📧『中華人民共和国』は何故、国際社会で空気を読まない？⑥(2020年4月)

本編はセミナー受講者・契約者および有料メールマガジン会員限定の記事です。

メールマガジンは公開期間終了後、原則として有料記事として公開しております。

2020年分をまとめたマガジンがお得な価格で設定されていますので、ご関心の方はこちらをご購入下さい。

WITHOVER News2020｜ポッターさん｜note

ALL Collect｜ポッターさん｜note

.note

　今回は近いけれど多くの日本人がよく分からない国「中国」についてです。経済・貿易・環境問題など様々な面で欧米の先進諸国との足並みがなかなか合いません。
　中国の現在の総人口は約14億人。GDPでは2010年に日本を追い抜き世界第2位の経済大国となりました。しかし“中国五千年の歴史”という言葉がある中国という国は世界の歴史の中でもかなり異色です。

中国：神代～古代までの歴史と文化醸成の過程

私たちが学生時代に習ったように中国の政権は幾度となく変わっています。神話の時代「殷」の腐敗を討伐した周、「周」の腐敗から群雄割拠の春秋戦国時代、「秦」の始皇帝の統一に始まり、秦の腐敗を項羽と劉邦(高祖)が倒し、劉邦が「漢」(前漢)を設立。

前漢を倒した「新」が正義を名乗り、新から政権を奪取した漢(後漢)が大正義となり、腐敗した後漢に嫌気がさして三国時代の大混乱。

三国の一つ、「魏」の曹操に見出された司馬懿仲達(しばいちゅうたつ)の子孫が晋を創り、腐敗した魏を滅ぼし統一。

その晋は王が酒と女に溺れ、毎晩数千人の美女を宮廷に侍らせて遊びまくり国は腐敗、やがて南北朝に分裂。それをやっと統一したのが「隋」。

その隋も大運河建設に国民をこき使い、高句麗の遠征に失敗して僅か37年でクーデターによって「唐」に代わられます。

その後は以下略としますが宋、元、明、清、中華民国を経て1949年10月1日に現在の中華人民共和国が誕生しました。

なんと五千年どころか建国から実質まだわずか70年ほどの国家です。

　中国には黄河・長江という二つの大河が流れており、この豊富な水によって稲作(小麦よりも生産効率が高い)が早くから普及したお陰で狩猟採取を中心とした他の地域よりも早くに地主・知識層の階級が誕生。

より効率的な物々交換の手段として貨幣が誕生し、商業(文字と算術)と政治が発展しました。

つまり一次産業(農業や漁業など)から二次産業(商業)へのシフトが世界的に見ても非常に早かったとされています。

　地政学で見た際にも飛行機どころか車も電車もない時代において、中国と東アジア周辺国は貿易風と偏西風によって人と物が自然と中国に集まりやすい環境があったと言えます。(気圧によって夏は貿易風、冬は偏西風が強くなる)

　当時、朝鮮半島や日本・東南アジアは果てしなく遠い土地でした。国々の直接支配は困難と考えていたことから間接的にその土地を支配することを認める方法(冊封体制、朝貢貿易)をとりました。

中国から日本にもたらされた「漢委奴国王印」で知られる金印はその証(漢に”委”託されて支配(奴)する国の王)として日本に与えられたとされています。

　周辺国も日本における遣隋使や遣唐使などのように文明の進んでいた中国へ優秀な人材を送り込み、贈り物を届け、文字や歴史・政治・先端文化を吸収して持って帰ることで発展をしていきました。

　今日の中国である中華人民共和国は「我が国が世界の中心(華)である」という“中華思想”を表し、前政権から人民を解放するための軍(中国共産党の軍部,人民解放軍)による共和国を作ったという出来事に由来しています。

　欧州では民衆が蜂起して王政を倒し、新しい国家体制を作り始めたのは17世紀後半のフランス革命を待たなくてはなりませんでしたが、中国では紀元前から民主の蜂起によって腐敗した王政を打倒して、新たな王政を築く事が何度も起きました。

民衆の力、誇りがとても高いのが中国の国民性です。

誇り高き中国人が白人に踏みにじられた悲劇の近世史

　民衆の蜂起で最も怖いのは”情報”です。日本でも新型肺炎の影響でデマやフェイクニュースが飛び交い、トイレットペーパーなどで買い占めが起きたことは記憶に新しい出来事です。

中国では今日も情報規制や検閲など我々からすれば信じられないレベルで当たり前に行われていて、 Amazonも2004年に参入しましたが、2019年に撤退。 Googleは2006年に参入するも2010年には撤退。

Facebookは参入さえ叶わず、代わるアリババ(8位)やテンセント(9位)が既に世界の時価総額ランキング(2019年)で日本最大の時価総額企業トヨタ自動車(41位)を追い抜き上位に名を連ねています。

　そんな中国の近代史の中でも特に現在にまで色濃く影響を与えたのが英国の産業革命でした。

英国で工場による物の大量生産が実現すると、英国は世界中にその販路を求めて植民地を広げていきました。

また工業化に伴って労働者の単純作業が増え、集中力を維持するために覚醒作用のあるカフェインを必要としており、茶葉は近代化した英国で大変な需要がありました。

英国は自国の工場で作った製品を中国へ売りたい、そして中国から茶葉を大量に仕入れたいと交渉に臨みます。

しかし中国が英国から輸入したいものは時計や望遠鏡など高価で富裕層しか買えないものばかりだった事もあり、不均衡な貿易交渉を拒否。

貿易に応じない中国に対して英国は麻薬の一種であるインド産アヘンを密売、アヘン依存症*にして荒稼ぎをしました。

　当然、これに反発をした中国は英国に麻薬の密輸するのを止めるように交渉しますが、代わりに突きつけられたのは明らかに不平等な条約の締結。

中国は戦争を仕掛けざるを得なくなり、1840年に第一次アヘン戦争に突入します。

　しかし木造の帆で風を受けて進む中国のジャンク船と英国の鉄で出来た蒸気機関による戦艦ではまともな闘いとならず、中国軍の死者約2万人に対して英印両軍の死者数は計69人。中国は英国に海戦で歴史上稀に見る大敗を喫します。
　南京条約によって香港の99年間の租借と上海港など5港の開港などの不平等条約を締結。

南京条約後、武力には絶対の自信を持っていた欧米列挙はさらに交易を拡大したいと中国の大河で繋がる内陸部への更なる開港を迫りますが、国内産業と雇用防衛のために再び拒否されます。

緊迫した状況の中で交渉の機会を伺っていた英国は1856年に密輸船アロー号(英国領香港籍の船)に対する抜き打ち検査を受けた際に友好の証である英国国旗を許可なく勝手に下げていた事を理由に開戦。

またフランス人宣教師が中国で殺害された事件を理由にフランス、ロシアまでがこぞって参戦。そして再びの大敗。天津条約・北京条約を締結させられ、清国を弱体化させました。

　この惨状を海を挟んで観ていた日本では知識人らに開国、近代化への機運が高まりました。何しろ日本は古くから中国を参考に文化も国家体制も築いてきました。

その中国が手も足も出せずに食い物にされている事に欧米列強との力の差を見せつけられ、今のままでは到底太刀打ちできないと1868年に明治維新(明治政府樹立)が始まり、1871年には明治政府として初の外交条約は古くから交流もあった中国と「日清修好条規」を締結します。

　この直前、1860年にロシア帝国は不凍港を求めての南下政策で中国に程近い朝鮮半島北部に軍都ウラジオストク(“東を支配する街”の意味)を建設開始。

ロシアが南下してくれば朝鮮半島を楔に日本へも進軍という危機が迫る極東情勢の中、弱り目に祟り目だった清国に仏国がベトナムを巡る清仏戦争を1883～1885年に仕掛けました。

更に弱体化をした清国を観て1894年、日本は条規を破棄して日清戦争を仕掛けます。「眠れる虎」と呼ばれた中国ですが、度重なる戦争と領土の割譲によって財政も経済も行き詰まっている中で近代化を遂げた大日本帝国軍との戦争が始まり、僅か9か月ほどで日本軍の勝利で終わります。

日本の大陸進出の足掛かりとなった韓国併合は今日まで尾を引くのは…