ごちゃごちゃすぎる建設業界を洗濯、の前に整理してそうろう

さて、前回はちょっとした自己紹介でしたが、今回からは本題。


早速ですが、ごちゃごちゃすぎます、建設業界は。
建設業界についての「何か」を語ると、「それは一人親方なら〜だ」「事業主だから〜だ」「元請けだら〜だ」「コレコレは込みなのか〜」などとやたらめったら「立場」の違い(からくる考え方の違い)のコメントの応酬になってしまいます。もう何語ってもそうなるので収集着かないまま毎回終わってしまう。


だから洗濯、の前に整理していくところから始めたい。
みんなで共通基準を持って語っていかなきゃいつまでたっても議論が煮詰まらない。


整理の角度は「立場」。

みんなごちゃごちゃ言うけど、立場に絞ると実は「事業主」か「労働者」の二択しかないんですよ!!!!(大きな声でいいたかった)

「いや、僕は一人親方です」→事業主。
「いや、僕は親方です」→事業主。
「僕は、子方ですけど」→労働者
「見習いっす」→労働者
「てか丁稚奉公」→労働者
「応援や!」→労働者

普通の業界でもよく「パートだから」とか「アルバイトだから」とか「学生だから」とか色々いわれたり言ったりしますが、総じて全部「労働者」なのです。法的には。

ごちゃごちゃと謎の呼び名をたくさん作ってあたかも法的な義務がないかもしれないかのような錯覚を覚える(与える)のはやめましょう。あなた(やあなたの子方や下請けも)は「事業主」か「労働者」のどちらかでしかありません。


仮に「普段は材料共の請負しかしてねーぜ!」って強者も、
「あぁ、もちろんたまに仲間に呼ばれて一日○万の応援はいくことあるけどさ」っていう場合は、その「応援に入っている間」は「労働者」なのです。


例えば、
「4月は材料共で30坪の新築工事を請け、5月は友人の職人の応援で10日入った」
という場合を想定しましょう。


そうすると、4月=事業主 5月の応援に入っている間=労働者となります。つまるところ、事業主と決めればいつどんな仕事の受け方、報酬のもらいかたしても事業主ってわけではありません。個別の契約形態・実態毎に事業主か労働者かが決まるのです。

というわけで、もしこれを読んでくれているあなたが一人親方だったとしたら、一年間に「日当で請求してる場合」は労働者で、それ以外は「事業主」と考えてください。あくまでざっくりですが。(※実は最近、本来なら労働者のはずが巧妙に事業主にされている「一人親方」も多いようです。この話はまた別の記事で)
(ちなみに、労働者として日当をもらった分については給与所得控除が使えるんですよ)


さて、本題の本題。


ごちゃごちゃしすぎの建設業界を整理するには、「基準」が必要だと思っています。みんなが同じ基準を持ってこそ、議論が進む。その基準として、事業主ってルールがなさすぎて基準になり得ないんですよ。材料共なのか手間請けなのか、ゼネコンなのかハウスメーカーなのか、町場なのか、新築なのか改修工事なのか、元請なのか、下請なのか、公共なのか、民間なのか・・etc


全部違うじゃないですか。営業の仕方も、経費や利益率も含めて。


働き方も、何の基準もない。フリーダム。それに、事業主があつまって単価を申し合わせたとしたら、それは独占禁止法上の「カルテル」といわれる可能性もある。というわけで、事業主は、基準とはなりえない。


ということで、基準となり得るのは「労働者」なんです。

労働者の賃金や、社会保険、労働時間などが決まってくれば自ずと、それを基準にして経営者が競争をすることになる。だから、僕は労働者である職人の共通する条件を作り出すことを通じて、ごちゃごちゃしすぎてる建設業界を整理してみたい。


「職人っつったって色々ですよ、建声さん」

という声が聞こえてきそうだが、現状はさておいてください。その「色々」は法的に自由な事業主の色々とは違って、全部先代の「労働者」が作り上げてきた基準=法律から外れた「違法労働」「違法派遣」「偽装請負」という説もあります。


では具体的にはどんな共通基準があるか。


【労働者の共通基準】
・一日8時間、週40時間まで(これを守れば週休2日になる)。
・8時間を超えた分は時給(月給や日給から算出する)×1.25倍を支払う義務がある。
・22時〜5時までの労働についても1,25倍。
・仕事が経営者(や元請けや、上請け)の都合でできなかった場合、その日の賃金は保障される。(今日の現場材料まだやから休みなー=無給ではなくなる)。
・必要な道具類(車、車庫代はもちろんも含めて)会社持ち
・あらかじめ決めた労働日数に満たない場合は、経営者持ち(仕事が甘くなったりからといって職人に払わなくて良いわけではない)
・労災は、余地なく会社の労災を使用
・健康保険、雇用保険、厚生年金に加入し、保険料が経営者と折半になる。
 (多少条件はありますが想定しているフルタイムの労働者はほぼ適応対象)
・国の最低賃金の制限を受ける(現在日当だと7000円〜8000円(地域による))
・有給休暇が付与される(休んでも金がでるんだってばよ!)がある。
・労働組合などの労働協約を締結すれば法律を超えた最低賃金を支払わなければならなくなる。


などなどあげ始めたらキリがない。

でも、「あなたは事業主だからね」と事業主扱いされたら上記の「基準」はすべて吹っ飛ぶ。誰も責任を取ってくれなくなるのが「事業主」。


なので、事業主か労働者か、この一線は大きい。安易に「独立」をあおるのは業界の大問題と僕自身は思っている。ここを曖昧にしないこと。労働者として職人がやっていけるような建設業界をつくりだすことこそ、展望している建設業界の在り方、だと僕は思っている。


ところで、あなたは「事業主」?それとも「労働者」?
もし誰からも雇われてないけど、材料共で請け負ってるわけでもない、ということだったら、次回の記事で書こうと思っている最も問題の多い働き方、括弧付きの「一人親方」かもしれません、ね。