんが「うがーっ!」と唸れば慌てて厨房に引っ込むことでしょう
イズール:わるいなコボルド、今喋れねぇんだ

GM:◆描写2◆
コボルドの料理人が作っている食事は、意外にも美味なものだった。
野鳥の肉を薄い塩水で煮込み、近くに自生している植物の種子を香辛料として味付けしたスープが仄かに温かい。

PC達がスープを口にしていると、不意に入口付近のゴブリン達が慌てて席を立ち、外に飛び出していくのに気がついた。
暫くすると、食堂の入口をくぐるようにして大柄な蛮族が姿を現す。
それは3mにも達する均整の取れた筋肉質な身体と灰色の肌を持つ、トロールの戦士だった。

鎧を纏い、刃渡り2m程の大剣を携えたトロールの威容にゴブリン達は震え上がる。普段は彼ら相手に怒号を飛ばすボルグ達でさえ、姿勢を正してその怒りを買わぬよう、静かに控えている。

200226 トロール 挿絵

トロール:ズシン ズシン……

GM:◆描写3◆
トロールは静かにテーブルに付くと、低い声で『食事を出せ』とコボルドに命令する。
給仕係のコボルドは震えながら料理を卓に並べると、媚びへつらうような顔と声色でトロールに笑いかけていた。

トロール:*憮然とした表情で野鳥の丸焼きを頬張っている

カナリカ:「(強そうだな……。貫禄もあるし、今までの相手とは明らかに別格だな)」
カナリカ:「(私の魔力撃と手合わせしてくれないかな)」
ルクス:「(中々に頑丈そうですね)」
クロウリー:「(背中に背負ってるあの大剣……デカ過ぎんだろ……! あんなんで斬られたら死ぬぞ?俺は……)」
イズール:「(膂力も相当ありそうだ。強いな)」*ボルグに倣って静かにしつつ大剣を眺めてます
キア:「(正面からやり合うと、中々骨の折れそうな相手ですね……)」

食事係のコボルド:『ドムザッカ様……お、お味の方は如何でしょうか……?』*諂う
トロール:『精が付けば、味などどうでも良い。お前たちはただ、食料を切らさぬよう頭を回しておけ』
トロール:『もし食料が足りなくなったら、次に皿に乗るのはお前たちコボルドなのだからな』*野鳥の丸焼きを骨ごと噛み砕く
食事係のコボルド:『わ、わふぅん……! 気を付けますっ……!』*ぶるぶる震えながら厨房に引っ込んでいく

GM:では、このタイミングでトロールに対して魔物知識判定が行えます
    目標は11/16

カナリカ:2d6+6
<BCDice:カナリカ>:SwordWorld2.5 : (2D6+6) → 6[3,3]+6 → 12
成功!

ルクス:2D6 素
<BCDice:ルクス>:SwordWorld2.5 : (2D6) → 2[1,1] → 2
自動失敗……

キア:2d6+2+3  //魔物知識判定
<BCDice:キア>:SwordWorld2.5 : (2D6+2+3) → 12[6,6]+2+3 → 17
自動成功!

イズール:2d
<BCDice:イズール>:DiceBot : (2D6) → 7[4,3] → 7
失敗……

クロウリー:2d6+2+4 //魔物知識判定
<BCDice:クロウリー>:SwordWorld2.5 : (2D6+2+4+1) → 6[5,1]+2+4→ 12
成功!

GM:極端だな~!
    何はともあれ、キアさんはトロールの弱点までバッチリ見抜いたね

200226 トロール2

エネミーデータ:トロール/遺跡の守人、ドムザッカ

魔物レベル:6
知能:人間並み
知覚:五感(暗視)
反応:敵対的
穢れ:4
言語:汎用蛮族語、巨人語
知名度/弱点値:11/16
弱点:魔法ダメージ+2
先制値:14
移動速度:18
生命抵抗力:11
精神抵抗力:10

特殊能力
・神聖魔法(ダルクレム)Lv4/魔力7
○全力攻撃:近接攻撃時に宣言。打撃点を+4する代わり、続く10秒(1R)回避力判定に-2のペナルティを受ける。

・連続攻撃:「武器」による攻撃が命中した場合、同じ対象にもう一度攻撃を行うことができる。
※【かばう】の効果は攻撃対象の変更ではないため、2度目の攻撃は本来の攻撃対象に対して行われる。

〇薙ぎ払い:近接攻撃時に宣言。近接攻撃が可能な対象から3体を選び、攻撃を行う代わりに打撃点を-3する。この特技を宣言した場合、【連続攻撃】の効果は発動しないものとする。

攻撃方法
武器
命中力:9
打撃点:2d+10
回避力:7
防護点:5
HP:50+15
MP:26+3

戦利品
自動:トロールの血(100G)
自動:剣のかけら*7
自動:トロールの聖印(700G+名誉点5)
2~8:大きな武器(300G)
9~ :宝石(150G)*1d

概要
硬質な灰色の肌に覆われ、3mに達する体躯を持つ蛮族。
無意味な殺戮や蹂躙を好まず、強敵と死闘を繰り広げることに価値を見出す傾向にある。その血は力の象徴であり、武具の力を強めると伝えられる。

遺跡の守人を務めるドムザッカもまた、そうしたトロールらしい気質を持つ1人であった。
好敵手と相対した彼は、重く巨大な剣から致命的な斬撃を繰り出す。
それは妖魔共の稚拙で乱雑な戦いとは一線を画し、気高さすら感じさせる。神に捧げるべき、トロールの戦いだ。

キア:「(剣のかけらを宿す程の実力者……並みのトロールじゃありませんね……。しかし、攻略法が見えてきました。上手く弱点を突ければ……!)」

トロール:『そういえば、食堂を出てきたボルグ達が『人族の冒険者を殺してやる』などと息巻いていたが……お前たち、何か知っているか?

GM:と、なんとPCたちに向かって聞いてきます。

クロウリー:「(げぇーっ、関わりたくねぇのに!)」
キア:『聞いた話ですが、逃げたコボルドを捕まえに行った奴らがそう言っていました』
キア:『デカい武器を持った腕利きの冒険者……とか』*妖魔の価値観だと「デカい武器=強い奴」の図式なのだ

イズール:喋れないしぶんぶん首を振っておきます おらしらねえ
ルクス:「(沈黙...沈黙...)」
カナリカ:首傾げておきます

トロール:『フン、大きな武器か……まぁ俺の剣には及ぶまい』
キア:『発掘現場に戻っていった連中が、ボスでも勝てないだのなんだのと言っていたのを聞きましたぜ』
トロール:『俺でも勝てない、だと……?』*岩のような眉根が動く

クロウリー:「(ウワーッ!挑発する奴があるか!)」

キア:『生意気な事をいうやつも居たもんです』
トロール:『不確かな情報からは、不確かな結論しか導けぬ。完全なる勝利のための努力を怠るとは……ダルクレムの教えを知らぬ、愚か者だ』
トロール:『軽々しく予断を口にするなどとは、戦士の恥よ。真にどちらが強き者かは、実際に相対して後、決することであろうが』
トロール:『貴様らは、そのような愚者ではあるまいな? 食事を済ませたならさっさと寝ろ。夜はまた採掘作業とコボルドの使役だぞ』
キア:『はい、もちろんです』

GM:トロールは食器の片付けもせず、口を拭うと席を立ちます
キア:は~い、では我々も出ましょうか
ルクス:出よう出よう
GM:OK!

3.宿舎~妖魔達のねぐら~

GM:◆描写◆
木造小屋の一つに入ると、そこは妖魔達の宿舎だった。
極めて粗末な、二段ベッドとでも言うべき板組みの寝台にボロ布が敷いてあり、ゴブリンやフーグルがイビキをかいている。
更に小屋の奥、部屋の隅には寝台すらなくボロ切れにくるまった幾人かのコボルドが、身を寄せ合って休んでいた。

クロウリー:「それで、どうする? 食堂でキアが連中の注意を外に向けさせたが……」*交易共通語の小声
カナリカ:「うーん、コボルド達を何とか味方にできないかな?」*同じく
カナリカ:「コボルトたちにゴブリンを陽動してもらって、手薄になったところでトロールをたたきたいと思うんだけど」

ルクス:「うまくいくでしょうか?」
キア:「彼らへのしっかりとしたメリットを提示する必要がありますね」
カナリカ:「彼らはトロールがいなくなってもゴブリンにいじめられるだろうし……人里に来られるなら、乗ってくるはず」
クロウリー:「かなり大掛かりな作戦だな……。俺としちゃ、遺跡の中から魔剣を見つけてずらかるのも手ではあると思うが……」
イズール:『そいつらも腹が減っているなら、もしかすると餌付けできるんじゃないか?』*リカント語

クロウリー:「なるほど、この宿営地のコボルド全員を亡命させる。その代わり、陽動を担当してもらうってことか……。ツィグリカから話してもらえれば、目はあるかもしれんな……」
カナリカ:「そういうこと。トロールとか、もっと言えば、遺跡発掘を指示してる上位蛮族達は放っておくと軍団をつれて報復をしてくるだろうし、今が好機だと思うんだよね」

キア:「良いアイデアだと思います」
ルクス:「では、実行しますか?私達は力にはなれませんが……」
ルクス:「しっかり沈黙は守りますとも」
クロウリー:「デカい賭けになりそうだな……乗ったぜ」

ツィグリカ:「え、えぇ!? 僕がこの宿営地のコボルド達を説得するんですか!?」
カナリカ:「おいしいご飯と、まともなおうち……欲しいでしょ?」
カナリカ:「戦わなきゃ、願いは叶わないんだよ。いつだってね」
ツィグリカ:「(う、うぅ……美味しいものとまともなおうち……)」
ツィグリカ:「や、やります……! 僕、まともな暮らしが欲しい……!」

ルクス:「決まりですね、任せました」
ツィグリカ:「僕は食堂に向かいます。 食堂には、料理係のコボルドの宿舎が併設されてますから」
ツィグリカ:「皆を説得したら、「人族が攻めてきたぞ!」って一斉に騒ぎます。タイミングは皆さんに任せます」
イズール:『任せたぜ』*ジェスチャーを交えて

GM:ツィグリカは宿舎を抜け出していくと同時に、作戦会議を続けるPC達の耳には隣の小屋からの声が聞こえてきます
GM:野太い怒鳴り声なので、ゴブリンか何かが叫んでいるようです。話し相手は怯えているような声……ツィグリカ以外のコボルドの声のようです

GM:◆台詞◆
ゴブリン:『手前ら、能無し!使えないクソ共が!あの石扉、開かない……何故だ?』
コボルド:『きゃうん……! あの扉は……古い魔法の文字で書かれています……解読には、心得のある方を……』
ゴブリン:『お前らがやれ!何故できない?能無し!このクズどもが!』
コボルド:『ひぃぃ…… し、しかし……』

キア:「(魔法文明語ですか……どうやら遺跡発掘はそこで行き詰まっているようですね)」

4.遺跡発掘現場

◆Caution!◆
ここへ来て恐ろしい事実が発覚する。
GMはセッション中、こまめにログを取ることを心がけているのだが、今回に限ってここから先のログを保存し忘れていたのだ。

この重大インシデントに対し、GMはマンゴーをもぐなどの研修に送られ、今後このようなことがないよう気を付けることにした。

ここから先はリプレイ風ダイジェストとしてご覧下さい。
GMがセッション当時の展開を頑張って思い出しながら書いています。

GM:◆描写◆
妖魔達が宿舎で寝ている正午を待ち、PC達は寝床を抜け出した。
宿舎や食堂の小屋を抜け、しばらく歩くと発掘場に入ることができる。
どうやらこの周囲一体の地面を作り替えて造られた“魔剣の迷宮”を無理やり下に掘り進んでいるようだ。

大抵の妖魔は暗視の能力を持つためか、発掘場の坑道には最低限の松明が焚かれているのみで薄暗い。

GM:◆描写2◆
坑道をしばらく進むと、通路が行き止まりになっている。大きな石の壁が通路を塞いでいるようだ。
コボルドやゴブリン達が賢明に掘り進めた痕跡が周囲の床や壁に見られるが、かなり巨大な壁らしくその端が見える様子はない。
灯りで照らされたその表面は、有機的な曲線によって複雑な模様が施され、奇妙な装飾に彩られた文字が描かれていた。

◆GMのメモ◆
たしかクロウリーが「文明鑑定判定」に成功し、この遺跡が魔法文明時代のものであることを見抜いた。

GM:この石扉、宿舎に居たときに聞こえてきた話に出てきたものですね。
   扉に対して文献判定に成功すると、より詳しい情報がわかります。
  また、聞き耳判定で追跡者が居ないか調べることができます。

◆GMのメモ◆
キアが文献判定に成功し、魔法文明時代の動作機構である「魔法円」が扉の一部に描かれていたであろうことを解析した。

また、カナリカ・イズール・ルクスは聞き耳判定に挑戦し、ひとまず追跡者の足音が聞こえないことを確かめた。

GM:では、魔法円の痕跡をよく見ると……
    魔法文明語の読文能力を持つカナリカとクロウリーは、以下の内容を読み取れます。

「扉の中心に描かれた魔法円からマナを注ぎ、合言葉を唱えるよ」
「その剣は、何の色を映す?」

GM:カナリカが魔法円の中心に手を翳し、「空色」と魔法文明語で口にすると、3点分のMPが失われる。同時に、石造りの壁がパズルのように16枚の石版に分割され、地響きを立てて組み変わっていく。

暫くすると、直径2mほどの円形の入口が姿を現した。
その奥に眠るのは、誰も足を踏み入れたことのない遺跡の最深部である。
ジムレドに渡された地図は、ちょうどこの遺跡の先を指していた。

5.戦闘・遺跡の守人、ドムザッカ

GM:◆描写◆
魔法の仕掛けが施された扉を抜け、遺跡を進むPC達。
蛮族達が手当たり次第に掘り進んでいた先程までの区画と違い、この通路には傷も足跡もない。
10分ほど通路を進むと、直径30mほどの円形広間に抜けた。
中心部には石造りの台座があるが、魔剣らしきものは突き立っていない。

◆GMのメモ◆
既に魔剣は持ち去られた後か、あるいは最初から無かったのかとPC達は騒然としたが、まずは台座を調べることにした。

GM:PC達が台座に近づいて確認したなら、大きさ約7cm程の小さな剣型の首飾りのようなものが、台座の天面に埋め込まれていることに気付きます。

手で簡単に外すことができ、外したとしても何も起こりません。
そのまま「空色の剣(?)」をアイテムとして入手可能です。

外見は綺麗な空色をした、石か何かでできた剣型の首飾りのようなもので、その表面はつるつるに磨き上げられています。

◆GMのメモ◆
魔剣を装備することを期待していたカナリカが、とりあえずこの奇妙な首飾りを持つことにした。普通のアイテム扱いであり、特に効果などはない。

そして、このアイテムを手に入れたタイミングで再び聞き耳判定を行った。
結果は成功で、PC達は後ろから追ってきた蛮族達の奇襲を受けずに済んだ。

トロール:『遺跡から地響きがしたと思えば……いつの間に侵入したのだ』
     『コボルド共が「人族の冒険者が外から攻めてきた」などと騒いでいるのも……さては貴様らの差し金か』

◆GMのメモ◆
当初のシナリオ想定では、ここでトロールに加えて「警戒度カウンタ」+2程度の取り巻きを登場させ、潜入シナリオにおける緊張感を持たせたい狙いがあった。
しかし予想以上にPC達の行動が的確で、食堂でも殆ど怪しまれることがなかったため、取り巻きは最低数となったのだ。

フーグルマンサー*2とボルグハイランダー*2とかだった気がする。

GM:PC達の作戦が功を奏し、この発掘場で主たる警備や見張りを担当するボルグ達は殆どが遺跡の外へと向かっていったようです。
  この遺跡を守るトロール、ドムザッカは惑わされずに遺跡へと足を運んだようですね。

GM:というわけで、戦闘を開始します。

◆GMのメモ◆
誠に恐縮ながら、戦闘時のログも残っていない。

セッション当時は、トロールの「2回攻撃」の能力によってルクスの「かばう」が相殺され、「全力攻撃」が乗せられた一撃目のみをルクスがかばい、二撃目は狙われたPCが自力で回避せざるを得ない状況が繰り返された。

一度だけ、カナリカが最大ダメージを引き当ててしまい、残りHP3点という重傷を負うシーンも見られたが、キアのロングバレルから放たれたクリティカル・バレットが2回転くらいして大ダメージを叩き出し、一向は勝利を収めた。

6.結末

GM:PC達との死闘の末、遂にトロール、ドムザッカは膝をつきます。
   傷口からの血は止まらず、時折苦しそうな息と共に血を吐いています。

以下、トロールからの台詞。

『見事だ……素晴らしい、戦いだった』
『お前たちの強さに敬意を表し……一つ、良いことを教えてやろう』
『俺は部下に命じ、緊急事態の発生を意味する狼煙を上げていたのだが……上位蛮族は、それを無視したようだ……』
『奴は千剣伯の指揮する遺跡発掘事業の内……この遺跡を含む大烈穴南部の地域を統括する男……野心家のディアボロだ』

『おそらく奴は、この遺跡から人族の街へと戻るための道に兵を回しているはずだ……。迂回して戻るがいい』

GM:トロールはそれを伝えると、死闘を繰り広げられたことに満足し、息を引き取ります。
遺跡の外に出ると、十数匹のコボルド達が集まってきていることでしょう。

GM:今回のシナリオはここまでになります。
   シナリオとしては一区切りですが、ジムレドからの報酬はギルドに戻らなければ受け取れませんし、薬草やポーションといった物資調達もできません。ギルドに帰るまでが冒険!ということで……。

7.次回予告

遂に遺跡で【空色の剣】らしきアイテムと対面したPC達。
しかしそれは魔剣のイメージとは似ても似つかぬ、民芸品のような首飾り。
そして次回、トロールを撃破したPC達にディアボロの追撃が迫る……。
第五話「脱出・撤退・大裂穴」をお楽しみに。

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第五話「脱出・撤退・大裂穴!」→

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