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絶対無理なんて言ってることほど、本来の姿だと思いますよ?

なんて言われていきなり「はいそうですか」とはならないもんではあるけれど、どういうわけかそうなってしまったお話。

ずっと同じことを言われ続けてきていた

ありがたいことに、相談相手と呼べる人が何人もいる。
起業前も起業後も、事あるごとに色んなことを相談してきた。
ほぼ必ずと言っていいほど、有益な情報であったり、これからの方向性であったりを示してもらい、紆余曲折ながらもここまでなんとかやってこれた…という感じである。

恩人は数知れず。
その中でも最も長い付き合いである恩人は言う。
「薫ちゃんはね、身内運あんまないから。その分、他人様に助けられてるよ。」
ちなみにこの恩人は、私の結婚の際に
「あーもう薫ちゃんはハズレを掴んだのか大ハズレを掴んだのかっ!」
と言いつつも
「何かあったらいつでも頼っておいで。薫ちゃんの幸せが、一番だからね。」

と言ってくれた人でもある。あ、ダメだ思い出したら泣けてくる。

たくさんの恩人たちに、仕事の事を相談するたびに言われてきた事がある。それは

「モノじゃなくてさ、かおるさん売りなよ。」

もちろん、決してどこかアブナイところに売り飛ばそう…というわけではなく。商品として「モノ」を売るのではなく「くりもとかおる」を売れ!と。

んなこと言われてもなぁ…私の何を売るよ…と思いながら数年。
元々取り扱ってきた企画開発の商品が色んな都合で作れなくなってしまった。このままだと廃業か…と思ったところに、やはり周りは同じように

「だから!かおるさん売れと言ってるでしょうが!!」

と檄を飛ばしてくれた。
私に出来ることってなんだろう?そこから考える…というよりも、走りながら考えるような日々が始まり1年と少し。
徐々に結果が出てきたかな…という所にコロナ騒動。今は新しい生活様式に向かってまた走り出している。

焦らせ・惜しめ・出し惜しめ!

私に対する「お説教」(もちろん愛のある)の中では、最早鉄板ワードと化しているのがこの「焦らせ・惜しめ・出し惜しめ」。ボイスデザインを教える講師・講演業として前に立つ私は、どうもサービス精神旺盛に喋りすぎるきらいがあるらしい。

「その日のその時間で全部渡してどーすんの!次につながらないでしょうが!」

ごもっとも…。
ただ、どうしても相手のためになるのであれば…と惜しみなくだしてしまう。受講者の納得した顔を見てすごく満足を感じてしまう。これも承認欲求のひとつと言えるのだろうか。

そんな私でも懲りたことがある。それは、福祉関係での相談。
息子が重度の知的障害児であることと、その日々を話す講演をしたり茶話会を開いたりしているうちに、知らない人から突然お手紙が届いたりするようになった。

もちろん、ファンレターなどではなく、ひたすら悩みをぶつける長文。
中には、障害者を雇って事業を興したいから金を出せ!という自称精神障碍者(施設入所中)という方からの、便せん4枚にボールペンとえんぴつのハイブリッドでびっしり書かれたものも。

確かに明るく生きてはいる。それは自分を助けられるのも自分の機嫌を取るのも自分しかいないという事を理解しているから、と自分では思っている。
(なので、そう思える方法を講座・講演で喋っている)

ただ、切羽詰まった相手にはそういった「正攻法」は通用しない。
「今すぐ目の前で自分の悩みを解決する言葉が欲しい!」
その上で
「自分もくりもとのように喋って人前に立ちたい!」
という人からの攻撃(というか嫌がらせ)も始まった。

精神障碍者との付き合いは長い(ひとつ前のnote参照)。
しかしこれはしんどいな…ということで、一旦福祉関係から手を引いた。
(とはいえ依頼があれば「明るいオカンの作り方」講演は行っている。)

そんな前提を知らない人に、最近驚くようなアドバイスをいただいた。

「かおるさん、エンターテイナーだから。相談受けてますとかは外に出さなくても勝手に寄ってくるのだけを仕事にすればいい。そもそも、もっと出来る自分を認めてあげたほうがいいんじゃないかな。」

ファビュラスに、ゴージャスに

前後の会話があまりに長いので省くとして、要約するとこうだ。

・そもそもお嬢様だった時代が長いんだから、それを出さなくてどうする
・見た目ゴージャスで中身が明るいオカンでもいいじゃないか
・話していると宝塚を見ているようで、とても楽しい
・だからもっと出せ、派手でいい

いやいやいやいやいや、お嬢様だったのはバブルの一時期でしかない。
そうでなくても見た目に威圧感のあるタイプだから、これ以上「押せ押せ」なのはドン引かれるだけなんじゃないか。
必死のパッチで得意のマシンガントークを繰り広げ、色々言い訳をするものの、涼しい顔でことごとく論破され。

「じゃあ…叶姉妹みたいな感じで?」

と恐る恐る聞くと「ああ、それも良いですよね」と。
そこで安心して「じゃあ私は美香さんタイプです」と言ってみると

「え?そうかな?恭子さんの方じゃないですか?」

いやいやいやいやいやいやいやいやいや!!
そもそも私は周りを超絶振り回す母親の反面教師でここまで来た。
とてもじゃないが、あんな風にには振る舞えない!!

「そうですか。けれどその『絶対無理』なんて言ってることほど、本来の姿だと思いますよ?そうなりたくなくて、ブレーキ踏んでたんじゃないですか?」

真っ白になって口を開けたままの私にトドメを刺すように

「そもそも、かおるさんが直接色々話しすぎなんですよ。ちょっと秘書かマネージャー置いて。『うちのクリモトに何か御用が?』ていう窓口置くくらいがちょうどいい。もっと、出し惜しんで。」

勘の良い人なら分かるかもしれない。
ここでアドバイスを下さったのは、二つ前に書いたnote、前髪が伸びても熱が出ないと気付いた話 にも登場したAさんだ。

今まで何度も「くりもとさんと話すと元気がでます!」と言われてきた。
けれど、それはマシンガントークに対してどう褒めればいいのか分からないが故のお世辞(社交辞令)だと思っていた。Aさんは「それも違う」と言う。

「聞きたくない人は、そもそもかおるさんに会いに来ませんよ。そもそも、喋ることに自信あるんだから、もっとそれを受け入れればいいんです。」

世界観が変わるとき

新型コロナウイルス感染症という、まったく予想をしていなかった(少なくとも私は)もので、私を含めていろんなものが一気に変わってしまった。
子どもたちの学校も、PTA活動も、もちろん仕事もだ。

その仕事のやり方や方向性を変えていこうと思っていた。ただ、もっとゆるやかに変えていくしかないと思い込んでいたところでもあった。

外部環境が一気に押し流されていく中で、自分の心の持ちようをどうすべきか、怒涛のように流れていく情勢のなかでイマイチ掴みきれずにいたところに、Aさんはサクッと銛を投げ命中させた。

マシンガントークで相手を穴だらけにする私と違い、そこだ!と決めて一撃で仕留める。「無理だ」というのは言い訳でしかないというのを、一瞬で理解させられた瞬間だった。

今まで幾度も「転機」はあった。
大きな転機は2年前。立ち上げ当初の事業を諦め新事業に絞ると決めた時。
今回は、それを更に前に進めるための転機なのだろう。

他人から見える自分を受け入れる

これまでは自分が思う自分を表現しようと必死になってきた。これからは「自分以外」の人に見える「クリモトカオル」をもっと受け入れていくべきなのだろうと改めて感じている。

大切な打ち合わせが迫る中、クリモトカオルという姿形をどう受け取ってもらえるか。今までは「もう少しこんな感じで…」と思っていたところを今回は引っ込めて、感性豊かな人に見て頂いたままで判断してもらおう。

そう思えるようになった今日この頃に、自分でもワクワクしている。


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