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#118 ドン・デリーロと金井美恵子

VOLOJZA(ボロジャザ)という名前でラップをしたり、ビートを作ったり、アートワークをやったり、映像やったりしています。諸々メモがわりに書いて行こうと思います。


図書館で 金井美恵子の短編全集Ⅰという本を借りた。金井美恵子について自分は全く何も知らなかったのだが最近はずっとドン・デリーロというアメリカの作家にはまっていてそれが中々内容が難解で読み応えがある。『コズモポリス』、『墜ちていく人』、『ホワイトノイズ』と読んでここらでちょっと休憩というか(味変)ならぬ(読み変)したくなったのだ。
図書館のいいところはでかい本を借りれる事だ。正直でかい本を買うのは自分にはハードルが高い。まず値段が高い、そして場所をとる。持ち運ぶ時重い。邪魔。なので買うのは専ら文庫サイズの本が新品でも中古でもメインになる。しかし借りるとなればいずれは返却するのだから気が楽だし文庫化されていない面白い本もたくさんある事に気がついた。
むしろ自分は文庫化されてないぐらいの本に凄い自分の趣向に合うものがあるのではないかと思いはじめてきた。
サブスクとして最強なのではないか?

セレンディピティ(偶然性)で自分の趣向にドンズバなものに出会う事は今も昔も凄い興奮するし嬉しい。
自分にとってドン・デリーロも金井美恵子もそうで四十手前でそういう感覚を味わえるのは嬉しい。自分は全く読書家ではなかったのでこれから色々読んで行きたい。 

金井美恵子は文学でしかなしえない白昼夢的な世界観がくらくらするし、それが自分の日常生活にも侵食していくような感覚が凄い。こんなかっこいい文章を書く人がいるのかと思った。ただかなり読んでいて脳が疲れるので返却日を気にしながら(既に1回延長してしまっているが)ちびちび読んでいる。『奇妙な花嫁』という短編で

〜彼の顔、うつろな夜の中で暮して来た孤独な独身者鏡の砕け散った破片、 世界が鏡であるなら、それと向きあった孤独を映し出すもう一枚の鏡面の砕けた破片が、星だ。 〜

という箇所があってこれはまさに私が自分のALBUMのタイトル『割れた鏡が見たなにか』に通ずるものを感じておこがましくも嬉しかった。ぶちあがった。

ドン・デリーロはいままで読んだ彼の作品の解説を読むとドン・デリーロの小説には全てがあるというような事が大体書いてあるのだが私も同感で確かにこの人の書いているものには全てがあると感じる。凄いのがこれを映像化するとそんなに面白くはならない事だ。いや面白いのだが凄さがあまり表現できないことだと思う。文学だからこそできる面白さというか

『ホワイトノイズ』という作品の印象的な部分

「合理性が築き上げた計略の果てにある恐怖や死を、見ない振りをしてしまうこと。これは未来 に対する抗議デモなの。彼らは未来を遠ざけたいのよ。それを平均的なものにしたい。未来が現在を圧倒するのを妨げようとしているの」

「未来は常に完全だし、すべて同じなの。未来の私たちはみな背が高くて、みな幸せと彼女は 言った。「だからこそ、未来は失敗するの。いつだって失敗するものなの。それは決して、私たちがそうなってほしいと思っているような残酷で幸福な場所にはならないの」

「私たちの見せかけが献身なんです。誰かが信じているように見えなければなりません。私たちの人生は、実際 に信念、信仰を抱いている場合よりも不真面目ということにはなりません。世界から信仰が縮小していくにつれて、誰かが信じているのがさらに重要であると人は気づくんです。洞穴のなかの燃える目をした男たち。黒に身 を包んだ修道女たち。口をきかない修道士たち。私たちは信じたままなのです。愚かであり、子供である。信仰 を捨てた者たちは、それでも私たちを信じなければなりません。彼らは自分たちが信じないのは正しいと確信してますが、信仰が完全に消えてはならないということも 知っています。地獄とは信じる者がいないときです。信じる者はつねに存在しなければならないんです。ばかに、 愚か者に、声を聞いた者に、未知の言語で話す者。私たちはあなた方のための狂人なんです。私たちはあなた方が無信仰でいられるために、人生を捧げているんです。 あなた方は自分が正しいと確信しているけれど、すべて の人が自分と同じように考えるのを望んではいないんで す。道化なしにはいかなる真理もない。私たちはあなた 方の道化であり、狂女なんです。夜明けに起きて祈り、 蠟燭に火をつけ、彫像に向かって健康と長寿を祈る」

痺れる〜
ホワイトノイズはNETFLIXで映画化されています。
いいんだけどなんか違うんだよな〜

コズモポリスもデビッド・クローネンバーグが映画化しててそれが好きで図書館で借りたのがきっかけ
これは好きです。


次回は頑張ってXGについて書こうかなと思います。


読んでいただきありがとうございました。



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