許す
日々を過ごしていると、つい過去の嫌な記憶が頭に浮かんできます。
私も、過去の自分の判断、発言、行動等、何度も同じことを思い出しては、「何であんなことを。。」と自分を責める癖があります。
そして、そのように過去の自分を責める時の自分は、同時に過去の他人の言動についても思い出し、責めているように思います。「あの時、あの人は自分に対してあんなにひどいことをした」、「自分はとても傷つけられた」、「絶対に許さない」等といつまでも過去の思いを引きずっています。
これらに共通しているのは、「過去への執着」です。そして、厳しい言い方をすると、それを行うのは
「過去に執着すると自分にとって何かしら都合がよいから」
です。
もちろん、自分のふるまいを後で振り返って反省することは自身の成長につながりますし、また他人からの言動が本当に自分自身の尊厳を傷つけたり、またトラウマにつながっていることもあるでしょう。
ただし、人は前に向かって進んでいる時が一番安定し、楽しく、活気に満ち溢れます。それなのに、いつまでも過去の記憶に縛られて「今」を楽しめないことは本当にもったいないことだと思うのです。
私自身、とても執念深く、悩みがあると四六時中そのことが頭から離れなくなったり、過去のことにいつまでも拘るところがあります。そして、過去に拘っている時には、目の前に良いことがあっても、それに気が付けなかったり、あるいは自分自身のことで頭がいっぱいになり、目の前の人に関心を寄せたり、あるいは優しく接したりできなくなります。それは、過去に拘るために今を大切に生きられないことであり、大切な未来のチャンスを失うことになります。
その様な状態から脱却するためには
「許す」
ことです。
これは、自分だけでなく他人も、全て「許す」ということです。
その許せない出来事があった過去においては、自分も他人も、その時に出来る精一杯の判断と行動を行ったと判断して「許す」のです。
もちろん、「許す」ことは時にとても勇気がいることです。自分自身を許すことはまるで自分を甘やかし、他人を許すことは自分が損をしたような気分になるからです。
先ほど「過去に執着すると自分にとって何かしら都合がよいから」と書いたのも、過去に執着すれば、自分自身に対して同じ過ちを繰り返さないようにする戒めとなったり、他人から傷つけられた自分を被害者のままでいさせることが出来るからです。
ただ、もうそれらを存分に味わったならば、もう次の段階に進みましょう。
もう十分、過去に執着して自分自身を反省させただけではなく、他人にも怒りの感情を送りました。そして今のあなたも、あなたを傷つけたあの人も、過去のままではありません。いまこの瞬間も変化しています。
過去の自分を反省できるあなたは過去のあなたよりも高い視点にいるということ。また、あなたを傷つけたあの人も、あなたを傷つけたことに対して、あなた同様、反省し自分を責めているかもしれません(もちろん、これは期待したい方がよいですが)。
とても大変に感じられるかもしれませんが、
もう自分も他人も「許しましょう」。
許し方ですが、まずは自分自身で「許す」と決めることです。
その宣言は声に出しても良いですし、紙に書いても構いせん。
自分自身の中で「許す」と宣言することが大切なのです。
もちろん、人間は感情を備えた生き物ですから、「許す」と決めても気持ちが付いてこないこともあると思います。
その場合は、
現時点で「許す」ことに気持ちが付いてこない自分自身も許します。
気持ちがついてこない今の自分自身を許しつつ、過去の自分も他人も「許す」、そして次に進む。
また記憶が頭に浮かんできても、また「許す」、次に進む。
根気がいることもありますし、思いのほか時間を要することもあるでしょう。ただ、これを何度も繰り返していると時間と共に必ずあなたを過去に対する執着から引き離してくれます。
そして、少しでも「許す」ことに取り組む積極的な姿勢こそが、あなたをより前向きにさせてくれるはずです。
お読み頂きありがとうございました。
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