📧英米も経験した先進国の成熟、ゼロ成長時代。日本が抜け出せず、英米が脱出したその違いとは･･･⑥(2019年6月)

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まず知っておいてほしいことの一つは大前提が変われば、そのための対策も大きく変わるという話です。

誰かにとって不都合な事情があって、日本の経済は世界でも類を見ない長期の経済停滞に陥っています。

経済学と行動経済学は全く別な考え方をする

経済学では人間は合理的な生き物だから、市場に物を供給すれば必ず消費する人が現れるという事を大前提に考えられてきました。

極論ですが、ジュースを買う時に 「地域で1番安いお店で誰もが買う」という理論です。
しかし行動経済学では「消費者は常に合理的な行動ばかりを取るわけではない」と人間の非合理な行動を経済学に持ち込んで考えるという新たなステージに立ちました。

つまり「レジに並ぶのが面倒」とか「近くの自販機やコンビニで定価でも買う」という行動を取る人も世の中には少なくないという話です。

この行動経済学という考え方は欧米を中心に様々な経済研究にも使われており、2002年にこの研究に生涯をかけて取り組んだ米国のダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞したことから一躍注目を集めるようになりました。

主流派経済学の面々からすれば「人は必ず合理的な行動を取る」という土台の上に長年の論理を展開しており、派閥内でも同調する人たちしか仲間として迎え入れられず、新しい理論や考え方を持ち込む者を異端として扱ってきたというのです。

ところがこの前提条件を誤るという事が長い米国の1970-1980年代頃までの世界大戦以後の欧米における経済停滞を招き、そしてITバブルとその崩壊を経て、これまでの理論は間違っていたと根底が覆ったのです。

また英国で 「ゆりかごから墓場まで」と言われた第二次世界大戦後の高福祉社会で経済が停滞していました。

1980年代に入ると英国ではマーガレット・サッチャー首相(当時)が掲げた新自由主義への転換に伴って、国営企業の民営化などの改革を行い、長い経済停滞から脱却への足掛かりとしました。
平成初期のバブル崩壊後、世界から見ても日本はそれほど長い時間をかけなくても経済成長に戻れたはずでした。

何故なら、欧米の経済停滞という教訓から学べる事が沢山あったからです。

日本の歴代財務省・日銀の取った行動『デフレの深刻化』

しかし、発言力の強い日本の経済学者の重鎮らは自分たちの理論の根底が誤っていることを認めず、間違った経済政策を官僚たちに伝え続けました。

日本の経済学の重鎮とは日銀や財務省を始めとした官僚たちの世界です。

「銀行が復活しないと日本経済は再浮上できない」
「財政健全化しなければ経済は回復しない」

景気後退期には消費が積極的にされません。

これを需要よりも供給が多い時期と考えると、供給を減らすか需要を拡大することが政策として経済を健全化させますが、日本は景気後退期にあたって規制緩和を行いました。

小売店では大型の店舗やショッピングセンターを全国津々浦々に建設して供給を増やしました。

需要が増えない中で供給が増えると物の値段が過当競争によってどんどん安くなるデフレーション(デフレ)が加速します。
日本の会社や社会は駄が多いとして効率化を目指し、構造改革を掲げました。
効率化、生産性の向上が叫ばれ英国に倣い国営企業の民営化を進めました。
すると民業は圧迫され、競争が起こります。コストが削減され、効率化が進むと値段が安くなりデフレ・スパイラル(悪循環)が深刻化しました。

英国の新自由主義と同じことをやったのに何故ダメだったのか？