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また日本人の多くが投資について壮大な勘違いをし始めているロビンフット・ショックとコロナ・ショック~インデックス運用への世界的傾倒への危機感

新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)に端を発した株式市場の暴落コロナ・ショック(2020/02/20)から間もなく一年ですが、アメリカでは個人投資家が起こした「ロビンフット・ショック」が大きな注目を集めました。

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利益をあげるためなら殺人以外なら何でもやると揶揄されるヘッジファンド空売りを仕掛けていたゲームストップという企業の株価に対して米国のインターネット掲示板やSNSなどで個人投資家たちが一丸となって買いを行い、遂にはヘッジファンドがポジションを解消して買い戻しをすることになりました。

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※空売りとは通常の株式投資(買ってから売る)の逆で、持っていない株を金融機関から借りて「買う」を行う前の段階で「売る」を行う投資方法。
例:1株1,000円のA社株式が値下がりしそうと考えた場合に、A社株を保有している金融機関などから期間を決めて株を借りて手数料を支払う。借りた株を売ると持っていない株を売ることになり、期間内に貸主にはA社株を返す必要がある。1株が800円の時に買い戻すと差額200円と借りるのにかかった手数料を差し引いた額が利益になる。

通常の株式投資は株価が上がるシーンでしか利益を上げない(配当などを除く)のに対して、株価が下がるシーンでも利益をあげられる手法。
膨大な資金力を持つヘッジファンドに売りを仕掛けられるとこれまで多くの場合はされるがままで、企業価値が大きく毀損してしまうダメージを受けていた。

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膨大な資金力を持つヘッジファンドが、個人投資家の予期していなかった反乱によって右往左往した挙句、最後は損失覚悟で個人投資家連合によって割高となった株価で買い戻しをし約2兆円規模の損失が確定。
個人投資家連合は空前の利益を手に入れると同時にヘッジファンドのマネーゲームに対するジャイアントキリングが個の集まりでも可能であると証明した事は実に痛快で池井戸潤の小説かドラマか、はたまた映画のようですが、日本ではこのことを多くのメディアがいつもに増して誤解を招く方向へ導くように発信しています。

この個人投資家たちの多くが利用していたのが「Robinhood(ロビンフット)」と呼ばれるアメリカの新興ネット証券が提供するアプリで、この事からこのゲームストップ関連銘柄における乱高下がロビンフット・ショックと呼ばれています。

ロビンフットは基本の売買手数料が無料。クレジットカードや銀行口座残高と連動するデビットカードを投資決済に用いることが出来、株式投資だけでなく信用取引やFX・仮想通貨などのハイリスク取引まで素人でもできてしまうアプリです。

ほんの少し前にロビンフットは気軽さの裏で、投資のことを良く分からずに行って巨額の損失を出し20歳で自殺をした人が出たことでも話題になりました。

しかしこの事は何処へやら。今や忘却の彼方です。

#日経COMEMO #NIKKEI


また2020年2月頃から新型コロナウイルスの世界的流行に伴って株式市場でも通称「コロナ・ショック」と呼ばれる大きな下落が記憶に新しいところです。

日本のメディアは米国のロビンフットが格安の手数料で株式の売買などができることで個人投資家の裾野が広がり、政府・中央銀行が行っている様々な経済政策や失業手当(個人への直接給付が2020年3月から成人一人1,200㌦/月・非成人一人500㌦/月、加えて失業保険から2020年7月末まで週600㌦、2021年3月末まで週300㌦を追加。)など普段働くよりも可処分所得が増え、手元に思わぬ資金が入ってきた個人投資家がコロナショックによる下落で割安となった株を購入して大きな値上がり益を得たことを報じてきました。

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※GDP比で日本は先進国中トップクラスの財政出動をしているとメディアでは報道されますが、個人に直接給付されたのは実質は特別定額給付金10万円だけで、GoToEAT/GoToTravelによる飲食店・サービス業などへの給付や医療機関への貸付などで個人への支援が広がっていると果たして本当に言えるのだろうか。

尤も感染状況はアメリカと比べて格段に抑制されているのが日本の現状だが。

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さて、コロナショックに乗じて資産を増やした人がいるということそのものは実際にアメリカで起きた事実ですが、この情報を観たり聴いた日本人の中には次のように考えている人たちが増えていないでしょうか。

「株をやればお金がカンタンに増える」

「株は割安な時に始めれば良い」

「手数料が無料の証券会社があってアメリカはいいなぁ」

資産形成や資産運用においてこれは大変誤解を招きかねない話です。

何故ならコロナ・ショックにおいても、またロビンフット・ショックにおいてもこれらはそもそも投資ではなく、投機だからです。


思考停止と同調圧力を加速させるYouTuberやSNSの情報傾倒

メディアの言うことは信用できないと、近頃はYouTubeなどの動画配信の内容を支持する人たちがいます。
しかしYouTubeは誤解を恐れず言うのであればエンターテイメントであり決して教育(エデュケーション)ではありません。


個人でも気軽に情報や自分の考えを発信することができる利点の反面、その裏には再生数さえ稼げればその取り上げる内容が嘘やヤラセでも構わないというスタンスの人で溢れています。

それは言い過ぎだ、きちんとよく考えて作られている良い動画もあるという意見もあるかもしれませんが、ではその動画を配信している人は何のためにわざわざ動画を配信しているのでしょう?

本当に世の中のためという篤志家が1%はいるかもしれませんが(私はそんな人は存在しないと思っているが)、どうして動画の撮影・編集という手の込んだことが出来ているのでしょう?

穿った見方と思われるかしれませんが、それは広告収入が美味しいからです。

そして無料で情報を公開するということはその裏にはバックエンドと呼ばれる利益を得るための商材やサービスが必ず存在します。

健康食品やコンプレックス商材、サプリメントなどでもよく見られる「初回無料」や最初だけ通常価格から大幅に値引きした赤字覚悟の値段のマーケティングとよく似ています。(YouTubeの場合は再生さえされれば広告料が配信者に支払われるのだから余計に無料で配信することが正当化されやすい)

本当にこれが教育であるというのなら勉強中にその集中力をわざわざ削ぐCMを流す必然性がありません。

真に教育だというのであれば教育は無償・ボランティアではありませんから、視聴者から受講料を徴収するべきですし、私のように広告のない動画プラットフォーム(Vimeoなど)を利用すれば済む話です。

この場合、教育を提供する側がアップロードコスト(月額利用料)を負担することになりますので、それを講師のコストと受講料で補填するということで結果的に受講料が生じます。代わりに視聴者・受講者は広告のない快適な動画環境を提供できます。

しかし受講料さえ取らず、講師が身銭を切ってイチからジュウまで自己負担というのであればそれはボランティア(奉仕活動)であって、資本主義の世の中において対価を払わないある種の異質なものです。(誤解がないように断っておきますが、ボランティア精神は素晴らしいと思いますが、それが教育においては危険な考え方であり、日本の多くの若者たちが学ぶ教育機会が公教育で無償に提供される事に危機感を感じている派です。)

教育の敷居を下げるという点でYouTubeなどの教育系動画は確かに意味があります。
しかしそれはあくまでも興味付けに留まり、本当に学びたい人に対してこんなものかという表面の浅いところしか伝えず誤解を与えます。
また楽して知識・雑学だけを身に着けたい人、つまりニワカ投資家を量産し続ける呼び水となり、そういった危険分子の投資家を投資市場に入れないフィルターとしての役割を果たしている証券外務員の存在意義を社会的に奪っていくことになります。
(証券外務員が単に手数料稼ぎのために存在していると思っていたら大きな誤解。投資に不適格な人には投資させない役割も証券外務員は担っている)


または視聴した人の多くがそれに同調すると旨味があるのです。(または俺知ってるという自己顕示欲や自己承認欲求が満たされるオ◯ニーです)



殆どのYouTuberは広告収入を得るために「視聴者が見たくなるような耳障りの良い言葉」を餌としてばら撒き、情報は無料だ、自分にこのYouTuberが言っていることは本当だと深層学習という思い込みを強固にする手法を用いています。

またYouTubeの運営側であるGoogleにとっては視聴者に関心のありそうな似たような動画をお勧めしてきます。
運営者にとって他の動画を観て考え方に幅を持たせようという事が目的ではありません。
動画を再生してもらうと動画運営会社は広告収入が手に入ります。
だからより「耳障りの良い動画」にのめり込んでもらうために同じような傾向の動画をリストアップしてお勧めしてきます。

こうして自分の信じる都合の良い情報が一層目に留まるようになると、まるでさもそれが世の真実のように思える確固とした”思い込み”が誕生します。
この段階になるともはや洗脳と紙一重で、この洗脳を解くことはほぼ不可能になります。

YouTuberの中には自身の顔を出さずキャラクターなどで身バレを避ける人たちもいます。
柔らかなタッチのイラストや可愛らしいキャラクター、少女や動物の姿を借りてその役になりきって配信している人もいます。(VTuberなど)
別にそれは関係ないだろうと思うかもしれませんが、関係ないわけがありません。

人は脳の中に入った情報が嘘か本当かを判断する能力を一切持ちません。ノーガードで受け入れてしまいます。
そしてそれに対して予め埋め込まれた倫理観・道徳観・宗教観などの価値観や考え方(パラダイムやコンテクスト)によって変わることを恐れるホメオスタシス(生体恒常性)が働きます。

これが一番怖いのです。
一度頭の中に入ったものを変えるのはとてつもなく難しいのです。
つまり、自分の頭の中に入っている情報(常識)を疑う、自分で考える能力を動画は確実に奪っていきます。

何故なら耳障りの良い言葉が、頭を空っぽにして聞き流しているだけで勝手に流れてきてくれます。
答えをまるで教えてくれているような錯覚を覚えます。これは脳にとって自己承認欲求や自己肯定感を満たしてくれるため用意には逆らうことが出来ません。
しかも殆どの場合、質疑応答もできません。

再生数や「Good/Bad」ボタンがまるでそれを補強するように、この情報は多くの人が支持している=自分だけではない安心感や間違った時もみんな間違えたという慰めが確保されます。

しかし、この世の中で人が創り出したものに意図の含まれていないものなど存在しません。
そして真実など誰かの口から語られるものではありません。

YouTubePremium会員としてお金を払ってそれなりの時間、動画を視聴している私が知る限りにおいてYouTuberでまともに資産運用・資産形成についてきちんと伝えている人は残念ながら一人としていません。



例えば資産運用や資産形成について、一見すると多くの人にとっては”真実のように思えるインデックス運用”の推奨者たちでさえ私からすれば嘘つきです。



彼らは投資の入口はかじった程度に知っているかもしれませんが、私から言わせて貰えばプロは無料で仕事をしません
言い換えるならプロは顧客が納得するコストを支払う価値があるからこそプロとして対価を受け取ると考えています。

もしインデックス運用の信奉者の資産運用が真に正しいと信じるのであれば、彼ら自身の資産ポートフォリオをきちんと見る事をお勧めします。
投資資産100億円の人が年3%のリターンをコンスタントに出す運用と、投資資産100万円の人が同じ比率で投じて得られる運用リターンは同じではありません。

大きな資産を投じられる人はコストがディスカウントがされ、個人投資家よりも大きなリターンが得られます。

また仮にの話ですが、100億円を投じて得られる年3%のリターンは3億円ですが、100万円を投じて得られる年3%のリターンは3万円です。

3億円は人生が変わるくらい、少なくとも働き方が変わるくらいのお金になるかもしれませんが、3万円で人生がどれだけ変わるでしょか?
二人の投資家は同じリスクを取っているのに⁉︎

更に残酷な話ですが100億円を投じられる資産家はすぐ使うお金ではない余剰資金で投資をしますから、100万円しか投じれない個人投資家よりリスクを取る事が出来ます。

この事から何が言えるでしょうか?世界は投資をする人と投資をしない人で大きな格差が広がり、投資をする人の中でも資産を持つ人は資産を持たない人の投資によってより資産を増やすのです。



何故、世の中でインデックスが支持されているのかのプロセスを理解せずリザルト(結論)だけを切り出した解説に価値はありません。

また彼らが「多くのアクティブファンドは長期でインデックス運用に及ばない」は米国で約50年前の話です。日本においては約30年前の話です。時代は変わるのです。


何故、インデックスを長期間で上回るパフォーマンスをこれまでの運用で発揮してきたアクティブファンドが確かにあり、それを選ぶ方法、見極める方法を彼らは教えてくれないのでしょう?

インデックス運用を提唱したと日本の金融庁が紹介するバートン・マルキールチャールズ・エリスは何者でしょうか?彼らの本当の仕事をご存知でしょうか?

バートン・マルキール著『ウォール街のランダムウォーク』はインデックスファンド(今日インデックス運用、パッシブ運用のファンド)がまだ世の中に一つとして存在しなかった時代に、”過去の運用実績は未来の株価を予測しえない”ことを伝えるための本です。


しかし例えばインデックス運用推進者たちの多くは過去のダウ工業平均やS&P500などの指数推移を例示して「アメリカ株式に投資しろ」と言います。それは資産運用・資産形成ではありません。

どの銘柄やどの国の株価が上がりそうかを予測して当てっこゲームをするのは投機です。それは投資信託でも変わりません。

またダウ工業30種平均やS&P500など米国を代表とする指標…つまりインデックスと今日呼ばれているそれはインデックスではなく既にアクティブ運用であるという事をご理解されているでしょうか?

またインデックス運用の株式や債券のアクティブファンドを組み合わせたバランスファンドはつみたてNISA対象商品一覧においてインデックスファンドですが、資産運用の世界においての位置づけはアクティブファンドです。

投資家が複数のインデックスファンドを組み合わせてアセットアロケーションをするとそれは投資家自身によるアクティブ運用です。

何故、証券外務員・IFAはアクティブファンドは販売手数料を投資家からいただくのでしょうか?
投資家が自分で選べないから、その価値があるからいただくのではないでしょうか?

ネット証券は何故、手数料が安いのでしょうか?
自分で選べる人、売買判断が出来る人のための証券会社です。
つまり投資家の不合理な行動を諌める人(担当者)がいませんから、鋼の意志を持つ機械的人間かプロ以外は投資を続けられません。

資産運用・資産形成の意味の違いをご存知ですか?
投資とは何でしょうか?投機とどう違うのでしょうか?
投資とはお金を増やす事でしょうか?私たちIFAは違うと日々学びます。

コロナ・ショック、ロビンフット・ショック…株式市場の時々起こるしゃっくりは、ニホンの個人投資家やこれから投資を始めようという方達に向けて大きな誤解を与えていないでしょうか?

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まるでこれが投資であるように報じて、受け止められていないでしょうか?


アクティブファンドが悪くて、インデックスファンドが良いではなく、投資には必ず目的と目標が必要です。
それを実現するための戦略と戦術がどんな商品を選び、どう運用していくかではないでしょうか?

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答えなど何処にもないのに、何故自分にとって都合の良い事を言う人が答えを教えてくれるなどと信じられるのでしょうか?

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ほったらかしで楽して億万長者!

それは詐欺師がよく使う言葉と似ているのは何故でしょうか?(笑)

世の中に何故格差があり、それが埋まらないのは何故でしょう?


情報が世の中に溢れすぎている現代、そしてより不確実性の高い変化の時代である現在。自分のために考え、自分自身のために努力ができる人とそうでない人で大きく格差が広がっていく時代に我々は生きています。


そして運用成果を挙げもしないのにコストばかりを徴収する古き時代のアクティブファンドは間もなく淘汰されつくして、顧客に代わって資産を増やした真のアクティブファンドだけが生き残る時代がコロナ禍の混乱と新潮流(ニューノーマル)の中で始まろうとしています。

コロナ禍はこの先10年、20年後、30年後に振り返ると資産運用の世界において「インデックス運用に傾倒した世界中の投資マネーが大手企業に偏った資産を投じてバランスを失ったGAFAバブル崩壊の時代」の始まり、”インデックス運用冬の時代”と呼ばれるかもしれません。

知らんけど(笑)←最近覚えたとても便利な言葉。

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