見出し画像

不衛生な環境とセルフネグレクト

畜産業から転職して気付いたこと

これまでの記事とやや路線が異なりますが、最近転職をし感じるところがあったので書き留めておきます。

私は少し前まで畜産業に従事していました。
それまではバイトで接客業をしていましたが、店舗閉店を機に

・自宅近郊で給料がそれなりに良い
・デスクワークではない
・転勤がない
・動物が好き

上記の理由から畜産業で働き始めました。

皆さんは畜産業と聞くとどのような職場をイメージしますか?
畜種にもよりますが、作業着やオーバーオールと着て
のどかな大自然に囲まれた環境を思い浮かべるのではないでしょうか?

そういった農場もありますが、実際は作業の種類が多く
技術や知識が必要とされます。
のんびり動物と戯れている時間はほとんどありません。

3Kは存在する

臭い・汚い・きつい

畜産業についまとうマイナスイメージ。
臭い・汚い・きつい。
いわゆる3Kと呼ばれるものです。
はっきり言います。その通りです。

臭い
大量の動物がいますから、適切に処理しているとはいえどうしても糞尿や飼料の独特の臭いがつきまといます。
農場に持ち込んだすべての物に臭いが移ります。

汚い
処理する過程で糞や劣化した餌が体につくこともあります。
虫も当然います。
気を付けている農場では虫の発生を抑えているとはいえ、それでも一般の職場の比でありません。

きつい
重いものを持ったり、中腰の姿勢で作業をしたり
死んでしまった家畜を運んだりと
肉体的、精神的にも「きつい」と感じる仕事が多々あります。

気軽に行けない海外旅行

豚熱、口蹄疫、鳥インフルエンザ。
これらの病気が農場に入ってしまうと一大事です。
皆さんもニュースで耳にしたことがあるかもしれませんが、それ以上病気が広がるのを抑えるために
その農場の家畜を殺処分しなくてはならなくなります。
そのため、どの農場も防疫に力を入れています。
国外から病気を持ち込まないように注意していますから、気軽に海外旅行には行けません。
絶対に行けないわけではありませんが、渡航後は一定期間農場に入らないようにそれぞれの農場でダウンタイムが設けられています。
具体例をあげると二泊三日でアジアに旅行に行くのに
ダウンタイムを入れると一週間近く休みを取らなくてはいけません。
必ず誰かが家畜の世話をしなくてはいけませんから、それほどの休みを勝ち取るのはかなり気を使います。


仕事への誇りとセルフネグレクト

ここでやっと表題のセルフネグレクトとつながるわけですが
私は畜産で働いていた当時、自分の仕事が大好きでした。
全時代的な表現かもしれませんが、業界に骨を埋める覚悟で邁進していました。
髪についた糞尿の臭いが取れなくても、以前の趣味だった海外旅行に行けなくても、不衛生な環境におかれても
「好きだから。誰かがやらなくてはいけないから」と割り切っていました。
厳しい環境で頑張る自分自身に少し酔っていた部分もあるのかな、と今では思います。
しかし、他にも思うところがあり(ディープな内容になるので転職した経緯はまた機会があれば書こうと思います)食品工場へ転職しました。

不快感に蓋をしていたのかも?

転職し、髪の毛が臭くなくなり、いつも埃っぽくごわついた身体が柔らかくなりました。まとまった休みもありますし、日帰りで海外だって行けます。

そこでふと思ったのです。

不快感を感じているのにも関わらず、割り切ったふりをして
自分の気持ちに蓋をするのはセルフネグレクトだったのではないかと。

過酷な環境で働く=セルフネグレクトと言いたいわけではありません。
嫌だ、辛い。
心のどこかではそう思っているのにずっと気づかないふりをしていたんだ、とわかったのです。

畜産業やその他厳しい労働環境で頑張る方を否定するつもりは
毛頭ありません。
前述した通り誰かがやらなくてはいけない仕事です。
全ての仕事が立派な仕事だと思います。

だからこそ、毎日仕事に行くのは当たり前ではなく
たまには自分の心の声に耳を傾け、労わってほしいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
他にも自身の経験から感じたことをのんびりと記事にしております。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?