【動画🎓🎞️】インデックスファンドによるコスト競争の末路か～PayPayアセット撤退『お金の教科書STEP5.0』5-6

QRコード決済においてソフトバンク系のPayPayが圧倒的なシェアを誇り、ソフトバンクはモバイル通信やIT関連の中で今では大きな存在感を示しています。

ソフトバンクにおけるPayPayブランドへの力の入れ方は尋常ではありません。
同じくグループ傘下であり日本で最初のインターネット専業銀行の一つである「ジャパンネット銀行(JNB)」の銀行名も2021年4月には現在の「PayPay銀行」へ変更。

PayPay証券(旧One Tap Buy)、PayPay保険(旧Yahoo!保険)、PayPayカード(旧Yahoo!JAPANカード)とソフトバンクグループ傘下の金融サービスを次々に同じような時期にPayPayブランドへ社名変更をしています。

しかし2024年10月11日、資産運用会社「PayPayアセットマネジメント」(PPAM)は2025年9月末をもって事業を終了することを発表。

お知らせ | PayPayアセットマネジメント株式会社

これに関連して同社が運用している投資信託の大部分はみずほ銀行系の資産運用会社アセットマネジメントONEへ引き継がれ、4つのファンドは繰上償還(時期未定)が通告されました。

ソフトバンク系の金融部門としてはLINE証券が2018年に設立されましたが、2023年10月に野村証券に事業譲渡で撤退をしており、金融部門では2連敗ということになります。

野村証券から出向させたメンバーを交えて設立。
新設金融機関には必ずこうしたケツ持ちが存在する

過去を遡ると現在はネット証券で国内最大手となるSBI証券もかつてソフトバンク資本でした。

孫正義が野村証券の将来の社長候補とされていた一人だった北尾吉孝を直々にヘッドハンティングして1999年にソフトバンク・インベストメント(SBI)株式会社を設立。

しかし孫正義との価値観、経営方針の違いがやがて鮮明になると2006年8月にソフトバンク資本からの完全脱却を行い、戦後に誕生した独立系金融グループとしては最大となっています。

ソフトバンクにとって証券部門を失ったことは大きな後悔だったのか、2013年に現在のPayPay証券の原形となるマイバンカー(後のOne Tap Buy)を設立。みずほフィナンシャルグループからの支援を受けながら育ててきました。

PayPayアセットマネジメントは設立時の沿革こそソフトバンク資本ではありませんでしたが、2016年のヤフー株式会社との資本・業務提携(ヤフー33.4％)を皮切りにソフトバンクグループとなり、2021年にPayPayアセットマネジメントに社名を変更。

新NISAが始まって低コストブームの陰でひっそりとその事業を終了させます。

繰上償還とは、投資信託を一つの法人と同じく会社として見た場合における「倒産」となります。

資産運用会社が定めた日をもって運用を終了。投資家にその日時点の資産を支払いファンドは解散されます。

投資家にとってはいわば強制売却されることとなり、「長期・分散・積立」を掲げる税制優遇制度*でこれらのファンドを選んでいた投資家にとっての背任行為となります。

*iDeCoや企業型DC、一般NISA・ジュニアNISA・つみたてNISAなど

特に困るのは一般NISA・ジュニアNISA・つみたてNISAのような既に制度が終了していて、新規の買い直しができないケースです。

(特にジュニアNISAには後継制度が設けられておらず、もし買っている人がいる場合には買い直しができない)

一般NISAは投資家自身が比較的自由に投資対象を選べたので自己責任だとしても、つみたてNISA(現つみたて投資枠)は金融庁が投資対象を選定しています。

この「長期・分散・積立」を反故にした、前例を作ってしまったことはそうした事業継続性を考慮せずに、単に諸条件を満たすだけで資産運用会社やファンドを選定した金融庁自身にも選定基準の甘さや反省、現行の新NISAにおける選定条件の見直しがあってしかるべきだと私は考えます。

※純資産総額はいずれも2024年11月1日時点

2017年4月28日設定
信託報酬(税込)0.539％
純資産総額12.6億円

2022年3月16日設定
信託報酬(税込)0.0715％
純資産総額7.92億円

2021年6月29日設定
信託報酬(税込)0.2024％
純資産総額24.99億円

2021年3月8日設定日
信託報酬(税込)0.198％
純資産総額9.1億円

今や新NISA口座開設数は日本人の5人に1人。投資信託による投資を成長市場と捉えての参入だったはずのLINE証券、またPayPayアセットマネジメントのの事業終了と自社ブランドの繰上償還…

コストでしか差別化が殆どできないインデックスファンドでの運用で競争が激化する中で証券会社、資産運用会社はどのように今後を見据えているのでしょうか？

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